第2章 第1話:アイリスは人気者
第2章スタートです!
漣たちが「私立・志能便しのび学園高等学校」に入学してから約一か月が過ぎようとしていた。
5人ともすっかり学校にも慣れ、武器商人の依頼以降にもすでにいくつかの小さな依頼を達成していた。
5人の中でも特にアイリスにいたっては持ち前の明るさとキャラクター性から、生徒たちに常に囲まれていた。
ときには練習試合などへの助っ人参加も頼まれており、そのたびに活躍をみせている。
そんなアイリスにバスケ部の部員が声をかけた。
「アイリス、今日は助っ人よろしくね!相手は去年の全国出場校だからアイリスの活躍を期待してるからね」
「任せなさい!私の『大和魂』を相手チームに刻んであげるんだから!」
そういって胸を張るアイリス。
彼女は今日もこれからバスケ部の練習試合への参加が決まっていた。
バスケ部員と話しながら鞄に荷物をしまっているアイリスを見ている漣。
(アイリスがクラスに馴染んでくれるのはいいんだが、もう少し力の加減の仕方を覚えてくれるとありがたいんだが……)
アイリスが助っ人で参加した試合や体育の授業でやらかしそうになった時など、その度に残りの4人でフォローをしていたのであった。
実際にあった例を挙げると、最初の時の体力測定での出来事である。
ハンドボール投げの際、ボールを投げたアイリスが一瞬(あ、しまった)という表情をした。
『ゴウッ!』
女子平均が約13m~14mと言われている中で、60m(プロ野球選手が本気で投げた距離)を軽く超える数字を出しそうな勢いのボールを投げたのだ。
アイリスが一瞬した表情を見た4人は、すぐに行動を開始する。
すでにそうなることを予想して準備をしていた4人。
漣、朧、蛍が陽動を行う。
その陽動の内容は、螢による放送設備ジャックによって、大音量の音楽を流し、それでびっくりした朧が『キャッ』と大きな声で転んだふりをする。
さらにそれを『朧、大丈夫?』とそちらに意識を向けさせるように声を上げて助けに行く漣といった具合で、大音量の音楽と、朧と漣の寸劇に意識を向けさせる狙いであった。
生徒たちの視線をアイリスが投げたボールから外させ、その隙に陽菜が鋼糸を使って空中でハンドボールを叩き落としたのであった。
綺麗な放物線を描いて飛んでいたボールが急激に直角に落下したことに、陽動に惑わされずボールの軌道を見ていた測定係の女生徒(安達さん)が違和感を覚えているようであった。
そこで漣がすかさず動き出す。
その測定係の女生徒の元に駆け寄るとさわやかな笑顔を浮かべながら声をかける。
「安達さん、どうかしたのかい?いぶかしげな表情をしているけど」
漣に急に声をかけられ顔を赤くする安達さん。
(近くで見ると、漣君は本当にかっこいい!)
「じ、実は私の見間違いかもしれないんですけど……綺麗に放物線を描いていたボールが、急に落下したように見えて……」
「そうかな。僕はずっと見ていたけど、そんな風には見えなかったよ」
「で、でも……」
漣は安達さんが言葉をつづけるのを遮るように割って入る。
「それに、安達さんにそんな表情は似合わないよ。いつもみたいに素敵な笑顔でいてほしいな……」
漣の言葉に頭から湯気を出す安達さん。
(漣君がそう言うんだから間違いはないよね!)
すっかりアイリスの投げたボールのことなどどうでもよくなっていた。
ちなみにこの時のアイリスの記録は35mで、10点満点中の10点であった。
その時のことを思い出し、憂鬱な気持ちになる漣であった。
今回も、アイリスがやらかしてしまった時のフォローのため、4人はアイリスの応援をするという建前で練習試合の行われる体育館へとついて行くのであった。
これから始まる練習試合で、アイリスがどんなやらかしをしてしまうのか気が気でない漣の右手には、胃薬の錠剤がぎゅっと握られていた。
第2章第1話をお読みいただきありがとうございます。
第2章はアイリスの章となります。彼女を中心にどんなことが起きていくのか是非お見逃しなく!
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次回投稿予定日:9月14日(月)




