第四十二話 護衛依頼
「その依頼、俺たちが受けよう」
レクスの一言に、ギルド内が静まり返る。
バルドは腕を組んだ。
「助かる」
「だが、急げ」
「商隊は北街道の峡谷付近で足止めされている」
受付嬢が慌てて地図を広げる。
「ここです!」
指差した先は王都から半日ほどの場所だった。
「街道は一本道ですが、両側を崖に挟まれています」
「逃げ場が少ないんです」
リリアの表情が曇る。
「待ち伏せされたら危険ですね……」
バルドは頷いた。
「ああ」
「だから護衛依頼の中でも難しい部類だ」
レクスは地図を見つめる。
「向かおう」
一行はすぐにギルドを飛び出した。
◇ ◇ ◇
一方、その頃。
北街道。
「くそっ!」
商隊を率いる中年の商人が歯を食いしばる。
荷馬車は五台。
護衛の冒険者は四人。
しかし、その全員が傷だらけだった。
「まだ来るぞ!」
前方の茂みから魔獣が姿を現す。
狼型の魔獣。
十体以上。
荷馬車を取り囲むようにじりじりと距離を詰めてくる。
「矢を放て!」
護衛が叫ぶ。
だが、魔獣たちは素早く木々の陰へ隠れた。
「ちくしょう!」
完全に遊ばれていた。
荷馬車には食料や薬品が積まれている。
ここで失えば、街にも被害が出る。
「誰か……!」
商人が空を見上げた。
「助けてくれ……!」
その時だった。
ドォン!!
街道の先で、大きな音が響く。
魔獣たちが一斉に振り返った。
土煙の向こうから現れたのは。
「間に合ったな」
レクスだった。
その後ろには。
ヴェルド。
ガイア。
ディノ。
レヴィア。
ティラ。
カル。
ルナ。
そしてリリア。
商人は目を見開く。
「冒険者……?」
バルドの言っていた新しいパーティだろうか。
しかし。
人数は少ない。
魔獣は十体以上。
普通なら勝ち目は薄い。
護衛の冒険者も同じことを思った。
「逃げろ!」
「数が多すぎる!」
だが。
ヴェルドは黒い大剣を肩に担ぎ、笑った。
「十体くらいで騒ぐなよ」
ガイアは静かに前へ出る。
「商隊には指一本触れさせん」
レヴィアは楽しそうに指先へ水球を浮かべた。
「早く終わらせましょう」
ティラは首をかしげる。
「誰から行く?」
レクスは魔獣の群れを見据え、静かに口を開く。
「囲みを崩す」
「一気に突破するぞ」
その号令と同時に。
九人が、一斉に駆け出した。




