ケンカ売ってますか?
ルアティナは今、国王にひたすら謝られていた。見ていて滑稽な姿に笑えてくる。
「ルアティナ嬢、私の息子が済まんかった!この通りだ許してくれ!」
「何を許せばいいでしょう?」
さっきから同じフレーズしか言わない男にだんだん飽きてきた。まず、この男を許したところで現状は変わらない。
「あれはルアティナ嬢が魔族だったから嫌だったと思うの」
王妃から発せられた言葉にルアティナは一瞬、耳を疑った。そんなルアティナに気づかない王妃はさらに爆弾を落とした。
「魔族は野蛮で悪い人たちばかりでしょう?それに貴方は悪役令嬢で」
「やめろ!アイラこれ以上はー」
「へぇ、そうなの」
母から婚約者を奪った女だけある。醜悪で醜いのは人間だ。人間は魔族を罵り土地を奪おうと進軍してくる。
そんな人間に野蛮で悪役だと言われるとは。王妃は異世界からきたらしいが悪役令嬢とか意味が分からない。
そんなに悪役になって欲しいってことだろうか。
お馬鹿なのは親も変わらない。
母の故郷とかもうどうでもいいと思えてきた。ここまで来るともはや笑えてくるのは私だけだろうか。
「フフッ、おかしいわね」
「ル、ルアティナ嬢・・・?」
「そんなにケンカしたいのね」
「まっ、待ってくれ妻は、」
「なにかおかしいこと言ったの?」
慌てる国王と首を傾げる王妃。王妃があの時失神したのは恐怖からだったからなのにもう、忘れたのだろうか。
そんなに思い出したいならそう言えばいいのに、回りくどい。
目をぎらつかせて二人を見つめた。軽く足で床を蹴ると、あっという間に穴があきヒビが入った。
「わかりました。人間はケンカがしたいとお父様に言っておきます」
恐怖ですくみ上がった二人は体を震わせ悲鳴をあげた。ゆっくり二人に近づいて笑いかけたルアティナの目は笑っていない。
「このままで済むなんて、考えてないわよねぇ?」
クスクス笑うルアティナに先に王妃がまた失神する。床に倒れた王妃の頭を踏んづけながら国王に宣言した。
「これより魔国アーディルはザイラス王国を敵と見なしますわね。」
今度こそ国王も絶叫しながら失神した。
だが、お馬鹿さんたちは知らなかった。
ルアティナにした仕打ちや発言を魔王がきっちり魔法で見ていたことを、
すべてはもう始まっていたことを。




