10話 物語は過去へと続く。
「おーい!」
その声が聞こえてきたのは迷宮探索中だった。
思わずシュリと顔を見合わせる。お互い驚き……と同時に、呆れも感じていた。
「はぁ……」
シュリは露骨にため息を吐く。周囲に対する警戒をより強める。
今までも探索中に他の冒険者と遭遇することは何度かあったが、声をかけられたのは初めてだな。なにせ、この迷宮の中で声を上げるのは、よほど切迫した状況か、迷宮を甘く見ている人間のどちらかだ。
声の主を確認する。少し先の通路、三人組の若い冒険者だった。いかにも新人、という感じの装備だ。
先頭の男が大きく手を振っている。陽気な顔だった。
後ろの二人を確認すると、隣の女の子が引きつった顔で彼の袖を掴んでいた。
「リオ、馬鹿なの? 迷宮の中で声上げたら何が寄ってくるか分からないでしょ!」
もう一人の男も、周囲を確認しながら苦い顔をしている。
俺はシュリと目を合わせた。彼らに応対するか? と目で伝えるが、シュリが小さく首を振った。
迷宮の中での不文律は、冒険者の間で暗黙に共有されている。お互いに干渉しない。情報交換も依頼もギルドでやる。迷宮の中での余計なトラブルは、命取りになる。
俺は軽く会釈して、通路を変えた。シュリも続く。
遠ざかりながら、女の子が叱る声が聞こえた。
「リオ、もう……」
(元気そうなパーティだ)
仲良し三人組ってところか。故郷から迷宮に出稼ぎにでもきたのか。ああいった雰囲気を醸し出してるのはこの都市では珍しい。
個人的には好ましい人たちだ。彼らの幸運を祈っておこう。
◆
迷宮の多くの分岐は三叉路で構成されている。その分かれ道の選択によって、その日の冒険の可否が決まる。
道の選択を決定付けるのは、空気の流れや独特な感覚に優れる『盗賊』、五感に優れる『弓兵』の能力に依る。極端な話、戦闘に長けないパーティであっても、これらに特化した人物を擁するパーティは迷宮を安全に探索することが可能だろう。
おれたちのパーティの強みは、ここにある。盗賊の俺、五感の優れる獣人の弓兵シュリ。道の分岐は俺が判断し、罠を解除しながら歩く。通路を歩いているときはシュリが正面を警戒する。お互いが足りない部分を補完しあっていて、探索に要求される能力は満たしていると言えるだろう。
だが、それもその能力が十分に発揮できる場合の話だ。
「――グギギ」
正面から現れたブラッドラットたちに、おれたちは全く準備ができていなかった。
三匹。基本的に群れている魔物たちは鳴き声を上げていたり、足音も多く、シュリが先に気づくのが常だった。
幸い、いきなり突進してくる様子もなく、向こうも様子見している。
「シュリ?」
「……ごめん。気づけなかった」
「……とにかくやるぞ」
シュリの様子が気になったが、今は目の前の敵に集中しないと。
腰から短剣を抜き、腰を落とす。後ろでシュリが弓に矢を番える。キリリと木がしなる音が鳴り、それが魔物たちを警戒させる。
「ギィギィ!」「グギギ!」
「――んっ!」
シュリの放った矢はいつものように、先頭にいるブラッドラットの額に吸い込まれ――
――躱された。
「「グギィィィ!!」」
飛んできた矢を皮切りに、三匹が同時に走り出す。
距離があるのも相まって、その速度はどんどん増していく。
「え――」
矢が外れると思わなかったのか、シュリは呆然と立ち尽くしていた。
「くっ!」
俺は正面に立ち、三匹を迎え撃つ構えを取る。
迷宮に潜り始めてから何度か戦闘になることはあった。それでも三匹を同時に相手をするのは初めてだ。
奴らは勢い任せに突っ込んでくる。まともに受けることは難しいが、逃げたら後ろにいるシュリが危ない。
(やるしかない!!)
最初の一手が大事だ。まずは勢いを削ぐ。
迷いなく、俺は先頭を走るネズミに短剣をぶん投げる。小さく悲鳴を上げ、崩れ落ちる。
右から迫りくるやつを思いっきり蹴り上げる。パキッと骨を砕く軽い音。足に激痛が走る。
「――グギィィィ!!」
赤い目。迫る牙。毒。
全力で避けろ。避けろ。避けろ!
「うおおお!!」
身を捩り、ネズミの牙は空を切る。
ネズミは勢いのまま通路に転げる。が、すぐに体制を立て直してこちらに向き直った。
やばい。足が痛みで動かねえ。
「―――あああ!!」
その時、シュリが大きな声で松明を振りながら近づいていった。
それが効いたのか、仲間が倒れたからなのか、徐々にネズミは後ずさっていく。
「グギギ……」
そいつはそのまま暗闇に消えていった。
「ハァ……ハァ……」
「……」
しばらく、お互いの息づかいだけが空間に響き渡る。
その後、静寂を破ったのはシュリの声だ。
「――ユウト! 大丈夫!?」
切羽詰まった様子で俺の心配をしているシュリ。
彼女の聞き慣れない大声。いつもの冷静な姿は消え、不安に満ちていた。
「シュリ。俺は大丈夫だから……」
「わ、わたし、の、ミスで、ユウトが――」
うわ言のように呟く。
瞬間、危険なのはむしろ俺よりも彼女だということを察する。
「わたし、の、せい、だ。わたしの、せいで――」
「シュリ!!」
「ひっ!?」
わざと大きな声を出して、彼女の思考を遮る。
「俺は大丈夫。だから落ち着いて」
「……」
「深呼吸だ。知ってるか? 大きく鼻で息を吸って、ゆっくり口で吐くんだ……ほら」
「えっ、と……」
「吸って~」
「……すぅ」
「吐いて~」
「はぁ……」
「それを繰り返すんだ」
そのまま、シュリは深呼吸を続ける。彼女の呼吸音が、段々とゆったりとしたものになっていく。
「……落ち着いたか?」
「……うん」
「よかった。近くに小部屋があるから、一旦そこで休もう」
「わ、分かった」
起き上がろうとすると、忘れていた足の痛みが襲いかかってきた。
「っ……」
「肩、つかまって」
「助かる」
突進してくる大型犬サイズのブラッドラットを思いっきり蹴り上げたからな。恐らく骨折してる。
シュリの肩に触れると、小さく震えていた。気持ちは落ち着いても、体がまだ心に追いついていないのだろう。
かくいう俺の手も震えていた。
(短剣や素材の回収は……後でいいか)
そのままシュリに支えられたまま、その場を後にした。
◆
小部屋に着いた俺は、痛みに耐えきれずその場に倒れ込んだ。
体中から嫌な汗が止まらない。人間というのは痛みというものにあまりにも無力だ。
心配そうにしているシュリに、俺は声をかける。
「シュリ……荷物の中に添え木に使えそうなものはないか?」
「そえぎ?」
「何か棒状のものとか木の板とか……足に添えるもの。なんでもいいんだ」
「じゃあ……」
そう言うと、彼女は自身の矢筒に入った矢を一本取り出し、先端のところをへし折った。
「これでいい?」
「あ、ああ……。矢は貴重なものじゃないのか?」
「そうでもない」
「そうか。後は包帯をくれ」
「ん」
シュリは背負い袋を床に下ろし、中から包帯を取り出してこちらによこした。
包帯を呼べるほど綺麗な布ではないな。まあこの世界ではマシな部類か。
それらを使って、足に添え木をしようとする。
が、聞きかじった知識を実践しているだけなので、中々うまくいかない。
「くっ……意外とむずいな」
「わたしやる」
「あ、ああ……ありがとう」
シュリに道具を渡すと、遠慮なく俺の足に触れてくる。
ここ一週間ほど迷宮に潜ってる間、彼女と体が触れたことなどほとんどなかった。彼女と俺が常に一定の距離感を保っていたというのもあるが……それがこの前のスラムでの出来事といい、急激に近くなっているのを感じる。
以前なら、このように俺の体に触れることなど拒否していただろう。
シュリも不慣れそうだが、自分でやるよりはマシそうだ。
お互い無言の時間が流れる。彼女が触れる度に走る足の痛みに耐えていると、彼女は小さな声で喋りだした。
「さっきのこと……」
「ん?」
「……ごめん。私……全部……」
「……」
力なく呟くその姿は、普段よりもさらに彼女を小さく印象づける。
シュリがまさかあんなに冷静さを失うとは思わなかった。彼女は常に冷静沈着であったし、レギンと俺が争いになったときも取り乱した様子がなかったから。
今の彼女は、本当の意味で小動物のようだった。
◆
治療を終え、歩ける程度にはなった。
ブラッドラットを倒した場所に戻り、短剣や素材を回収するあいだも、シュリは落ち込んだ様子だった。
そんな彼女に掛ける言葉が見つからないまま、帰り道に入ったとき。
シュリがぴたりと止まった。
「……血の臭い」
「どこだ?」
シュリが通路を外れた狭い横道を示した。
普段は血の臭いがする場所は避けていた。血の臭いがする場所は、冒険者の死体があったりする危険な場所の可能性があったり、魔物の死骸があれば、その近くに倒した冒険者がいることが多いからだ。その場合は不要なトラブルになるかもしれない。
だが、今回は無視できなかった。
なぜなら、この場所はあの新人パーティに話しかけられた場所に近かったからだ。
「……慎重に行くぞ」
近づくと、俺にも分かった。金属の臭い。生臭さ。
通路から顔を覗かせる。
「――」
横道の奥に、三人の人間が倒れていた。
先ほどの、三人組だった。
しばらく、その場に立ちつくした。
手を振っていた男。叱っていた女の子。苦い顔をしていた男。
三人全員が、もう動いていない。周囲に魔物の気配はなかった。戦闘があった痕跡だけが残っている。壁には剣で薙ぎ払われたような傷。彼らの体には無数の噛み傷。肉が乱雑に引きちぎられていた。
(ブラッドラットの……それも大量の?)
確かめる方法はなかった。
シュリがしゃがんで、死体の首元に手を伸ばした。
「何をしてるんだ?」
「冒険者証、持って帰る義務がある」
「……そういうルールがあるのか」
「迷宮で死んだ者を見つけたら、できるだけ持って帰る。ギルドが記録を更新する」
シュリは淡々と続ける。
「……帰らない人を、いつまでも待たせないために」
その一言が、妙に重かった。
「シュリ……大丈夫か?」
「……」
彼女は返事もしないまま、彼らの首から冒険者証を外していく。
その後、荷物を漁り始めた。外すのが大変な防具は置いておいて、武器や道具袋を外していく。
死人に口無し。もう彼らがそれらを有効活用する機会は訪れないのだ。
「あ……」
最後に男の革袋を確認したとき、青白い光が漏れた。
魔石だった。
今まで俺が見つけた中で最も大きい。親指二本分ほどの大きさで、色も深い。
シュリと迷宮に潜り始めてから、魔石は一回も発見したことはなかった。おれたちが安全な探索をしているのもあるだろうが、パーティ初の魔石がこんな形で見つかることになるとは。
(皮肉なものだ)
順調に冒険し魔石を手にしたであろう彼らは死に、満身創痍のおれたちは生きて魔石を回収する。
今回はおれたちが生き残ったが、いつかおれたちが彼らのようになってしまうのかもしれない。迷宮に潜り続ける限り。
陽気に手を振っていたあの男の顔が、まだ目に残っていた。
◆
ギルドに戻ると、セルナがカウンターにいた。
俺が足を引きずるように歩いているのを見ると、彼女は驚いたように声を上げる。
「ユウトさん……怪我したんですか?」
「……」
「ああ、そうなんですけど……まあ、とりあえず報告したいことが」
革袋から冒険者証三枚をカウンターに置く。セルナがそれを見て、目を伏せた。
「……リオさんたちですね」
「知っていたんですか」
「今日、登録したばかりでした」
「他にも回収したものがいくつかあって」
俺がそう言うと、シュリが回収したものを並べる。
それを見てセルナは静かに処理を始めた。こういう場面を、何度も経験しているのだろう。
手は止まらない。感情は表に出さない。でも、ペンを持つ指が少しだけ強張っていた。
「発見者への規定の報告金と、回収した装備の換金、それから魔石の査定を合わせると……」
セルナが数字を出した。
「銀貨四十枚と、銅貨十九枚です」
ここ一週間の稼ぎを遥かに超えた収入だ。だけど、素直に喜べなかった。
革袋を受け取りながら、横のシュリを見る。
「……」
今までのシュリだったら、深く被ったフードの奥で笑みをこぼしていただろう。けど、そんな彼女も今日は無反応だった。
「……では、またご利用くださいませ」
「あ、はい」
そんな雰囲気を感じとったのか、セルナは取り仕切るように言う。
ササッと受付から離れ、シュリと共にギルドを出た。
彼女は体をこちらに向ける。が、顔は合わせようとしなかった。俺の引きずっている足を見ていた。その脳内は、自責の念にでもかられているのか。
そんな彼女の姿を見て。
咄嗟に、言葉が出た。
「頼ってくれないか?」
そう言うと、シュリは驚いたように俺の顔を見上げた。
「え?」
「なんでもいい。今すぐ俺に何か手伝わせてくれ」
変なことを言っている自覚はある。骨折しているような男が何を言っているんだ、とも。
それでも、止まらなかった。
「……じゃあ、ひとつだけ」
果たして、彼女はそう言って歩き出した。
◆
シュリに支えられながら、おれたちは城壁の外へと出た。
静かに吹く風が、森の木々を控えめに揺らす。
茜色の夕日が街の城壁を赤い絵の具で塗りつぶしているのを、俺とシュリは静かに眺めていた。
二人、切り株に座ってナイフを持ち、木の枝を削っている。
「しかし、矢作りとはな……手作りだったんだな」
「うん」
器用に削り出していくシュリとは違い、俺は何度も突っかかりながら枝を削っていく。
難しいなこれ。そういえば、転生する前は美術の授業とかで彫刻刀を使ったりしたっけな。うろ覚えだけど、その時も決して上手ではなかった気がする。
ゆっくりと時間が流れていく。自然に囲まれているからか、気持ちがいいな。
その時だった。
シュリが突然、フードを脱いだ。
現れたのは、美しい紫色の髪だった。夕日に照らされた髪は赤く染まり、紅紫色に輝いていた。またその下の気だるげな瞳も、同じように妖しい紫紺の輝きを放っている。短く乱雑なその髪の下から生えている猫の耳。こじんまりとした口元。
こうして姿を晒してくれた彼女に対して抱いた印象は、これまでと変わらない。シュリはシュリだった。
「綺麗な髪だな」
「――君なら、そう言うと思った」
そう言って微笑んだ。
彼女はそのまま、ぽつりぽつりと語りだす。
「私の故郷は、ずーっと北にある」
「獣の国。その端っこ。畑が広がる小さな村」
彼女は自身の髪に触れながら、続ける。
「生まれが、良くなかった」
「親と違う髪色。女神と真反対の……紫色」
「両親、私のこと隠して暮らした。穏やかな暮らしだった」
いつの間にか、お互い手の動きを止めていた。
静かな風の音も聞こえないぐらい、彼女の声に集中していた。
「――それを、私が壊した」
「綺麗な蝶。たまたま家に入ってきて、たまたま追いかけた」
「気がついたら、外だった。すぐ家に戻ろうって思った」
「でも、初めて出た外は、あまりにも広くて。あまりにも……」
「その時、遠くで、私のことを見てる人がいた。」
「それが、女神教の宣教師。当時、女神教は獣人にも教義を伝えようとしてた」
「すぐに村中知れ渡った。紫の髪の子どもがいるって」
「その日、いつも穏やかな村が……大人たちの怒号で……」
何かを思い出すように震えている。彼女の頭で、当時の光景が浮かんでいるのだろう。
この都市では色んな人が暮らしているから忘れそうになるが、この世界は見た目の特徴などで差別が起こるなど当たり前なんだろう。
「無理に喋らなくてもいいぞ」
「……いや。聞いてほしいと思った、から」
彼女は意を決したように、続けた。
「覚えてるのは、体中の痛み。両親の悲鳴。あと……燃え広がる炎。木々の焼け焦げた臭いが嫌に鼻についた」
「……」
「村の人たちの顔が、悪魔みたいに炎の中で揺れてた。彼らの責め立てるような声。うるさくて、必死で耳を塞いだ」
その当時、彼女はいくつだったのだろう。
遠い昔のように語るのを見ると、幼い時代の出来事なのだろう。
「気がついたら、一人で馬車に揺られてた。両親がどうなったか……分からない」
「……」
「そこから、荷馬車を乗り継いで、貨物船に乗り込んで。この都市に着いた。不法入国って言われた。市民権がないって」
「……」
「だから、あんなところで暮らしてる。『オブリゴ家』の保護区は誰でも住める。同じような境遇の獣人の子ども、何人も居た」
「あの子達は家族ってわけじゃなかったのか」
「一緒に住んでるだけ。あそこが今の私の唯一の居場所……だから失うわけにはいかない」
「お金が必要。だから冒険者になった。両親に学んだ弓矢のことも、生かせるから……」
「……」
「失敗できない。私は……だから……今日のことは……」
シュリのミスで陥った危機。あの死んでいた新人パーティの人たち。一歩間違えたらああなっていたのはおれたちだった。
それら全てが、彼女の心を重くする。心のどこかで、シュリは強い人だと思っていた。いつも冷静で合理的な判断を下すし、俺自身頼りにしている部分は多かったから。
それでも、今こうして見ると、彼女はまだ小さな少女だったのだ。
「今日、迷宮に入ったときから調子悪かったよな。集中できてないみたいだった」
「……一緒に住んでる子が、病気になった」
「教会には?」
「そんなお金ない……それに、今の教会、獣人を受け入れない」
教会も差別主義なのか。先ほどの話では村に宣教師がいたと言っていたし、この時系列の間に、教会自体の思想を変えるほど大きな事件か何かがあったということか。
この世界での医療施設は教会が担っている。病院、という概念は存在せず、怪我人や病気の人間は教会に駆け込むのが常だ。
それに拒否されているということは、実質的に病気などの治療方法がほぼ皆無ということになる。
「解毒薬みたいな、売ってる薬はないのか?」
「あれは病気とかには効かない……教会が作ってるけど、わざとそうしてるって聞いた。直接治療するほうが稼げるって」
「マジで腐ってんな……」
教会の悪名は高い……が、治療魔法は神官しか使えない。
ふと、アウレアの顔が思い浮かぶ。彼女も女神教に仕える神官らしいが……その実態はあまりにも特殊だ。アウレアが獣人を差別しているところは全く想像できない。彼女なら治療してくれるかもしれない。
ただ、孤児院の中に獣人の子どもはいなかった。そのことを考えると、あのアウレアですら、獣人を受け入れるのは問題があるのか……?
だとすると、気軽に彼女を頼るのは危ないかもしれない。彼女自身にも迷惑がかかるかも。
「どうしたもんか……」
「ユウトも、考えてくれるの?」
「当たり前だろ。同じパーティだし……シュリが集中できないのは、俺にとっても死活問題だしな」
「……そっか」
彼女は立ち上がる。
「話してよかった」
そう言って笑う彼女を、美しいと思った。




