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恐竜王レクス 〜三万年後に目覚めた最強王族、人類の世界で冒険者になる〜  作者: Saaaya


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第十七話 初依頼


 冒険者登録を終えた翌日。


 レクスたちは再び冒険者ギルドを訪れていた。


 昨日とは違う。


 周囲の視線が妙に多い。


「見ろよ」


「あいつらだ」


「水晶壊した奴」


「ギルドマスター吹き飛ばした奴」


「訓練場を洪水にしかけた女」


「全部同じパーティだぞ」


 ひそひそ声が飛び交う。


 リリアは頭を抱えた。


 一日で有名人になっている。


 しかも悪い意味で。


「何故見られているんだ?」


 レクスが首を傾げる。


「自覚ないんですか……」


 リリアは遠い目になった。


 その時。


 受付嬢が駆け寄ってくる。


 昨日の担当だ。


 やつれた顔に、わずかな警戒が混じっている。


「依頼を受けに来られたんですよね?」


「ああ」


 レクスが頷く。


「金が必要だ」


「食費のためだ」


 ガイアも続く。


 受付嬢の表情がさらに曇った。


 昨日の件はギルド中に知れ渡っている。


「では依頼掲示板へどうぞ」


 一行は掲示板の前へ移動した。


 無数の依頼書が並んでいる。


 採取、護衛、調査、討伐。


 様々な内容が貼られていた。


「ほう」


 レクスは興味深そうに眺める。


「人類はこうやって仕事を回しているのか」


「便利ね」


 レヴィアも感心している。


 ヴェルドが一枚の依頼書を取った。


「これでいいだろ」


 森の薬草採取。


 報酬は銀貨五枚。


「駄目です」


 リリアが即答する。


「何でだ?」


「皆さんが行く依頼じゃありません」


 ヴェルドは不満そうに戻した。


 今度はガイアが別の依頼を取る。


「これはどうだ」


 魔獣討伐。


 報酬は銀貨十五枚。


「それなら……」


 リリアが言いかける。


 しかし。


「少ないな」


 レクスが即座に切り捨てた。


「確かに」


 ヴェルドも同意する。


「昨日の夕食で消えるわね」


 レヴィアも頷いた。


 受付嬢の顔が引きつる。


 その時だった。


 ギルドの扉が勢いよく開く。


「緊急依頼です!」


 職員が駆け込んでくる。


 場の空気が一変した。


「東の森で異常発生!」


「調査隊と冒険者パーティ三組が消息不明です!」


 ざわめきが広がる。


 バルドが奥から出てきた。


「何がいた?」


「分かりません」


 職員は震えている。


「ただ……現場に残っていた痕跡が異常なんです」


 一枚の報告書が差し出された。


 それを見た瞬間。


 レクスたちの表情が変わる。


 空気が変わった。


「どうしたんですか?」


 リリアが問う。


 レクスは紙から目を離さない。


 そこに描かれていたのは。


 巨大な爪痕。


 三本の深い引き裂き跡。


 本来、人類の魔獣には存在しない形。


「これは……」


 ガイアが低く呟く。


 ヴェルドの表情が消える。


 レヴィアも真顔になる。


 レクスが静かに言った。


「同胞だ」


 ギルド内が静まり返る。


「同胞……?」


 リリアは息を呑む。


 レクスは少しだけ言い直した。


「同じ時代の存在だ」


 ヴェルドが続ける。


「だが妙だな」


「暴れているな」


 ガイアも目を細める。


「人型を維持できていない可能性がある」


 その言葉にリリアは固まる。


「人型……?」


 聞き慣れない単語だった。


 だが誰も説明しない。


 説明する余裕もない。


 レヴィアが小さく呟く。


「魔力が足りないのかしら」


 レクスは首肯した。


「あり得る」


 三万年という時間。


 全ての個体が同じ条件で目覚めたとは限らない。


 力が足りない者は、本来の姿のまま暴走する。


 それはつまり。


「極めて危険だ」


 レクスが結論を出す。


 バルドが静かに言った。


「依頼として正式に出す」


「頼めるか?」


 レクスは頷いた。


「ああ」


 紙に描かれた爪痕を見つめる。


 そしてわずかに目を細めた。


 見覚えがある。


 いや、正確には。


 知っている気配だ。


 最悪の形で。


「さて」


 レクスは静かに言った。


「起きたのは誰だ」


 その言葉と共に。


 初めての依頼は。


 ただの仕事ではなく。


 過去からの警告へと変わった。

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