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恋のチカラ  作者: 夢遥
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恋のチカラ

真鍋先輩に告白されたけど、実紅の為に、断った莉菜だったけどー。

 莉菜に対する真鍋先輩の気持ちを知った実紅は、諦めることを決意。

 わだかまりも溶け、莉菜と実紅は友達に戻れて、莉菜は真鍋先輩の告白に、もう一度応えようと決意したのも束の間。

 真鍋先輩と元カノがキスをしているのを目撃してしまう!!


 その後の、莉菜と先輩の恋の行方は……?

「藤井!!」


「祐希!!どうしたの!?」


 先輩と果奈さんの声が、誰もいない廊下に響き渡った。


 あたしは、無我夢中で走っていく。


「待てよ!藤井」


 後ろから、後を追ってきた真鍋先輩に腕を掴まれた。


「どうして、逃げるんだ!?」


「離して!!」


 あたしの瞳から、涙が溢れた。


 先輩に泣き顔を見られないように、顔を背けた。


「ま、真鍋先輩こそ、どうして追いかけてくるの……?」


 あたしは、顔を背けたまま言った。


「悪いー。振られてるのに、普通、追いかけねーよな」


 先輩は、あたしの腕から手を離した。


「彼女が、待てよますよ!あたし、教室へ戻らなきゃ」


 あたしは、涙を拭って、笑顔で先輩に言うと歩き出した。




 教室へ戻ると、実紅にさっきのことを報告した。


「あ、それ。多分、元カノだわ」


 実紅が、あたしにそう言った。


「元カノ……」


 やっぱり、そうだよね……。キスまでするんだからー。


「確か、中3の夏頃まで、付き合っていたんじゃないかな?」


「……」


 と、言うことは、先輩に彼女がいるのを知っていて、実紅はずっと先輩のこと想ってたのかー。


 あたしは、何だかじーんときてしまった。


「果奈先輩ー。まだ、祐希先輩のこと好きだったんだ……?果奈先輩から、振ったから、てっきり祐希先輩のこと好きじゃないのかと思ってたー」


 実紅は、意外そうな顔をした。



「果奈さんから、振ったの……?」


「うん。確か、果奈先輩の方が、好きな人ができて別れたんじゃないかなー」


「……」



 真鍋先輩から、別れたわけじゃないんだ……。



「果奈先輩のことは、気にすることないって!」


「でも……」


「莉菜のこと、好きじゃなかったら、追いかけたりしないよ」


 まだ、辛いはずなのに、実紅が励ましてくれた。




「ちょっと、顔かしてくれる?」


 放課後、帰ろうと教室を出て昇降口へ向かう途中、果奈さんに呼び止められた。


 果奈さんの鋭い視線に、ぞくっとするものがあった。


 あたしは、恐る恐るついて行く。



 校舎裏まで行くと、不良グループの先輩達が、5、6人待ち伏せしていた。


「あんたさー。リーダーと付き合ってるの?」


 グループの独りが、あたしに詰め寄った。


「……つ、付き合ってないです……」


 あたしは、やっとの思いで声を出した。


「じゃあ、話は早い。果奈とリーダー、中学の頃、付き合っていたんだけどさー。寄りを戻すんだよね。あんた、もう、リーダーに近寄らないでくれるかなー?」


「……」


 先輩と寄りを戻す?


 その言葉を聞いて、ギューッと胸が締め付けられる思いがした。


「あんたが、祐希の周りをうろちょろしていると、本当に迷惑だよ」


 後ろで、黙って見ていた果奈さんが、腕を組みながら前へ詰め寄ってきた。


「莉菜のこと好きじゃなかったら、追いかけてこない」実紅が言った言葉を思い出す。



「ま、真鍋先輩は寄りを戻したいって、言ってるんですか……?」


 あたしは、果奈さんの迫力に負けまいと、強気に出た。


「勿論さ!じゃなきゃ、キスなんてしないからね」


「……」


 じゃあ、どうしてあの時、果奈さんを独りにして、あたしを追いかけてきたの?


 心の中では、疑問がいっぱいだった。



「と、とにかく、祐希に近付いたら、こんな事じゃ、すまないからね!?」


 果奈さんはたんかをきると、仲間と一緒に消えていった。



 怖かったー。


 いなくなると、ほっとして、あたしはその場へ座り込んでしまった。


 これから、どうしよう……。


 果奈さん達にどんなめに、あわされるかわからないし。


 あたしは、不安でたまらなくなった。




 クリスマスも、あと2週間になって、校内は、クリスマスムードになってきた。


「はぁー。いいなー、彼氏がいる子は……」


 実紅が、クラス中響き渡るような、大きな溜め息をついた。


「ごめん、あたしのせいで……」


 実紅に協力するとか言っておきながら、あたしが、真鍋先輩を好きになってしまったことは、謝っても謝りきれない。


「莉菜のせいじゃないよ。祐希先輩だって、莉菜のこと好きなんだから」


「そうだけどー。今は、どうかな……?」


 果奈さんに言われてから、ずっと先輩には逢っていない。


 元々、先輩から嫌いになって別れたわけじゃないし、あたしのことは忘れて果奈さんと寄りを戻したのかも知れない。



「果奈先輩に言われたからって、何、弱気なこと言ってるのよ!」


 実紅は、あたしの背中をばしっと叩いた。


「いたた……」


 あたしは、背中をさすりながら実紅を見た。


「今朝、果奈先輩と一緒にいるところ見かけたけど、何だか先輩の方は、よそよそしい感じだったし、寄りを戻したようには見えなかったけどなー」


 実紅は、顎に手をやりながら首を傾げた。



 寄りを戻してないとしても、2人がキスしていたことが、あたしにとっては、ショックもいいとこだ。



「キスだって、どうせ果奈先輩が、無理やりしたに決まってるよ!……そうだ!休みの日に、祐希先輩にメールして呼び出したら?」


 ピーンときたのか、実紅が提案した。


「でも、何てメールしたらいいのかなー?」


「ポップを使えば?元気がないとかなんとか言えば、飛んでくるよ」


 実紅は、笑みを浮かべた。


「そうしたいけどー。外じゃ、誰がいるかわからないし……」


 真鍋先輩のグループの誰かに見られたら、果奈さんの耳に入るに違いがない。


「じゃあ、家に呼ぶのはどう?」


「えっ!」


 あたしは、思わず椅子から立ち上がってしまった。


「だって、それしかないじゃない」


「そうだけど……。実紅、お願い!先輩に逢うの辛いと思うけど、一緒にいてくれないかな?」


 あたしは、両手を合わせた。

「もぅー、気にすることないから。祐希先輩のことは、きっぱり諦めたんだし、付き合ってあげる!」


「ありがとう!実紅」



 あたしは、早速、勇気をだして、真鍋先輩にメールをした。


 先輩からのメールが返ってきたのは、夜のことだった。


「休みに、行く。心配だなー。ポップ、大丈夫か?」


 先輩のメールは、ポップを心配する内容が、淡々と言葉が並んでいた。


「大丈夫ー。きっと、先輩の顔を見たら、ポップも元気になるんじゃないかな?」


 あたしは、先輩にメールを返す。


「わかった。じゃあ、日曜日にー」



 先輩とメールのやりとりが終わると、あたしは、ベットにバサッと倒れた。


「みゃー!?」


 ベットで、のんびり寝ていたポップが、びっくりして飛び起きた。



「ごめんごめん」


 あたしは、そっとポップを抱き上げた。


「ポップはこんなに元気なのに、先輩に嘘ついちゃったー」


 苦笑いしながら、ポップの頭を撫でた。





「莉菜、ごめんー。風邪引いて行けなくなった」


 日曜日ー。実紅の突然のメールが届いた。


「もうすぐ、先輩が来ちゃうのにー。あたしと先輩だけ……?」


 お母さんはいるけど、用があって、もうすぐ出掛けてしまう。



 ピンポーン



 どぎまぎしていたら、玄関チャイムが鳴り響いた。



「莉菜ー!お客様よ」


 玄関から、お母さんの呼ぶ声が聞こえてきた。



 真鍋先輩だー!!



 あたしが、玄関の方へ歩いて行くと、緊張した顔で先輩が立っていた。



「あ、莉菜。お母さん、飲み物の用意してくるから、上がってもらったら?」


 お母さんが、にこにこしながら、あたしに言う。


『莉菜ー。彼、イケメンじゃない。彼氏?』


 お母さんが、あたしの耳元で小声で言った。


「ち、違うから!」


 つい、声が大きくなってしまう。


「なーんだ。違うの」


 お母さんが、残念そうな顔で台所に入っていった。



 どうやら、お母さんは先輩のことが気に入ったみたいだ。


 今までの先輩を見たら、何て言うか……。



 あたしは、小さな溜め息をついた。



 あたしは、先輩を部屋へ案内する。


 部屋のドアを開けると、今まで寝ていたポップが飛び起きて、元気にあたし達の方へ走ってきた。


「ポップ、思ったより元気そうだなー」


 先輩は、ホッとした顔で、ポップを抱き上げた。


「う、うん。昨日より元気になっててー、あ、あたしもホッとしたんだ……」


 慌てて、言い訳を考える。


「それは、良かったな。そういえば、早川は、まだ来てないのか?」


 真鍋先輩は、チラッと時計を見た。


「み、実紅は風邪引いて、来られなくなったの……。実紅のこと気になる?」


「早川に告られて、俺、傷つけたからー。少し気になっただけだ……」


「……」


 不良グループのリーダーって言っても、やっぱり先輩は優しい。


 だから、あたしも好きになったんだけど……。



「お待たせ!」


 お母さんが、コップに飲み物をついで運んできた。


「真鍋君ー。ゆっくりしていってね」


 お母さんは、飲み物を出し終わると、部屋から出ようとノブへ手をやりかけた。


「あ、そうそう。真鍋君は、彼女はいるの?」


 お母さんが、単刀直入に先輩に聞いた。


「お、お母さん!!」


 先輩には果奈さんがいるのに、「います」なんて、目の前で言われたら余計に落ち込んでしまう。


 あたしが、慌ててお母さんを、部屋から追い出そうとした時だった。


「彼女なんて、いません」


 先輩は、真面目な顔で、そう言った。


「そうなのー?ごめんなさいね。こんなこと聞いてー。あ、もうこんな時間!出掛けないと」


 お母さんは、あたしをチラッと見ると、慌てて部屋を出て行った。


「ご、ごめんなさい!お母さんってば、突然、何を聞いているんだかー」



 でも、彼女はいないって、そう言ってたー。



「いや。別に、聞かれても困ることじゃない。」


 先輩は、あたしの顔をじっと見つめた。



 ドキンドキン……。


 先輩に見つめられるだけで、心臓のドキドキが止まらなくなる。


「か、果奈さんとキスしてたよね……?寄りを戻したって聞いたけど……」


「果奈?あいつに無理矢理キスされただけだ。寄りを戻したいと言われたけど、断った」


「……」


 何だー。そうだったのか……。


「果奈の奴、藤井に何か言ったのか?」


「……」


 あたしは、果奈さんに言われたことを話した。


「あいつー!藤井に何かしたら、俺がただじゃおかねー!」


 先輩が、ドスの利いた声をあげたものだから、ポップがびっくりして、あたしの胸にしがみついた。


「悪い……。驚かせてー。藤井に言われて、藤井の為に真面目になるって決めたのに、駄目だよなー」


 先輩はすまなさそうに、ポリポリと頭をかいた。


「先輩……」


 あたしの為に、真面目になったことは嬉しい。


「ごめん。迷惑だよな……。振った男に想われて」


 先輩はしんみりした声で、あたしに言う。


 あたしは、左右にぶんぶんと首を振った。


「先輩のこと振ったけど……本当は、好きなの」


 先輩は、「え!」っと言う顔であたしを見た。


「実紅が、先輩のことを好きだって知って、あたし……先輩に嘘ついてたー」


 あたしは、俯きかげんで本当のことを話した。


「つまり、俺達両想いだったわけか!?」


「うん……」


 あたしは、大きく頷いた。


 先輩は、嬉しそうにあたしを抱き締めた。


「みゃー!?」


 公園の時みたいに、また、あたしと先輩に挟まれたものだから、ポップは驚いて、ベットの下へ隠れた。


「ごめん。ポップ!藤井を俺に貸してくれ」


 先輩は、もう一度、あたしを抱き締めた。


 先輩に、威勢良く抱き締められて、弾みであたし達は倒れて、先輩が上にのしかかっている状態になってしまった。



 ドキンドキン……。



 あたしの心臓が、一気に速くなる。



「藤井……」


 先輩は、真剣な眼差しで、あたしを見つめると、そっとキスをした。


 先輩の唇の温かさが、じんわりと伝わってくる。




 どのくらい、キスをしただろう……。


 先輩はゆくりと、あたしから身体を離した。


「悪い……」


 先輩に謝られて、あたしは、大きく首を振った。


「キスするのに、ドキドキするなんて、こんな気持ち初めてだー」


 先輩は、耳まで真っ赤にしながら、恥ずかしそうに顔を背けた。



 あの先輩が、照れてる!



「ドキドキしてたの、あたしだけじゃないんだ……」


 あたしは、ホッと先輩の顔をみる。


「そりゃあ、俺だってドキドキくらいする……」


 先輩の照れてる仕草が可笑しくて、思わず笑ってしまう。


「藤井……。もう一度、言う。俺は、藤井のことが好きだ。彼女になってくれないか?」


 先輩は、2度目の告白をした。


「はい……」


 あたしが、ゆっくりと頷くと、先輩は嬉しそうに抱き締めて、あたし達は2度目のキスをした。

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