大好きなあなた 2
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ちょっと離れただけのつもりだったけど、王都はすっかり夏本番になっていた。
シャルルが帰って来るのも、あともう少しかしら?
……わたし、どんな顔でシャルルに会えばいいのかしら?
シャルルの浮気の件も、有耶無耶になったままだわ。
シャルルはわたし以外の好きな女性が、北にいるのよね。
だったら、帰って来てもわたしに会いたくないかしら?
もし、婚約を解消しようと言われたら、わたしはどうしたらいいのかしら?
……シャルルとお別れするのは嫌なのに、前ほど胸の奥がぎゅーってならないの。
嫌なのは確かよ。
シャルルのことは大好きなままだわ。
だけど少し――ほんの少しだけ、もしシャルルとお別れすることになったら、わたしを攫ったあの人はわたしに会いに来てくれるかしら、なんて考えちゃうの。
おかしいわよね?
だって、あの人はわたしを攫って閉じ込めたのに。
シャルルのことは大好きなまま、だけどわたしを攫ったあの人のことも気になるなんて、わたしってばどうしちゃったのかしら。
こういうのを、不誠実って言うんだわ。
わたし、自分は一途な方だと思っていたのに、違ったのね。
シャルルへの後ろめたさからなのか、わたしはもう、このお邸の外にも自由に出かけられるのに、敷地の中から出ようとは思えなかった。
アデライドお姉様の子供に会いに行きたくても、なんとなく、門の外に出たらダメな気がするの。
ここで、シャルルが帰って来るのを待たないと。
ちゃんと、「お帰りなさい」って言うのよ。
シャルルとの婚約がどうなるのかはわからないけれど、彼からは待っていてほしいと手紙が来ていたもの。だから、待っていないと。
わたしの部屋に飾られている永久保存された薔薇の花を見ながら考える。
花をもらったのが嬉しくて、ダヴィドおじいちゃんに頼んで永久保存の魔法までかけてもらったけれど、これを見たら、シャルルは重いって思うかしら。
……あの人も、同じような薔薇をくれたわ。
薔薇を見ていると、どうしても思い出してしまう。
そんな自分が大嫌いよ。
なんでこんなに気持ちが揺れるの?
「ねえマノン。シャルルはきっと、こんなわたしを嫌いになっちゃうわよね?」
「んなわきゃねーだろ。あの陰険魔法使いの頭の中にはマジでお前のことしか入ってねーよ」
わたしの膝の上で、マノンがまた変な声で鳴いた。
まるでマノンに慰められているように感じて、わたしは小さく笑うと、マノンの背中をふわふわと撫でる。
そんな風に、自分の感情を持てあまして、ぼんやりと彼の帰りを待ちながら数日。
とうとう、シャルルが帰ってくる日が来た。
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