第1章 第2話:高校生ライフ
霧雨玲から説明を受けたのち、5人は彼に連れられて教室の扉の前に来ていた。
時間はちょうどホームルーム開始のチャイムが鳴った8時45分であった。
「俺が先に入るから、呼んだら5人とも入って来てくれ」
代表して漣が霧雨に返事をする。
「わかりました。それにしても5人まとめて同じクラスなのですね」
「その方が色々と都合がいいからな。一応提携校からの編入ということになっている。みんな同じクラスなのは、その方が本人たちも安心するだろうという建前だ」
そう言うと霧雨は一人教室に入っていった。
呼ばれるのを待っている間、陽菜が漣に声をかける。
「こういうのは初めてなので緊張しますね」
「まあ、慣れないことではあるよな。でも、任務の時みたいに命を取られる危険があるわけでもないし気楽にいけばいいさ」
そう言って漣は陽菜に微笑み返したのであった。
その微笑みにドキっとする陽菜。
(こういう時の漣は本当にずるい……。そんな顔向けられたら余計に好きになっちゃうじゃない……)
ほどなくして霧雨が「入って来てくれ」と言って、5人を呼んだのであった。
教室の中へ移動する5人。
5人が中に入ると生徒たちがざわつきだす。
生徒たちのざわつきに耳を傾けると、ある女生徒は「あの男の子めっちゃイケメン!めっちゃタイプ!」、男子からは「女の子が4人も……。それも全員可愛いだと!このクラスは天国だったのか……」といった意見が多く、肯定的に受け入れられていた。
「それじゃ風間から一言ずつ挨拶していってくれ」
「はい。僕たちは三重県鈴鹿市にある『甲加貝高校』から来ました。名前は『風間漣』と言います。東京にはまだ慣れていないので色々教えてもらえると嬉しいです」
女性陣も漣のあいさつに続く。
「桜小路 陽菜です。読書が好きなのでよかったらお勧めの本とか教えてくださいね」
「私は日向 アイリス。好きな授業は体育、苦手な授業は英語や!こんな格好やけど、心意気と中身はこてこての日本人なので、そこんとこよろしくお願いします。ちなみに座右の銘は『大和魂』や!」
「月影 螢。よろしく」
「はあー……。蛍さんは漣君以外には相変わらずそっけないのね。私は夜叉丸 朧よ。これからよろしくね。特に男子と仲良くなりたいかな」
そう言うと朧は男子生徒に向けてウィンクしたのであった。
朧に数人の男子がメロメロになってしまったのは言うまでもない。
「みんなも彼らに色々聞きたいこともあるだろうが、それは休み時間にでも聞いてくれ。席は番号順だから空いている席に五十音順に座ってくれ」
風間は窓際の一番後ろの席に着席し、隣の女生徒に「これからよろしくね」と言って挨拶をした。
挨拶をされた女生徒の目がハートマークになるのと同時に、4人から殺気が飛ばされ、その女生徒は唐突な寒気に襲われたのであった。その女生徒は(風邪でも引いたかな?もし、熱がでたら風間君が保健室まで連れて行ってくれたりして……)と勝手な妄想をし、顔を赤らめていた。
ーーー
ホームルームが終わった後、体育館へ移動し、先生方のありがたいお話を聞かされた後、再び教室へと戻って来ていた。ここでオリエンテーションが始まり、今年1年間の行事についての大まかな内容が話された。
特に大きな行事は5月の体育祭、6月の修学旅行、10月の文化祭。
この中で特に難しいのが体育祭だ。5人の身体能力はすでにオリンピック代表選手以上の物があり、本気を出すと異常性がすぐにばれてしまうからである。
(体育の授業や体育祭は気を付けないといけないな。特にアイリスにはちゃんと言っておかないとな)
身体を動かすのが大好きなアイリスはついついやりすぎてしまう事があり、周りの漣たちがフォローするのが大変なのである。例えば100m走でアイリスが8秒台で走ってしまった時には、あらかじめ用意しておいたストップウォッチとタイム係が持っていたストップウォッチをすり変えたりしていたのである。
オリエンテーション授業も終わり、今日一日の日程が終わりを告げると、漣たちのもとに生徒たちが集まり、人垣が出来上がっていた。
集まった生徒たちからは様々な質問や、校舎の案内の申し出、さらにはデートのお誘いなども含まれていた。それらを漣と陽菜は悪い印象を与えないよう答えられる範囲で返事をし、螢は興味なさそうに短い言葉で返す。そしてアイリスは楽しそうに、朧は男子を手玉に取るようにいなしていた。
「漣君、そろそろ先生のところに行かないと」
陽菜が漣に声をかけた。
「ああ、そうだね、みんな悪いけど俺たち5人とも先生に呼ばれているんだ。だから今日はこれで失礼させてもらうね。また明日からよろしく頼むよ」
漣が爽やかな笑顔で周りの生徒に断りを入れると、5人で職員室へと移動を始めたのであった。
「つ、疲れたぁー」
職員室へ向かっていると、珍しく漣が弱音を吐いた。
「漣君、大人気でしたもんね。……お話しするぐらいは許しますけど、浮気はダメですからね」
陽菜の最後の方の言葉は氷のように冷たく、一気に漣の背中に悪寒が走った。
「し、しないから!俺にはこの4人だけで十分すぎるから!」
そう言って陽菜をなだめる漣であった。
これから始まる高校生生活(俺、生きて高校を卒業できるかな……)と、一抹の不安を胸に抱える漣であった。
第1章 第2話をお読みいただきありがとうございます。
この物語自体、『幼馴染の境界線』のアフターストーリーで使うための小道具として作り始めたのですが、書いてるうちにだんだん楽しくなってきてしまっているのが正直な気持ちです。
こちらの話は毎日投稿というのはなかなか難しいとは思いますが、これからもお付き合いいただけると嬉しいです。
お願い:やはり物語として投稿させてもらう以上皆様に読んでいただきたいですし、評価を頂きたいと思います。ですので、少しでも気にってくださいましたら、ブックマークと評価での応援をよろしくお願いします。




