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籠の鳥王女は愛されたいので好きにすることにした  作者: 狭山ひびき
籠の鳥王女と魔法使い

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消えたエドウィージュと彼女の変わったペット(SIDEジェラルド) 2

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 ケット・シーという存在は、聞いたことがある。

 物語に登場する妖精猫だ。


(実在していたのか……)


 本人(本猫)曰く、由緒正しいらしいケット・シーのマノンは、エドウィージュがシャルル・サティに攫われたと言い出した。


「なんですって⁉ どういうことですか! どうしてシャルル様がエドウィージュ様を攫うんです⁉」

「知るか! あいつはいろいろネジがぶっ飛んでるんだ。おおかたエジュを独り占めするために攫ったんだろうよ! くそっ、ほんとにムカつく! オレ様がちょっとうたたねしていた隙に締め出しやがって!」

「……うたたねしていたんですね」


 レーヌが冷たい視線をマノンに向けた。

 マノンが起きていたらエドウィージュが攫われるという最悪な状況にはなっていなかったのではないか、と思ったらしい。ジェラルドもそう思う。

 すると、マノンがじろりとレーヌを睨んだ。


「お前らだってあの陰険魔法使いに魔法で眠らされてたじゃねーか! 人のことが言えんのか?」

「「う……」」


 それを言われるとつらい。

 だが、相手は最年少で魔法師団長にまで上り詰めた天才だ。その天才に本気でかかられたら、レーヌもジェラルドも太刀打ちできないだろう。まあ、魔法で襲われるのは想定外だったので、油断していたのは事実なのだが。

 マノンは低く喉を鳴らしながら。


「あの陰険魔法使い、昔っからエジュに色目使ってんだよ。執着っての? とにかくなんかヤバいんだ。オレ様の勘だな。エジュがあいつのことを気に入っているみたいだから目をつむってやってたがよ、まさかオレ様からエジュを奪うなんて暴挙に出るなんてな。ぜーったい許さねえ」


 ジェラルドはふと、ダヴィド老師はマノンが妖精猫だと気づいているのだろうかと思った。

 マノンはダヴィド老師がエドウィージュにプレゼントした猫だ。知っていて渡したのだろうか。


「シャルル様は北に浮気相手がいるんじゃなかったんですか?」

「攫うぐらいだ、嘘なんじゃねーの? あのティファニーとかいう女、俺の嫌いなタイプの女だし。きっと陰険魔法使いと同じくらい陰険なんだぜ。エジュを悲しませたくて言ったに決まってる。……そもそも、エジュに過度に執着しているあいつが、婚約解消になるようなことをするとは思えねえしな」

「なんてこと! あの女っ!」


 レーヌが歯ぎしりをしながらティファニーを罵りだした。

 ジェラルドはこめかみを押さえて、マノンに訊ねる。


「あー、マノン? 攫ったのがシャルル・サティ侯爵なら、エドウィージュ様は安全だと見ていいんだな? 執着と言うのがよくわからないが、あの方はエドウィージュ様を愛していらっしゃるんだな?」

「愛なんて優しいもんじゃねーと思うけどな、ありゃ」

「……不安になりそうなことを言わないでくれ」


 いや、エドウィージュをシャルルが攫ったと聞いた時点で不安はあった。

 そんな暴挙に出るシャルルとエドウィージュを結婚させてもいいのだろうか。エドウィージュが苦労する未来しか見えない。


(……だが、エドウィージュ様はシャルル様が好きだしな)


 ジェラルドは本気で困った。

 エドウィージュを攫われたのだから助けに行くのが護衛騎士としての仕事だ。

 しかし、攫った相手が護衛対象の婚約者なら――どうしたらいいのか。このようなおかしなケースに遭遇した護衛騎士は、あとにも先にも自分だけだろう。


「マノン、エドウィージュ様は無事……なんだな?」

「無事の定義によるんじゃねーの? 怪我させられるかどうかっつー話なら無事だろうよ。自由は奪われてそうだけどな。ついでに言えば貞操の危機はあるかもな」

「それは無事なのか⁉ いやだが婚約者……」

「落ち着いてくださいジェラルド! それは全然無事じゃないですから!」


 レーヌが蒼白になって叫ぶ。お前の方が落ち着けと言いたい。


「しかしレーヌ、エドウィージュ様はシャルル様が好きなんだ。案外、一緒にいられて喜んでいるかもしれん。ほら、会えなくて悲しんでいたからな」

「何呑気なことを言っているんですか‼」


 そうは言うが、ジェラルドは馬に蹴られて死にたくない。

 シャルルの目的は知らないが、婚約者とちょっと二人きりになりたい程度ならそのうち戻ってくるはずだ。

 マノンの口ぶりではエドウィージュとシャルルは相思相愛なようだし、慌てなくてもいいのではないかと思うのだが。


 すると、マノンが「けっ」と笑った。


「どうだろうな。陰険魔法使いは今頃エジュに拒絶されて泣いてるかもしれねーぞ!」

「……どういうことだ、マノン」


 いくら顔を見たことのない婚約者でも、シャルルの特徴は珍しい。

 背がとても高い紫色の髪で魔法が使えるという時点で、エドウィージュがシャルルの正体に気づかないはずはないと思うのだが。


 すると、マノンがとんでもないことを言い出した。


「部屋を閉め出された時、ムカつくから嫌がらせをしてやった。俺が魔法を解かない限り、エジュはあの陰険の顔を見ても自分の好きな男と結びつかねーぞ」


 なんてことをしでかしてくれたんだこの妖精猫は!


 ジェラルドは頭を抱え、最悪な事態になっていないことを切に願った。





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