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籠の鳥王女は愛されたいので好きにすることにした  作者: 狭山ひびき
籠の鳥王女と魔法使い

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王女は戸惑う 3

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 ここに閉じ込められて三日。


 悲しいかな、わたしは閉じ込められているのにまったくといっていいほど、不便さを感じていなかった。

 もともとあちこち出かけたりしなかったから、部屋の中にいるのは苦ではない。

 彼が頻繁に訪れて世話を焼いてくれるから寂しさはないし、ご飯も美味しいし、お風呂にも自由に入れるし……悔しいくらい快適だわ。


 だけど、別の意味でちょっとピンチなの。

 だって、彼がものすごく甘やかしてくれるから、不覚にも彼に対してドキドキすることが増えてしまったのよ。


 ……これは浮気になるのかしら? どうしましょう?


 わたしはシャルル一筋のはずなのに、ものすごく困ったわ。

 これじゃあシャルルに会っても「浮気しないで!」って正妻の威厳を発揮できないわ。


 このままここにいるのは、非常にまずい気がしてきた。

 彼は優しくて、甘やかされるとうっかり甘えたくなるんだもの。わたし、こんなに意志の弱い人間だったかしら? 五歳の時からずーっとシャルル一筋だったはずなのに、どうしてこうなってしまったのかしら? あれかしら? 浮気されたことにショックを受けて、シャルルへの愛情が覚めてしまったのかしら?


 ……そんな馬鹿な!


 いいえ、そんなはずはないわ。だって、浮気相手からシャルルを奪い返したくて北へ向かったはずよ。わたしのシャルルへの愛は冷めてなんていないわ。


 ……ってことは、これって二股? 二股ってやつなの?


 ファヴィエンヌお姉様がくれた恋愛バイブルにもあったわ。二股男が出て来る話が! だけどわたしは女だから、二股女ね。このパターンはなかったわ。

 彼は最初こそわたしのファーストキスを奪うなんて横暴をやってのけたけど、それからはずっと紳士的よ。

 だいたいにおいてわたしを膝の上に抱っこしているのが解せないけれど、「不自由していないか?」っていろいろ気を配ってくれるの。


 今日も今日とて、美味しいクッキーを持って来て、わたしを膝の上に抱っこした彼は、さっきからせっせとわたしの口にクッキーを運んでいるわ。


「もぐもぐもぐ……ねえ、わたしはいつまでここにいるのかしら?」

「一生だ」


 一生……。それはとっても、困っちゃうわ。シャルルに会えないじゃない。


「せめて、一か月くらいにまからないかしら?」

「……逃げたいのか?」


 あ、またこれだわ。

 ここから出たいってわたしが言ったら、彼はとっても暗い雰囲気を纏うの。


「逃げたいというか、現実的じゃないの思うの。だって、今頃きっと、わたしは捜索されているわ。ここが見つかっちゃったら、あなた、誘拐犯にされて捕縛されちゃうと思うの」


 なんとなくいい人そうだから、罪に問われてほしくないわ。

 シャルルがわたしのことをまだ思ってくれているのかはわからないけれど、少しでもわたしへの気持ちが残っていたら、彼もわたしを探してくれると思のよ。

 シャルルは魔法師団の団長というすっごい魔法使いだから、きっとわたしを探し当てるわ。

 そうなったら、彼は逃げられなくなると思うの。


「問題ない。誰も俺を捕まえられないし、誰にも君は奪えない」


 その自信はどこから来るのかしら?

 もしかして、ここはブラン王国よりもずーっとずーっと遠い場所にあるのかしら?


 ……盲点だったわ!


 その可能性は考えていなかった。

 確かに、ブラン王国から遠く離れた場所にいるのなら、簡単には見つけられないわね。


「えーっと、あのね? わたし、結婚する予定があるの」

「……もうあの男とそんなところまで話が進んでいたのか」


 あら、ひくーい声。

 あの男って誰のことを言っているのかしら。シャルルのこと? あら、彼はシャルルを知っているの?

 彼はわたしの手首をつかむと、ころんとソファの座面に押し倒す。


「君は俺のものだ。誰にも渡さない」


 どうでもいいけど、またキスしようとしたら、頭突きを食らわせるわよ?





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