一人のお馬鹿さんは今
国王から聞いた話にはしゃぐ王妃は、
周りがまったく見えていなかった。
王妃アイラは元々は異世界である地球からやってきた渡り人である。
アイラの故郷である国は魔法などはないが科学が発展していた。
アイラがザイラスに渡ってきた時に、この国が乙女ゲームの世界だとすぐ
気づいた。
神殿に最初に保護されたアイラが出会ったのはザイラスの聖女マリアナだ。
初めて会った聖女は美しかった。
ふわふわした淡い金髪に白いシミ一つない肌、なによりアメジストの双眸が一際目立っていた。
神話の女神に似たマリアナは中身も聖女そのもので 異世界人のアイラに優しく微笑んでくれた。
皆から慕われる優しく美しい聖女。そんな聖女にアイラは嫉妬をした。
元々顔はアイラも可愛いが聖女とは比べるまでもない。
だが元の世界で周囲から、ちやほやされてきたアイラはこの世界で聖女として愛されるマリアナが嫌いだった。
マリアナは人を疑うことを知らぬ清純な性格だという所を利用してアイラは
マリアナに泣きついた。
「私は貴方と同じ治癒ができますがまだ未熟なので助けて下さい」
優しいマリアナはまんまと引っ掛かり
助けてくれる。アイラがさも治癒したかように見せかけマリアナが治癒をする。
あとは簡単だった。
マリアナの婚約者であった王太子に泣きつき聖女に脅されて力を隠してきましたと囁く。
すっかり騙された王太子、現国王はマリアナを冤罪で国外追放にした。
その時、聖女は泣き崩れ「違う、私はそんな事は知らない!」と叫んだ。
普段の穏やかさが消え去り虚ろな瞳の
聖女にアイラは満足した。
しかし聖女が断罪された際に聖女に付き従うものも多かった。
上位神官達やシスター、聖女の騎士などが共に国を出ていった。
国民の中にもいまだにおかしいと言うものもいる。
王妃に君臨したアイラはそのまま第一王子を産んだ。産んだ子供が乙女ゲームのメインヒーローだと気づいた時は
とても喜んだ。
息子の婚約者はゲームの悪役令嬢で、
すべてゲーム通りだった。
月日が流れ息子が16になるとヒロインと共に悪役令嬢を婚約破棄するシーンで予想外なことが起きた。
悪役令嬢のルアティナから溢れる殺気で失神したのだ。
あとから聞くと彼女は魔族だった。
ルアティナはどこか聖女マリアナに似ている。
美しさはもちろん微笑み方や歩き方、まるで聖女マリアナのようだ。
今聖女を名乗っているアイラより彼女の方が聖女らしい。
ルアティナに失言したらしいアイラは
また失神するはめになるが、もう気にしていない。
ルアティナは国に帰ったから一安心だと勘違いをしたまま王妃は現状を楽しんでいた。




