恋のチカラ
実紅の涙の訳もわからないまま、実紅に無視される日々が続いていたけど……?
莉菜と祐希と実紅の三角関係はー?
新たに、ライバルも登場します!!
その疑問が解けたのは、2、3日経ってからのことだった。
「莉菜、話があるのー。ちょっといい?」
久しぶりに、実紅から声をかけられた。
あたしは、実紅に促されるまま、後をついて行く。
校舎裏まで行くと、実紅はピタッと足を止めた。
でも、実紅はなかなか、口を開こうとはしなかった。
「実紅、話って何?もしかして、先輩のこと?」
「……」
「実紅の為に、先輩は真面目になったのに、その彼女を泣かせるなんて、どういう心境なんだろうねー」
それを考えると、あたしの心臓がチクンと痛む。
「ほ……本当は、嘘なの」
「え……?」
「あたし、本当は先輩とは付き合ってないの……」
実紅の言葉に、あたしは呆然とした。
「あの日、告白はしたけど、振られて……。好きな人がいるのか訊ねたら、莉菜のことが好きだって……」
実紅は、キュッと唇を噛み締めた。
真鍋先輩、そんなことまで話たのかー。
「祐希先輩ー。莉菜に不良は嫌いだって、振られたって言ってたよ」
「……」
「そんな理由で、祐希先輩の気持ちを、踏みにじった莉菜が許せなくて、気づいたら莉菜のこと無視してた……」
「……」
先輩と付き合うようになったのに、実紅の様子がおかしかったから、変だとは思っていたけど、そういうことだったのか……。
「あたしなら、先輩を傷つけない。先輩のグループにいた時から、好きだったのに……」
「え……?先輩のグループにいたって、どういうことー?」
「あたし、中学までは、グレてて祐希先輩のグループに入っていたことがあったのー」
「えっ!」
あたしは、実紅の言葉にびっくり。
「でも、先輩のグループは人数が多いから、あたしのことは、覚えていなかったみたいだけどー」
実紅は、がっかりと肩を落とした。
「そんなことないー。実紅を先輩に紹介した時、様子がおかしかったかし……」
先輩が「早川ー?」って、そう呟いていていたのを思い出す。
「あたしのこと、思い出したとしても、先輩は莉菜にしか興味がない。あたしがどんなに、振り向かせようとしても……、いつも莉菜のこと想ってるんだよ。それに……」
「それにー?」
「莉菜に言われたことが、本当にショックだったみたいで、先輩は、莉菜に振り向いてもらおうと、自分を変えたんだから」
「……!!」
実紅の為に、先輩は変わったと思っていたのに、あたしが「不良は嫌い」なんて言ったことが原因だったなんて……。
あたしの胸が、きゅーんと高鳴った。
「み、実紅……」
あたしは、何て言ったらいいのかわからず、言葉を詰まらせた。
「あーあ。そこまで、莉菜のことを想っている先輩に、あたしが、どう迫ったって、好きになってもらえないないんだもん。諦めるしかないかー」
実紅は、大きな溜め息をつく。
「実紅……」
何だか、申し訳ないような気持ちで、いっぱいになる。
「で?莉菜は祐希先輩のこと、本当のとこどう思っているのー?」
実紅が、あたしの顔を覗き込んだ。
「……好きだよ」
あたしは、戸惑った顔で、実紅に言う。
「やっぱり、そうかぁー。あたしと先輩が一緒にいる時、様子がおかしかったから、そんな気はしていたんだ」
実紅には、バレていたのかー。
「あたしのせいだよね……。だから、祐希先輩に告白
された時、断ったんだ……?」
実紅に聞かれて、あたしは頷くことしかできなかった。
「莉菜ー。今から、先輩に告白の返事してきなよ」
「え……。でも、もう遅いんじゃないかなー?」
「そんなことないよ。祐希先輩、莉菜に振り向いてもらおうと、あんなに自分を変えようとしているんだから!」
そう言って、実紅はあたしの背中を押した。
「……実紅、ありがとう!」
あたしは、先輩の元へ一直線に向かった。
3年生の校舎へ行くと、真鍋先輩の教室を覗いた。
でも、いくら捜しても、先輩の姿は見あたらなかった。
「誰かに用?」
真鍋先輩のクラスの男の先輩が、あたしに声をかけた。
「真鍋先輩はー?」
「真鍋?あいつなら、美術室の辺りで見かけたけどー。もしかして、君もあいつ追っかけ?」
「ち、違います。真鍋先輩の私物を拾ったから、渡そうと思ってー」
あたしは、慌てて誤魔化した。
「そうなんだ?真鍋が変わった途端に、あいつ目当てで女子が毎日のように教室に来るから、君もそうなのかと思った」
先輩は、少し不満そうな顔で言った。
急に真鍋先輩がモテるようになったから、面白くないらしい。
「じゃあ、真鍋先輩捜してみます!」
あたしは、美術室の方へ向かった。
美術室のある校舎へ来てみたものの、真鍋先輩の姿は何処にもなかった。
「祐希……」
その時、美術室の方から、女の子の声が聞こえてきた。
あたしは、ハッと美術室の方を振り向いた。
祐希って、真鍋先輩のことだよねー?
美術室のドアが少し開いている。
あたしは、ドアの隙間からそっと覗いた。
そこにいたのは、真鍋先輩と髪を金髪に染めた女の子だった。
「急に真面目になって、最近、付き合い悪いじゃん」
彼女は、先輩の腕に手をやった。
先輩の不良グループの仲間の独りみたいだけど、2人を見ていると、そんな感じには思えない。
「離せよ。果奈ー」
先輩は、果奈さんの手を振りほどこうとした。
「何よ、冷たいなー。他に好きな女でもできた?」
果奈さんは、ヒョイと先輩の顔を覗いた。
「お前には、関係ないだろ」
「あ、わかった!実紅って言う女でしょー?でも、あの女何処かで見たことがあるんだよなー」
果奈さんは、少し考えた後、ポンと手を叩いた。
「わかった!中学の時、うちらのグループにいた女だ」
どうやら、果奈さんは、中学から祐希先輩とつるんでいるらしい。
「覚えてるのか?」
先輩は、驚いた顔で果奈さんを見る。
「覚えてるよ。あの女、いつも祐希のこと見てたんだよねー。グループから、抜けたと思ったら、同じ学校だたんだー。もしかして、あの女の影響で真面目になったの?」
果奈さんは、先輩の髪に触れた。
「あいつは、関係ない」
先輩は、果奈さんから目を逸らした。
「ふーん。まあ、いいやー。あとでわかることだし。それより、これからどうするの?リーダーやめる気?」
「ああ。みんなには悪いがー」
「は!?そんなこと勝手に決めて、みんなが納得すると思ってるの!?」
急に果奈さんが、取り乱し始めた。
「みんなには、俺から説明しておく」
そう言うと、真鍋先輩は、ドアの方へ歩いてきた。
やばい!覗いてたなんて、バレたら先輩がどう思うか……。
あたしは、慌ててドアから離れようとした。
「祐希ー!!」
果奈さんが、先輩の名前を呼ぶ声がした。
しーん……。
どうしたんだろう?急に静かになったようなー?
あたしは、そっと、ドアの隙間から覗いた。
「……!!」
あたしの瞳に映ったのは、目の前で真鍋先輩と果奈さんが、キスをしているところだった。
ズキンズキン……!!
あたしの心臓が速くなって、大きな音をたてた。
ショックで、頭の中が真っ白になる。
ガシャーン!!
美術室の入り口に、置きっぱなしになっていたバケツを倒してしまった。
あたしは、慌ててバケツを起こした。
音に気づいて、先輩がドアを開けた。
「藤井……」
真鍋先輩は、呆然とあたしを見た。
「何の騒ぎ?」
果奈さんも、先輩の後ろから顔を出す。
「び……美術室に忘れ物取りにきただけで……。先輩達がいるなんて知らなくてー。ご、ごめんなさい……」
あたしは動揺して、言葉が詰まって、上手く話せないまま、あたしは、クルッと背中を向けると走り駆け出した。




