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恐竜王レクス 〜三万年後に目覚めた最強王族、人類の世界で冒険者になる〜  作者: Saaaya


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第十一話 三万年後の食事


 地上へ出たレクスたちは、リリアの案内で街の中心部へ向かっていた。


 時刻は昼過ぎ。


 大通りには人が溢れている。


 商人。


 冒険者。


 家族連れ。


 子供たち。


 様々な人々が行き交っていた。


「多いな」


 ガイアが呟く。


「三十万人くらい住んでますから」


 リリアが答える。


「三十万か」


 ガイアは感心したように頷いた。


 三万年前なら一つの国が成り立つ人数だ。


 それが一つの都市に集まっている。


 恐竜たちにとっては異常な光景だった。


 その時だった。


 ぐぅぅぅぅ。


 妙に大きな音が響く。


 リリアが振り返る。


 音の発生源はガイアだった。


 本人は平然としている。


「腹が減った」


「そういえば三万年ぶりの食事ですね」


 リリアが苦笑する。


 すると。


「私もお腹空いたわ」


 レヴィアが手を挙げた。


「俺もだな」


 ヴェルドも同意する。


 レクスも否定しなかった。


 封印前の感覚はあるが、実際には三万年何も食べていない。


 空腹を感じるのも当然だった。


「じゃあ食事にしましょう」


 リリアは近くの店を指差した。


 大きな看板。


 賑わう店内。


 香ばしい匂い。


 恐竜たちの視線が一斉に向く。


「何だあれは」


 レクスが尋ねる。


「食堂ですよ」


「食堂?」


「お金を払って食事をする場所です」


 レクスが首を傾げる。


「狩りはしないのか」


「しません」


「便利だな」


 ガイアが頷いた。


 そして四人は店へ入る。


 店内は一瞬静まり返った。


 黒髪の青年。


 銀髪の男。


 巨大な大男。


 そして絶世の美女。


 目立たないはずがない。


 だがリリアは慣れてきていた。


「五名です」


「ご、五名様ですね!」


 店員が慌てて案内する。


 席へ着く。


 メニューが運ばれてくる。


 そして。


 恐竜たちが固まった。


「何だこれは」


 レクスが紙を見つめる。


「文字ですよ?」


「読める」


「なら何故です?」


「料理名が分からん」


 リリアは納得した。


 三万年前にこんな料理はない。


「おすすめは?」


 ガイアが尋ねる。


「肉料理です」


「それにしよう」


 即決だった。


 数分後。


 料理が運ばれてくる。


 巨大な肉。


 焼き立ての香り。


 スープ。


 パン。


 サラダ。


 そして。


 恐竜たちが固まった。


「少なくないか?」


 ヴェルドが言った。


「少ないわね」


 レヴィアも頷く。


「少ないな」


 ガイアも頷く。


 レクスも同意だった。


 リリアは頭を抱えた。


「人間用ですから!」


 店員の顔が引きつる。


 そして。


 レクスが肉を一口食べた。


 沈黙。


 周囲もなぜか静かになる。


 王族の評価を待つ臣下のような空気だった。


 レクスはゆっくり飲み込む。


「……旨いな」


 その瞬間。


 三人が一斉に食べ始めた。


「これは良い」


 ガイアが頷く。


「獲物を丸焼きにするより美味いわね」


 レヴィアが感心する。


「これが調味料というやつか」


 ヴェルドも納得していた。


 リリアは少し安心した。


 どうやら気に入ったらしい。


 だが。


 安心したのは早かった。


「おかわり」


 レクスが言った。


「おかわりだ」


 ガイアも言う。


「追加で十人前お願い」


 レヴィアが笑顔で言った。


 店員が固まる。


 リリアも固まる。


「十人前?」


「足りないもの」


 当然のように言う。


 ヴェルドも頷いた。


「確かに」


 数分後。


 厨房は戦場になった。


 そしてリリアは悟る。


 この四人を養うには。


 とんでもない金額が必要になるのだと。


 その事実に気付いたのは。


 会計の時だった。

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