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籠の鳥王女は愛されたいので好きにすることにした  作者: 狭山ひびき
籠の鳥王女と魔法使い

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籠の鳥の王女(SIDEシャルル) 6

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 季節が廻り、春になった。


 俺が北に留まらなくてはならない期間もあともう少しだ。

 仕事の大半が終わったので、うるさいティファニーのいる第二隊は一足先に王都へ帰らせた。

 本当は俺の方こそ帰りたかったんだが、あともう少しなのに途中で任務放棄して帰るわけにもいかない。どうせなら手柄はきっちりと立てておこう。万が一にも、国王にエドウィージュとの結婚を妨害されないためにも。


 ……大丈夫だ、あと少し。あと少しで帰れる。帰ったら最速で結婚式をあげよう。というか結婚式って急いだら何日で挙げられるんだ? 帰った次の日にいけるか? ……いや、無理か。


 しまった。王都を出発する前に、結婚式の日取りまで決めておくんだった。もしかしなくても、また何日も……下手をしたら何か月も待たされるのか? もう待つのも限界なんだが。

 いっそ式なんてすっ飛ばしてエドウィージュをとっとと妻にできないだろうか。できないだろうな。国王たちが許すはずがない。

 ここまで耐えたのに、短気を起こしてすべてをぶち壊すわけにはいかなかった。もうちょっとの辛抱だ。落ち着け、俺。


 そうやってひたすら耐え続けた、ある日のことだった。


「――は?」

「どうしました、団長。空に何か?」


 領主主導で作っていた国境の壁に強化魔法をかけていた俺は、ひゅっと息を呑んで思わず空を見上げた。

 隣で俺の補助にあたっていた魔法使いが、俺と同じように空を見上げる。

 だが、俺はそれに答えることができなかった。


 何故なら――


 ……王都の邸の魔法が解かれた。


 ダヴィド爺だ。

 すぐにわかった。

 俺が王都の邸に施していたエドウィージュを閉じ込める結界が、ダヴィド爺によって解かれたのだ。

 だが何故だ。何故このタイミングなんだ。だって俺はあと少しで帰る――ああ、そうか。

 どろっとした黒い感情が胸の中に広がる。


 ……エドウィージュは、俺から逃げたいんだ。


 そうに決まっている。

 だってこのタイミングだ。

 俺があともう少しで帰る今になって、邸の結界が解かれるなんて、それ以外考えられない。


 エドウィージュにはほかに好きな男ができたのかもしれない。

 あれだろうか。

 ずっとエドウィージュの側に張り付いていた、護衛騎士のジェラルドとかいう男。

 あいつが、エドウィージュの相手だろうか。


 ……そんなの許さない。


 ずっとずっと、エドウィージュを手に入れることだけを考えて来たのに。

 何よりも、誰よりも、世界で一番俺がエドウィージュを愛しているのに。

 俺の側から離れるなんて、断じて許容できない。


「団長」

「ああ……」


 ぺたりと壁に手のひらを当てて、俺は笑う。

 エドウィージュがそのつもりなら構わない。

 逃げるなら、逃げられないようにその翼をもいでやろう。

 そして永遠に俺の腕の中だけに閉じ込めておくのだ。


 ……絶対に、逃がすものか。


 エドウィージュは、俺の――俺だけの、ものなのだから。





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