表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恐竜王レクス 〜三万年後に目覚めた最強王族、人類の世界で冒険者になる〜  作者: Saaaya


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/46

第三十一話 山脈の咆哮


 咆哮。


 それは確かに聞こえた。


 耳ではない。


 もっと深い場所。


 魂に刻まれた記憶が反応したような感覚だった。


「……目覚めたか」


 レクスが呟く。


 ガイアも頷いた。


「ああ」


 ディノは拳を握る。


「近いな」


 ルナは空を見上げた。


「さっきよりずっと強いわ」


 カルはすでにレクスの半歩後ろに立っている。


「レクス様」


「分かっている」


 レクスは前を見る。


 西部山脈。


 その巨大な山々の向こう。


 確かに同胞がいる。


 その時だった。


「お、おい!」


 商隊長のカイルが駆け寄ってきた。


 顔が真っ青だ。


「今の音は何だ!?」


「聞こえたのか?」


 リリアが驚く。


 カイルは首を振った。


「いや、音じゃない」


「何というか……嫌な感じがしたんだ」


 他の商人たちも同じだった。


 ざわついている。


 どうやら。


 咆哮そのものは聞こえなくても、何か異常が起きたことだけは感じ取れたらしい。


「ここから先は危険だ」


 レクスが言う。


 カイルの顔色が変わった。


「どういうことだ」


「俺たちはここで別れる」


「なっ!?」


 カイルは絶句した。


「待て! 護衛依頼は!?」


「報酬はいらない」


 即答だった。


 食費は惜しい。


 だが。


 それ以上に優先すべきことがある。


「リリア」


「は、はい」


「お前は商隊と共に戻れ」


 リリアは目を見開いた。


「嫌です」


 即答だった。


 今度はレクスが驚く番だった。


「危険だぞ」


「分かってます」


 リリアは深呼吸する。


 怖い。


 とても怖い。


 でも。


「ここまで来て、皆さんだけに任せられません」


 ヴェルドが笑った。


「言うようになったな」


 レヴィアも嬉しそうだ。


「最初は泣きそうだったのに」


「今も泣きそうです!」


 リリアは叫んだ。


 事実だった。


 だが。


 逃げるつもりはなかった。


 レクスは少しだけ考えた。


 そして。


「そうか」


 頷いた。


 認められた。


 リリアは少しだけ胸を張る。


 その時。


 ドォォォォォン!!


 遠く。


 山脈の方角から爆音が響いた。


 今度は全員に聞こえた。


 地面が揺れる。


「何だ!?」


 カイルが叫ぶ。


 ルナが空へ飛び上がった。


「見てくる!」


 一瞬。


 本当に一瞬だった。


 ルナは戻ってきた。


 だが。


 その顔から笑顔が消えていた。


「まずい」


 全員が息を呑む。


「何が見えた」


 レクスが尋ねる。


 ルナは西を指差した。


「山が」


「崩れてる」


 空気が凍った。


「しかも」


 ルナの声が震える。


「大きいわ」


「すごく」


 ディノが立ち上がる。


 ガイアも目を細めた。


 ヴェルドの笑みが消える。


 レヴィアも真顔になった。


 レクスだけが。


 静かに目を閉じた。


 感じる。


 この魔力を。


 この圧力を。


 忘れるはずがない。


「……まさか」


 かつて。


 何度も戦った。


 何度も競い合った。


 そして。


 誰よりも暴れた同胞。


 レクスはゆっくりと目を開く。


「急ぐぞ」


 その声に。


 誰も異論を唱えなかった。


 西部山脈では今。


 一体の怪物が。


 三万年の眠りから完全に目覚めようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ