11話 物語は旧知に巡る。
「心当たりがあるんだ」
スラムの教会近くまで歩くのを支えてくれたシュリとの別れ際、俺がそう言うと彼女は立ち止まった。
「きっと、病気の子もすぐ良くなる」
「……」
「だから、シュリもあんまり気負わずにな」
「……ありがとう」
彼女は小さくそう呟くと路地の奥へと消えていった。
さて、ひとまずミナを迎えに行かないとな。その後、あの人に会わないと。
一人になった途端、足の痛みが戻ってきた。
シュリが支えてくれていた間は気にならなかったが、いざ一人で壁に手をついてみると思った以上にまずい状態だ。
(俺はまた頼るのか……)
ゆっくりと、教会へ向かう。
◆
扉をノックすると、アウレアが顔を出した。
俺の状態を見た瞬間、彼女の表情が変わった。
いつもそうだ。彼女は他人が怪我をしているのを見ると、まるで自分のことかのように思っている。
「ユウトさん……その足は?」
「少し、やってしまって」
「見せてください」
「いや、今日は大丈夫で――」
「見せてください」
穏やかな声だったが、有無を言わさない。
観念して、言われるまま壁に寄りかかる。アウレアがしゃがんで足首の近くを確認した。慣れた手つきだった。
「折れています」
「……ですね」
「魔法で治せます。よろしいですか」
一瞬、迷った。
「……少し待ってください。実は心当たりがあって。そちらに頼もうかと」
アウレアは少しだけ顔を上げた。その表情は驚きに染まっていた。
彼女ならこの骨折ですら治せてしまうかもしれない。いや、事実治せてしまうのだろう。彼女という存在を知ってしまうと、そう思える。
ただ、この先も迷宮に潜り怪我をする度に彼女に頼るのか。その優しい笑顔に甘え続けて、俺はこの世界に順応できるのか。
この骨折はいい機会だ。自分の失敗は自分で責任を持つ。そうしないといつまでも成長しない気がした。
「……分かりました」
彼女はそれ以上は追及しなかった。
代わりに、袋から包帯を取り出してきれいに巻いてくれた。シュリが矢で作ってくれた添え木より、ずっとしっかりしている。
「応急処置だけしておきます。……でも無理はしないでくださいね」
「ありがとうございます」
立ち上がりながら、彼女に思う。
治せると分かっていながら、一言も責めなかった。彼女も、俺がそう言うことを察していたのだろうか。
そのとき、教会の奥から足音がした。
「おにいちゃん!」
ミナが飛び出してきた。
俺の足を見た瞬間、その勢いが止まった。
「……なにそれ」
「少しやっちゃって」
「少し?」
「まあ……少し以上かな」
「ちゃんと言って」
ミナの声が一段低くなった。
怒っているというより、こらえているような声だった。唇を強く結んで、俺の足元を見ている。
「ごめん」
「誰かに、やられたの?」
「悪いネズミがいてな。思いっきり蹴っ飛ばした」
「……ばかじゃないの」
「そうだな」
ミナはしばらく黙っていた。
アウレアが傍にいるのに怪我を治していないのを、不自然に思っているのだろう。
それから、そっと俺の腕を取った。黙ったまま、支えてくれた。
アウレアが優しく笑った。
「行ってらっしゃい、ミナ」
「……行ってきます」
◆
「ガドに会いに行く」
教会を出たところで、ミナに言った。
「ガド?」
「迷宮で一緒だっただろ。おれたちの前を歩いていた」
ミナが少し考えて、目を丸くした。
「……あの怖いひと?」
「あのひとだ」
「どこにいるの?」
「この辺をうろついてるはずだ……多分な」
探す必要すらないかもな。あの警戒心の強いおっさんのことだ。今でも俺のことを監視してる可能性すらある。
ちょうど路地の角に差し掛かったところで、建物の影から声がかかった。
「――ボウズ」
ガドだった。壁にもたれかかって、こちらを見ている。
本当にどこからでも現れる人だな。俺のストーカーなんじゃないか?
「ウソ~~!?」
「また屋根から来たのか?」
「ふん。今回は本当に通りかかっただけだ」
いつもの憎まれ口だ。
ガドは俺の足に視線を落とした。
「やったか」
「ブラッドラットを蹴ったら骨にきた」
「間抜けだな」
「ごもっともです……」
そのとき、ミナがガドに向き直った。
「迷宮のおじさん! 久しぶり!」
「おじさんはやめろ」
「でもおじさんじゃん」
「ガドだ」
「ガドおじさん!」
「…………」
ガドが深いため息を吐いた。俺はそっと視線を逸らした。
一通りやり取りを終えると、ガドは俺に向き直った。
「で、なんだ。あのシスターに頼まなかったのか」
ガドの言葉に、ミナが同意するかのように頭を縦に振る。
(俺だって治す手段があるのに馬鹿らしいとは思うけど)
「まあ……。うーん。相談なんだが、ガド。教会以外で怪我や病気を治療できるところを知らないか?」
「あ?」
「前に情報屋と知り合いだって言ってただろ? ガドなら何か知ってるんじゃないかって」
「おいおい。教会以外が関わる治療行為はご法度だぜ」
「そうなのか。でも、知らないとは言わないんだな」
「……まあな。『オブリゴファミリー』の野郎どもを調べてたら、興味深い噂話があってな」
ガドは咳払いをして、改めるような口調で語る。
「なんでも、奴らの保護区で薬を売ってる薬師がいるらしい」
「薬師……か」
「教会所属でもない奴が、回復魔法も使わずに治療できる薬を売ってるってのは、とんでもねえことだぜ」
「そうなのか?」
「当たり前だ。奴らは自分たちの利権を脅かす存在を絶対に許さない。間違いなく粛清対象だ」
「もし教会がこのことを知ったらどうなるんだ?」
「そんときは、『異端審問官』の野郎どもが大量にこの都市に押し寄せるだろうな」
異端審問官……いい響きの言葉じゃないな。その名前からは悪い想像しかできない。
しかし、教会がそこまで貪欲だとは。シュリが話してた故郷の北の国にも宣教していたようだし、この世界で一番影響力を持っている組織は間違いなく教会だろう。下手したら世界中に支部があるんじゃ。
「ま、オレもそんな気合の入った野郎のことは気になってたからな。それに、まさかとは思うが……確かめたいこともある」
ガドは少し考えてから、あごで方向を示した。
「よし。案内してやる」
◆
ガドについて、南の方角へ歩く。
おれたちの異様な組み合わせのせいか、住人の視線を感じる。害はなさそうだが。
少し遅れてミナが隣に並んだ。
「おにいちゃん。さっきは黙って聞いてたけどさ」
「ん?」
「おぶりご? とか異端審問官とか……なんのことなの。わたし知らないんだけど」
ぎくりとした。
夜、家では毎日のようにお互いその日の出来事を話し合うのが常となっていた。だが、シュリとオブリゴ家の件は心配をかけてしまうのではないかと思い、話していなかったのだ。
「わ、悪い。話すタイミングがなくてさ……」
「危ないことに首突っ込んでるんじゃないよね? おにいちゃん、"良い人"だからそういうのに弱そうだし」
良い人ってなんだ。皮肉みたいな言い方だな。
しかし、ミナの表情は本気だ。心配と同時に、怒りを感じる。
「ほら、もうすぐ着くみたいだから、今度話そう」
「……その時はじーっくりと話してもらうから」
ミナはそう言って、前を向いた。
前を歩くガドが、振り返りもせずに言った。
「相変わらず怖え嬢ちゃんだぜ……」
俺は黙っていた。何も言えなかった。
それからしばらく歩くと、雰囲気がガラリと変わる。
連れてこられたのは、昨日も来た区画のさらに奥だった。
外側は周囲と変わらない古びた建物だが、扉の前に立つと草と土の混じったような落ち着く匂いがした。まるで森の中のような……。
「情報通りならここのはずだが……一応用心しろよ」
ガドが扉をノックする。
沈黙。中からの反応がなく、暗い路地にいるのも相まって、どこか落ち着かない時間が流れる。
「ねえおじさん。本当にここで合ってるの?」
「おじさんって呼ぶな……まあ、もういいか。ちゃんとした取引で得た情報だ。あの情報屋がこの俺に嘘つくとは思えねえが……」
しかし、心配するおれたちの気持ちとは裏腹に、その扉はしばらくして開いた。
扉の先、仄暗い空間から出てきた人物。外套を羽織ってフードを被ったよく見る格好。
その奥から覗かせる暗い赤みがかった長い髪。白い肌。切れ長の黒い瞳がこちらを見た。
俺は一瞬、息を止めた。
その顔に、見覚えがあったからだ。髪や肌の印象は変わっているが、その鋭い視線は見間違うこともなく。
最初にその目が動いたのは、俺ではなくガドの方だった。
彼女は一瞬、驚いた様子だったがすぐに冷静な表情でガドを見つめる。それには、何かを確かめるような間があった。
「……あなたでしたか」
静かな声だった。
「ふん……おれだけじゃねえぞ」
ガドは鼻を鳴らして、そのまま横に退いた。
トリエの視線が、ガドの後ろに立っていた俺を捉えた。
「……ユウト」
確認するような声だった。それから、俺の後ろのミナに目が動く。
「ミナも」
「うん」
ミナが答えた。その声は、少し固かった。
長い沈黙があった。
「入りなさい」
トリエが扉を大きく開けた。
◆
室内は狭かったが、清潔だった。
棚に小さな瓶が整然と並んでいる。乾燥した薬草が天井から下がっている。石臼、木の盆、細かく刻まれた何かの根。全部が使い込まれた様子で、でも丁寧に扱われていた。
知識のない人が見てもすぐに理解する。ここでは薬が作られている……秘された空間だ。
この部屋の主が、まさかトリエさんだったなんて。ガドはこのことを予想していたのだろうか?
部屋の中央に立つトリエは、振り返る。
「――足を見せなさい」
彼女は椅子を指す。
指示通り座ると、トリエはすぐにしゃがんで足首の周りを確認した。
「折れているのは分かってる?」
「はい」
「処置は」
「えっと……矢を折って添え木に。その後、教会で包帯を巻いてもらいました」
トリエが指先で足首の周辺を押さえていく。慎重に、丁寧に。
「っ……」
「どこが一番痛い」
「今押さえたあたりです」
「そう」
さらに数か所確認する。そのたびに鈍い痛みが走った。
隣でミナが俺の手をそっと握った。何も言わなかった。ただ、握っていた。
トリエが立ち上がり、棚の前に向かった。迷わず瓶をいくつか取り出す。その後天井から吊るされた薬草を丁寧にちぎり、それらを石臼に入れ、手慣れた動きで混ぜ始めた。
「骨の位置は悪くない。運が良かったわね」
トリエは少し間を置いた。
「三日、まともに動かさなければくっつく。その後は一週間、安静にすれば元に戻るでしょう」
「しばらく迷宮には行けないか……」
「どう見ても行ける状態じゃないでしょう」
「……そうですね」
できあがったものを布に包んで足首に当てた。きつく巻く。さっきより締め付けが強いが、安定する感じがある。
しかし、骨折が一週間ほどで治るのか。魔法でなくとも、それに近い技術だ。この世界では薬草なども強力な効能を持っているのだろうか。
「これで痛みはなくなる。飲み薬も出す。今夜は冷やさないように」
「ありがとうございます。お代は……」
「銅貨五枚でいいわ」
「安すぎます」
「材料費だけよ」
それ以上は何も言わなかった。
結局、また他人に頼ることになってしまったな。俺の中で借りにしておこう。
◆
処置が終わり、少しの間その場に座っていた。
確かに痛みが引いていた。さっきまでの焼けるような感覚が、じんわりとした重さに変わっていた。
トリエさんは使った石臼や瓶を流しに片付けている。
手慣れた手つきで青い魔石に手をかざすと、それが淡く輝き、水が出てきた。その水を使い、道具を洗っているようだ。
ガドは壁に寄りかかって腕を組み、その様子を静かに見ていた。ミナも同じようにしている。その姿はちょっと面白い。が、ガドとは違いその目は不思議そうに青い魔石を見つめていた。
「ここで、ずっとこういうことをしているんですか?」
自然と口を開いていた。
トリエさんはそのままの姿勢で、静かに語りだした。
「みんなと別れてから、ね。ユウトとミナは元気だった?」
俺のことは聞かねえのかよ、と小声で呟くガドを尻目に口を開く。
「俺はまあ……元気でしたよ。今は足がこんなんですけど」
「私も元気だよ! ユウトと一緒にあそこで暮らしてる!」
「ユウトはやっぱり冒険者になったのね……ミナはどうしてるの? スラムに置いてるの?」
「いえ。俺が迷宮に行く間は、知り合いに預かってもらってます。ほら、俺の毒を治療してくれた……あのシスターの……」
「……っ」
俺がそのことを口に出した瞬間、トリエが一瞬雰囲気を変える。
洗い物をしていたその手が止まる。あの時と一緒だ。トリエがアウレアと対面したとき。
(やっぱり地雷だったか……?)
その時、ミナが声を出す。
「トリエさんって、すごいんだね」
トリエが少しだけミナを見た。
その時には、普通の雰囲気に戻っていた。なんなら少し照れくさそうにしている。
「そうでもないわ……」
「すごいと思う。ユウトの痛みが取れてたし。私にもできるかな?」
「……」
トリエは何も言わなかった。ただ、気まずそうに視線を手元に戻した。
「一つ聞いてもいいですか」
「なにかしら」
作業が一段落したのか、彼女はこちらに振り返る。
「一緒に迷宮に潜っているパーティメンバーの知り合いの子どもが、熱を出していて。この近くなんですが」
「何日続いている」
「多分、昨日から」
「食欲は」
「すみません。詳しくは聞いていなくて……」
「明日、ここに連れてきなさい。もしくは、場所を教えてくれれば私が行く」
間を置かずに言った。
「いいんですか」
「子どもの熱は早い方がいいから」
それだけだった。
俺が言いたいのは、どうして助けてくれるのか、ってことだったんだけどな。
ミナが少し身を乗り出した。
「……ねえ。それってアウレアさんに治療してもらうのはダメなの?」
「ミナ」
「だって、本当のことだし」
俺は制しようとしたが、トリエが先に答えた。
「あの方のところには行けないでしょうね」
「なぜですか」
「……教会は獣人を、受け入れてもらえない。あの方がそうしたいわけじゃないでしょうが」
ミナが少し沈黙すると、辛そうに答えた。
「……そっか」
「ええ」
「じゃあ……明日、私が連れてきます」
俺とトリエが同時にミナを見た。
いやいや、何を言っているんだこの子は。そんな風に。
「今日の話、ちゃんと聞いてたもん。その子、病気で困ってるんでしょ。私は足も折れてないし、場所は聞けば分かる」
「いやいやミナ、お前を一人でスラムを歩かせるわけにはいかないだろ。それに、シュリっていう子もいるんだ。わざわざミナが行かなくても……」
「そうやっていつも私のことを安全な場所に置いて。私はいつまで蚊帳の外なの? ユウトにとって私は足手まといなの?」
「またそんな難しい言葉をどこで覚えたんだ……」
というか蚊帳の外って、この世界にも通じる言葉なのか。
珍しく感情を吐露するミナ。二人でいるときにはこんな我儘は言わないんだが……いや、二人きりだと言い辛いのか。
だからこそ、旧知の仲である人たちに囲まれているこの状況で、彼女は怒ったのだろうか。
(ミナが自分のことを足手まといだなんて思ってるなんて……)
その時、ガドがニヤけながら口を開く。
「過保護な親バカが嫌われちまったなぁ?」
「おじさんは黙ってて!」
ミナが叫ぶと、ミナの体が淡く光りだした。
光魔法の修行をしているからだろうか。感情の高ぶりと共に魔力が漏れてるのか?
そんな様子のミナを見ても、ガドは慌てた様子はない。トリエはあたふたとしている。俺もだけど。内心バクバクだ。
「まあまあ落ち着けや嬢ちゃん。ユウト、てめえが妹を甘やかし続けたツケが回ってきたってことだ」
「おいガド……」
「大好きなお兄ちゃんのために妹が頑張ってくれるってんだ。お前もいつまでも妹に甘えてないで、大人にさせてやれや」
「……」
「ふんっ!!」
ガドが味方してくれたのが効いたのか、ミナの体が落ち着きを取り戻す。
魔法使いはみんなこんな現象が起こるのか? 本当の意味でミナが爆発するんじゃないかと思った。
しかし、ガドの言う通りだな。俺はこの非常な世界で、ミナを守るべき存在として見すぎていたのかもしれない。それが最近の悩みでもあったし、その答えが出せなかったからこそ、こうしてミナの不満を募らせてしまったのだ。
「言いたいことは分かるけど……」
それでも、やっぱりミナをスラムで一人歩かせるのは怖い。
そんな俺の内心を察したのか、ミナはとても大きなため息を吐く。
「はぁ――――じゃあ、おじさんも一緒に来てもらうから。それでいい?」
「あぁ!? なんだと!?」
「おじさんが言ったんじゃん。私を大人にさせてやれって」
「責任……とってくれるよね♡」
満面の笑みで言うミナに、ガドは……。
「悪魔みてえなガキだな……」
承諾ともとれる言葉だった。
ミナを見ると、「ね?」という顔をしていた。
こいつ、さっきまで怒ってたのに。
トリエがミナを恐ろしいものを見るような目で見ていた。
◆
帰り道、ミナは俺の隣で静かだった。
さっきの約束を、まだ覚えているだろう。意を決して、俺は口を開いた。
「ミナ、さっきの話なんだが」
「うん」
「オブリゴっていうのはスラムを仕切ってる組織で、俺のパーティメンバーの……シュリとちょっとトラブルがあってな。それを何とかしようとしていて、ガドが協力してくれてる」
「シュリさんが?」
「そうだ」
「……ユウトが助けようとしてるのに、私は知らなかったんだ」
「言えなかった」
「なんで」
「心配させたくなくて」
ミナが少し黙った。
「……心配させたくない……っていうのが、心配させてるんだからね」
確かにそうだ。言い返す言葉がない。
いったい、俺は自分よりも小さなこの女の子に何回諭されるのだろうか。今後もこの機会は何回でも訪れそうだな。耳が痛い話だ。
「今度からはちゃんと話して」
「ああ」
「約束して」
「分かった……約束だ」
ミナは小さく頷いた。それ以上は言わなかった。
その後、納屋に着いたおれたちは食事を済ませ、横になる。
足の痛みは確かに和らいでいた。トリエの言った通りだった。
今日一日のことが、頭の中で並んでいく。
迷宮での出来事。シュリの過去、その笑顔。教会の実態や薬師。その正体であるトリエ……。
今日は随分といろいろあった。その全てが、疲労感となって体にのしかかっていた。
「おやすみ、ユウト」
「ああ、おやすみ」
目を閉じる。
明日は迷宮に行けない。
初めて、それを少しだけ惜しいと思った。




