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戦えない僕は植物図鑑で生き延びる  ~じぃちゃん、いつの間にか最強になってた~  作者: とも


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11/25

2-1 家族ではないけれど‥‥‥

「今日から、こいつの飯も頼む」


「「勝手に決めないでください!」」


 僕と、白いエプロンを着けたおばあさんの声が重なった。おばあさんは僕を見て、それから源蔵さんをにらんだ。

「源蔵。あんたは、また何を勝手に決めたんだい?」

「別に勝手ではない。管理人の許可はもらった」

「もらったのは宿泊の許可だろう。食事を作るのは私だよ」

「1人分くらい増えても同じだろう」

「作らない人間は、すぐそう言うんだ」

「金なら払う」

「この子から取る気かい?」

「わしが払うから、いいだろう」

 源蔵さんが胸を張った。だけど、その胸が途中で少しだけ縮んだ。

「‥‥‥払える範囲で」

「急に声が小さくなったね」

 おばあさんはため息をついた。

 それから、僕へ視線を戻す。


「名前は?」

「小森樹です。13歳です」

「ずいぶん小さいね。10歳くらいかと思ったよ」

「13歳です」

「そうかい。悪かったね」

 謝ってくれたけれど、おばあさんの目はまだ疑っている。たぶん、本当に13歳なのか考えているんだと思う。

「私は飯田芳江いいだ よしえ。72歳。ここでは、みんなの食事を作っているよ」

「よろしくお願いします」

「この子は、源蔵よりずっと礼儀正しいじゃないか」

「わしが教えた」

「今日会ったばかりなのに?」

「今日ではない!」

 芳江さんは源蔵さんの言葉を無視して、僕の持ってきた箱をのぞき込んだ。

 中には服や鍋、採取道具が入っている。一番上には、宿舎の冷蔵庫から持ってきた食用草を置いていた。

「これは何だい?」

 芳江さんが、少ししなびた葉を持ち上げる。

「青腹草です。食べられます」

「ただの草じゃないか」

「草‥‥‥です」

「本当に食べられるのかい?」

「少し苦いですけど、毒はありませんし、塩を入れて煮れば食べられます。それにその辺に生えていますし‥‥‥」

「それを普段から食べていたのかい?」

「お金がないときだけですけど‥‥‥」

 芳江さんの眉が上がった。

 源蔵さんは、腕を組んで大きくうなずく。

「聞いたか?こいつの冷蔵庫には、水とパンと、その草しかなかったんだ」

「源蔵さん。言わなくていいです」

「こういうことは、言った方がいいんだ」

「どうして?」

「わし1人では、お前に何を食わせればいいのか分からんしな‥‥‥」

「子どもも大人も、食べるものは同じですよ」

「量が違うだろう」

「僕は、それほど食べなくても大丈夫です」

 そのとき、僕のお腹が鳴った。


 ぐうぅぅぅーーー。


 芳江さんが僕を見る。

 源蔵さんも見る。

「これは‥‥‥違います」

「さっきも同じことを言っておったな」

「お腹が返事をしただけです」

「何に返事をしたんだい?」

 芳江さんが聞いた。

「それほど食べない、という話に‥‥‥」

「否定しているじゃないか」

 どうやら、僕のお腹は僕の味方ではないらしい。

 芳江さんは青腹草の葉を裏返し、匂いを嗅いだ。

「少し苦いと言ったね?」

「はい。茎に近いところほど苦くなります」

「火を通しすぎたら?」

「もっと苦くなります」

「なら、最後に入れればいいか」

「何をするんですか?」

「これを食べるんだろう?」

 芳江さんは青腹草を持ったまま、廊下の奥へ戻っていった。

 僕と源蔵さんも、そのあとを追った。かつて家庭科室だった部屋は、共同住宅の台所に作り替えられていた。

 大きな調理台。

 いくつも並んだ鍋。

 古いけれど、きれいに磨かれた包丁。

 棚には、住人たちが持ち寄った調味料が並んでいた。


「芳江さんは、昔、食堂をやっていたんだ」

 源蔵さんが小声で教えてくれた。

「料理人なんですか?」

「昔の話だよ」

 芳江さんは、こちらを見ないまま答えた。

「夫と2人で小さな食堂をやっていたんだ。ダンジョンができてから客が減って、夫が死んだあとに店を閉めた。それだけさ」

 芳江さんは、僕が持ってきた青腹草を水で洗った。

 しなびていた葉が、少しだけ元気を取り戻す。

 鍋の中には、野菜と小さく切った肉が煮込まれていた。売り物にならない形の野菜や、安い切り落とし肉を使っているらしい。

 芳江さんは青腹草の硬い茎を切り落とし、葉の部分だけを細く刻んだ。鍋の火を止める直前に入れ、軽く混ぜる。それから、少し味見をした。

「確かに苦いね」

「だから言ったじゃないですか」

「でも、嫌な苦みじゃないよ」

 芳江さんは、棚から白い粉の入った瓶を取り出した。

 ほんの少しだけ鍋へ入れる。

「何を入れたんですか?」

「粉乳だよ。少し入れると味が丸くなる」

 もう一度、味見をした芳江さんが、満足そうにうなずいた。

「これなら食べられるよ。苦い春菊みたいな味だね」

 大きな机を囲み、共同住宅の人たちが夕食を食べ始めた。

 僕の前にも、湯気の立つスープが置かれる。

 野菜、肉そして青腹草。

 いつも僕が作る塩味の草スープとは、見た目も匂いもまったく違った。

「食べていいんですか?」

「そのために出したんだよ」

「でも、お金が‥‥‥」

「今日は試食だ。気になるなら、あんたが持ってきた草が材料費ということにしておくよ」

 青腹草の買い取り価格は、1本5円。

 3本で15円だった‥‥‥

 このスープの材料費には、どう考えても足りない。

 それでも芳江さんは、僕が食べ始めるまで腕を組んだまま待っていた。

 僕はスプーンでスープをすくい、口へ運んだ。


 ‥‥‥温かい。

 青腹草の苦みは少し残っている。

 だけど肉のうま味と粉乳の甘みが混ざり、嫌な苦さではなかった。

 柔らかく煮えた野菜も、しっかり味が染みている。


「おいしい‥‥‥」

 思わず、声が出た。

 芳江さんの口元が、少しだけ緩む。

「そうかい」

「青腹草が、こんな味になるなんて知りませんでした」

「食べられると、おいしいは別だからね」

 僕は、もう一口食べた。

 それから、もう一口。

 温かいものがお腹へ入っていく。

 冷たくなったパンや保存食では感じたことのない熱が、体の内側へ少しずつ広がっていった。

 源蔵さんが、僕の食べる様子を見ている。

「源蔵さんも食べないんですか?」

「食っておる」

「さっきから全然減っていませんよ」

「年寄りは、ゆっくり食うんだよ」

「僕を見ていたでしょう?」

「見ておらん。お前の後ろの壁を見ていたんだ」

「何もありませんよ?」

「壁の具合を見ておったんだ」

「食事中に?」

「修理が必要かもしれんからな!」

 意味の分からない言い訳だった。

 僕が半分ほど食べたとき。

 芳江さんが、急に持っていたスプーンを止めた。


「‥‥‥なんだい、今のは?」

「どうしました?」

「頭の中に声が聞こえたんだ」

 源蔵さんと僕は顔を見合わせた。

「経験値の声ですか?」

「経験値?」

「なんて聞こえました?」

 芳江さんは戸惑いながら、聞こえた言葉を口にする。

「青腹草を調理しました。経験値を0.03獲得しました‥‥‥だとさ」

 僕は、スープの中の青腹草を見た。

「ダンジョンで採れた植物を料理したからだと思います」

「料理でも経験値が入るのかい?」

「道具を直したときにも入った」

 源蔵さんが、なぜか自慢げに言う。

「わしは採取鍬を直して0.05。採取籠を作って0.10だ」

「私の料理より多いじゃないか」

「経験の差だな」

「食べられない籠を作っただけだろう」

「籠は食うものではない!」

「なら、料理と比べるんじゃないよ」

 2人が言い争っている間に、僕は残りのスープを食べた。

 気づけば、器の中は空になっていた。

 こんなにきれいに食べたのは、久しぶりかもしれない。

「おかわりは?」

 芳江さんが聞く。

「お金がかかりますか?」

「かからないよ」

「なら、少しだけ」

「少しじゃ分からないね。半分かい?」

「‥‥‥いっぱい」

 芳江さんは笑いながら、僕の器へ最初より多くスープを入れた。


 その日の夜。

 僕は、源蔵さんの隣の部屋で眠ることになった。古いベッドに、宿舎から持ってきた薄い布団を敷く。

 窓が大きいせいか、部屋の中は少し寒かった。

 僕は植物図鑑を枕元へ置き、明かりを消した。


 目を閉じる。

 だけど、なかなか眠れなかった。知らない部屋だからではない。

 廊下から、人の声が聞こえるからだ。

 誰かの笑い声。

 食器を片づける音。

 少し離れた場所では、源蔵さんが管理人に叱られている様子だった。

「だから、勝手に子どもの荷物を運ばないでください!」

「本人も一緒だった!」

「本人が嫌がっていたじゃありませんか!」

「最終的には来ただろう?」

「高倉さんが無理やり連れてきたんでしょう!」


 ちょっと、うるさい‥‥‥

 だけど、不思議と嫌ではなかった。

 宿舎の部屋では、夜になるとほとんど何も聞こえなかった。

 自分の呼吸と、古い冷蔵庫の音だけ。

 ここでは、壁の向こうに誰かがいる。

 もし夜中に具合が悪くなっても、声を出せば誰かが気づいてくれる。

 そんなことを考えたのは、初めてだった。


 翌朝。

 僕は、廊下を歩く足音で目を覚ました。扉を開けると、源蔵さんが立っていた。

 手には、新しい歯ブラシと茶碗、それから毛布を持っている。

「なんですか、それ?」

「お前のだ」

「僕の歯ブラシは、箱の中にあります」

「毛先が全部開いていただろう?」

「まだ使えますし‥‥‥」

「使えることと、替えなくていいことは違う」

 採取鍬を直したときと、同じ言い方だった。

「茶碗も必要ありません。共同住宅のものを借りればいいです」

「自分のものがあった方がいい」

「毛布もあります」

「薄すぎる。これじゃ寒い」

「こんなに買ったら、お金がなくなりますよ」

「昨日、修理の仕事を頼めないか、管理人に聞いた。壊れた椅子が山ほどあるらしい」

「でも‥‥‥」

「家族が増えたら、必要なものも増える。そんなことも知らんのか?」

 源蔵さんは、言ってから動きを止めた。

 僕も止まった。


 家族‥‥‥

 源蔵さんが、僕を見ないように顔をそらす。

「いや、その……言葉のあやだ」

「僕たちは、家族じゃありませんよ」

「分かっておる」

「血もつながっていません」

「分かっておると言っているだろう」

 源蔵さんは、僕へ毛布を押しつけた。

「とにかく使え。寒くて風邪を引かれたら、わしが困る」

「どうして源蔵さんが困るんですか?」

「草の見分け方を教える人間がいなくなるだろ?」

「図鑑を読めばいいでしょう?」

「字が小さすぎて、見えん‥‥‥」

「老眼鏡を買ってください」

「うるさい!」

 源蔵さんは、自分の部屋へ逃げるように戻っていった。


 午前10時。


 昨日の管理人に呼ばれ、僕たちは元職員室だった部屋へ向かった。中には、管理人のほかに2人の女性が座っていた。

 1人は、僕が暮らしていた遺児宿舎の担当者、もう1人は、地域の生活支援員だった。

 机の上には、何枚もの書類が置かれている。

「小森君。まず確認します」

 生活支援員が、穏やかな声で言った。

「高倉さんと、こちらの共同住宅で暮らすことを希望していますか?」

「とりあえず、閉鎖中の3日間だけですよね?」

「現在は一時滞在ですが、高倉さんから正式な同居の申請が出されています」

 僕は隣へ座る源蔵さんを見た。

「いつ申請したんですか?」

「今朝だ」

「僕、何も聞いていませんけど‥‥‥」

「今、聞かれておるだろう」

「申請する前に聞いてください!」

「聞いたら断ると思った」

「勝手すぎます!」

「申請するだけなら、わしの自由だ!」


 生活支援員が、咳払いをした。

「お話を続けてもよろしいですか?」

 僕と源蔵さんは、同時に口を閉じた。遺児宿舎の担当者が、書類を確認する。

「小森君は、これまで大きな問題を起こしたことはありません。家賃の滞納もなく、部屋もきれいに使っています」

「当然です」

「ただ、食事や健康状態には心配があります。最近は少し痩せましたよね?」

「もともと小さいんです」

「それだけではないでしょう?」

 担当者は、僕から源蔵さんへ視線を移した。

「高倉さん。あなたの収入も、決して多くありません」

「これから増やす予定だ」

「子どもを養うには、食費や衣服代が必要です。高倉さん自身も、支援を受けている立場ですし‥‥‥」

「こいつもわしも働いておる」

「13歳の子どもの収入を当てにするんですか?」

「違う!」

 源蔵さんが、机を叩きそうになり、途中で手を止めた。

「こいつの金を取り上げるつもりはない。食費は2人で作った方が安くなる。わしは道具を直せる。閉鎖中も仕事を探す」

「もし、小森君が病気になったら?」

「病院へ連れていく」

「高倉さん自身が病気になったら?」

「ここには、ほかの住人がおる。助けてくれる人はいる」

 源蔵さんは、まっすぐ生活支援員を見た。

「わし1人で、親の代わりができるとは思っておらん」

 その声は、いつもより静かだった。

「わしは子どもを育てたことがない。妻は15年前に死んだ。わしらには、子どもがおらんかった」

 初めて聞く話だった。

 源蔵さんが結婚していたことも、奥さんを亡くしていたことも‥‥‥

「だから、何を食わせればいいのかも分からん。子どもが何時に寝るのかも、枕は高い方がいいのかも分からん」

「枕は、関係ありません」

「今は黙っておれ」

 源蔵さんが僕をにらんだ。

「それでも、飯を食わせて、帰る場所を守るくらいはできる」

 そして、少しだけ目を伏せる。

「冷蔵庫に水とパンしかない部屋へ、あの子を1人で帰したくない」

 部屋の中が静かになった。

 誰もすぐには話さなかった。

 生活支援員が、今度は僕を見る。

「小森君。高倉さんは、こう言っています。あなたはどうしたいですか?」

「僕は‥‥‥」

 答えようとして、言葉が止まった。宿舎へ戻れば、なんとか今までどおり1人で暮らせる。

 誰にも迷惑をかけないし、自分で稼ぎ、自分で食べて、自分で眠る。

 それが普通だった。

 昨日まで、それ以外の暮らし方を考えたこともなかった。


 でも‥‥‥


 温かいスープの味を思い出した。

 芳江さんの笑い声。

 廊下を歩く音。

 隣の部屋で、源蔵さんが管理人に怒られていた声。

 朝、渡された新しい歯ブラシと茶碗。

 どれも、植物採取には必要ないものだ。

 なくても生きていける。

 だけど、あった方が少しだけうれしい。


「ここに‥‥‥」

 声が小さくなった。

「聞こえません」

 生活支援員に言われ、僕は息を吸った。

「ここに、いたいです」

 源蔵さんが、僕を見た。

「閉鎖が終わるまでじゃなくて?」

 管理人が確認する。

「はい」

 自分で口にすると、胸の奥が少し苦しくなった。

 お父さんとお母さんのいた家を、捨てるような気がしたからだ。でも、両親と暮らした家は、もう残っていない。

 あの部屋は、両親が亡くなったあとに借りた場所だった。写真と植物図鑑がある場所が、僕にとっての家だった。

 それなら、その2つを持っていけばいい。

「源蔵さんと一緒なら、食費も安くなるので」

 恥ずかしくなり、余計な言葉を付け足した。

「そこが理由なのか?」

 源蔵さんが不満そうに言う。

「大事なことです」

「ほかには?」

「ありません」

「少しくらい、わしがいるからと言えんのか」

「調子に乗るでしょう?」

「かわいくない孫だな!」

「‥‥‥」


 孫‥‥‥


 言われて初めて気が付いた。僕はとっても嬉しかったんだ‥‥‥

 生活支援員が笑いをこらえながら、書類へ何かを書き込んだ。

「それでは、まず1か月の試験同居とします」

「1か月?」

「小森君は隣の空室を使用します。食事や生活費は共同で管理し、週に1度、私が様子を確認します。問題がなければ、その後に正式な居住手続きを行います」

 源蔵さんが、力強くうなずいた。

「分かった」

「高倉さん」

「なんだ?」

「小森君の意思を無視して、勝手に物事を進めたらいけませんよ。今後は二人で話し合って下さいね」

「善処する」

「守ると言ってください」

「‥‥‥できるだけ、守る」

「高倉さん」

「分かった! 守る!」

 こうして僕は、とりあえず1か月だけ源蔵さんの隣で暮らすことになった。面談が終わったあと、僕たちは部屋へ戻った。

 源蔵さんが、僕の部屋の扉へ小さな板を取りつける。

 昨日、壊れた机から外した木を削って作ったらしい。

 板には、少し曲がった文字が彫られていた。


『小森 樹』


「表札ですか?」

「部屋を間違えたら困るからな」

「源蔵さんの部屋は、隣ですよ」

「年を取ると間違えることもある」

「まだ68歳ですよね?」

「十分、年寄りだ」

 源蔵さんは表札が傾いていないか、何度も確認した。

「これでよし」

 僕も、自分の名前が付いた扉を見る。

 宿舎の部屋にも番号はあった。でも、名前はなかった。

 ここには、僕の名前がある。

「源蔵さん」

「なんだ?」

「1か月だけですからね」

「分かっておる」

「問題があったら、戻ります」

「問題など起きん」

「源蔵さんが勝手なことをしないで、前もって僕にも言ってください」

「‥‥‥わかった」

「これから、よろしくお願いします」

 源蔵さんは笑いながら、自分の部屋へ戻っていった。僕は扉を開け、新しい毛布をベッドへ置いた。

 棚の上に、お父さんとお母さんの写真を飾る。その隣へ、植物図鑑を置いた。

 荷物は、まだ箱1つ分しかない。

 それでも、昨日より少しだけ部屋らしくなった気がした。

 僕たちは、家族ではない。

 血もつながっていない。

 源蔵さんは、本当のおじいちゃんではない。

 僕も、本当の孫ではない。

 だけど‥‥‥


 その日の夕方。

 廊下の向こうから、源蔵さんの声が聞こえた。

「樹! 飯だぞ!」

 僕は少しだけ返事に迷ってから、扉を開けた。

「今、行きます!」

 たぶん、家族というものは‥‥‥


 最初から家族なのではなく、こうやって少しずつなっていくものなのかもしれない。


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