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籠の鳥王女は愛されたいので好きにすることにした  作者: 狭山ひびき
籠の鳥王女と魔法使い

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籠の鳥の王女(SIDEシャルル) 5

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 北に到着して三か月。


「だーんちょ!」


 ティファニーとか言う名前の、第二隊の女魔法使いが、最近鬱陶しい。

 エドウィージュはここにいないし、面倒くさいからフードを取って活動していたら、どういうわけか付きまとわれるようになった。ティファニー曰く「団長はフードをかぶらない方がいいですよ」だそうだ。人相が悪い俺の顔を晒したほうが、敵が怯えるからという意味だろうか。よくわからない。


 ティファニーは暇さえあれば俺の周りをちょろちょろしながら、やれ、駐屯基地が過ごしにくいだの寒いだの熱いだのぶつぶつ言う。

 面倒くさいから俺たちが使うすべての建物に空調の魔道具を取り付けてやると、以前より輪をかけて付きまとわれるようになった。


 ……暇なのか? 仕事しろ。


 北の国境には、簡単に破られないように結界の魔道具を取り付けた。

 その間に、この地の領主が領民たちを使って、国境に巨大な壁を建設している。

 魔道具の内側に見張り台もつけた壁を作って、万が一攻めて来られても結界内部から敵に攻撃が仕掛けられるようにするそうだ。どうでもいいが、その建設は俺が帰る予定の日までに終わるんだろうな。延長は受け付けないぞ。


「ティファニー。この薔薇をあの辺に植えて来い」

「え⁉ わたしにくれるんですか?」


 いや、やるとは言っていない。

 その薔薇の鉢植えを、砦の近くに適当に植えて来いと言っただけだ。


 ティファニーに渡した薔薇はエドウィージュに渡したものと同じで、俺の魔法がかけられている。

 北の砦付近に植えておけば監視の役に立つだろう。そう思ったのに、ティファニーは薔薇の鉢植えを持ってどこかに行ってしまった。


 ……誰だよあの役立たずをメンバーに加えたやつ。


 第二隊の隊長に決まっているが、どうせ連れて行くなら役に立ちそうなやつを選んでほしかった。

 仕方がないので、俺は別のやつを捕まえて、同じ薔薇の鉢植えを押し付ける。


「これ、植えて来い」


 俺に薔薇を押し付けられた男の団員は、「なんで薔薇?」と首を傾げながらも素直に従った。

 薔薇の鉢植えはまだまだたくさんあるし、一個くらいあの女に取られても構わないだろう。どうせ使い方は俺にしかわからないんだからな。


 ……エドウィージュは元気だろうか。


 邸の魔法に反応がないから、エドウィージュはまだ王都の俺の邸にいるはずだ。

 あの中に、エドウィージュが……。

 好きな女が俺の家で俺の帰りを待ってくれているというのは、なかなかくるものがある。

 早く帰りたい。マジで帰りたい。というかもう帰っていいだろうか。

 帰って抱きしめてキスをしてそのままベッドに直行したい。いや待て、その前に結婚式が先だった。俺の腕の中に閉じ込めるのはそのあとだ。


 ……あのふわふわな髪に触れて顔をうずめて、ぎゅうぎゅうに抱きつぶしたい。


 いやだめだ。ぎゅうぎゅうに抱きつぶしたら、体格差があるから本当にエドウィージュが潰れるかもしれない。優しくだ。そう、優しく。暴走してはならない。


 俺は妄想の中でエドウィージュを抱きしめて――


「だーんちょ!」


 また聞こえてきたティファニーの声に、げんなりした。





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