魔王の娘なんですけどね?
目の前の茶番劇にルアティナは必死に笑いを堪えていた。
思わず口元を押さえて声を押し殺したルアティナに男は話しかけてくるが、
そんなことはどうでもいい。
ルアティナ・ナーヴィスはザイラス王国の公爵令嬢であり、軽くウェーブがかった黒髪にルビーのように輝く双眸を持つ美少女だ。
表向きは、ナーヴィス公爵家の令嬢だが実は人間ではなく魔族。
人間にはない膨大な魔力と稀に見ぬ美貌を持つ彼女の父は偉大なる魔王である。
幼い頃に母を亡くしたルアティナは父に溺愛され育った。
そんなルアティナは10歳の時に人間の国に王女として嫁ぐことになった。
魔王は飽きたら戻ってこいと泣きながらすがりついてきたが。
本来なら蹂躙するはずだったが、母の故郷だったが故に婚姻という形で支配することになった。
母はその国の聖女だったが、国外追放されて魔国にたどり着いたらしい。
聖なる力に惹かれて会いにいったお父様は母に一目惚れし、強引に結婚した。
さすが魔王って感じだ。私も見習おうと思います。
ザイラス王国の王に泣きつかれて仕方なく婚約してやったのにこの仕打ち。
泣きついてきた国王は母を国外追放した本人で最初はなぶり殺す予定だったがこいつが追放していなかったら、父と母は出会ってなかったことに気づいたから寛大な心で許した。
なのに、なんだこの茶番劇。怒りを通り越して笑える。
親が親なら子も子だ。目の前の男は魔族からしたら不細工だと思うし、女はもはや論外。
女の方は男を侍らしていい気になっているメス豚にしか見えない。
淫魔レベルの女はだらしない胸元を見せびらかしてくる始末だ。
魔族の幼なじみが見たらその場で八つ裂きにされそう。
女には見覚えがないし、そう言われる筋合いがないんだが。
思わず真顔になってしまったが、許して欲しい。目が腐るので逸らして、考えているとお馬鹿さんたちはさらに口走った。
「貴様を国外追放する!穢れた姿を二度と私の前に見せるな!」
「その通りだわ!」
――こいつら死にたいのかしら?
ルアティナが国に戻ったら破滅の道を辿り、魔族に蹂躙される。
それも分からないお馬鹿な王子とメス豚は楽しい未来に胸を踊らせているようだ。
周りを見ていない馬鹿な二人は王妃が失神したことや国王が真っ青な顔をしているのにも気づかない。
――ケンカは買ってあげるわ。
視線を二人に移したルアティナは笑った。
退屈していたからちょうどいい。魔族には人間を食べたり、いたぶるやつがいる。ルアティナはそれの良さがわからなかったが今、理解した。
馬鹿どもをいたぶるのは退屈しのぎになりそうだ。
狙った獲物は逃がさない。骨の髄まで
いたぶることをルアティナは決めた。
売られたケンカは買って倍返しにすることは楽しいだろう。
これからどうやっていたぶるかルアティナは楽しく考えていた。




