ヒロインは逆ハールートを歩む
まじ?これって俺が前世で作った乙女ゲームの世界?しかも俺がヒロイン?
俺は笑いをこらえるのに必死だった。
俺が前世で作った乙女ゲームの世界に非常に似ている事に気づいたのは、
学園の入学式、桜吹雪が舞い踊る校門を通り抜け…
ありえない事に何もない所で躓いて、メインヒーローの王子に支えられた瞬間だった。
舞い踊る桜の花びらを背景に抱えたイケメンが超近距離にいる。。
これが普通なら、確かに恋に落ちたかもしれない。
どーせ自分が作ったゲームに転生するなら、冒険物が良かった。
子どもの頃からゲーム好きで、そのまま大人になった俺はゲームを作る会社に就職した。
駆け出しの頃は、冒険物の開発作業もさせてもらえた。
様々な経験を積んで、中堅と言われる世代になった時に、なぜか、乙女ゲームの開発班を任せられてしまった。
最初にやりたかった事とは違うけど、まあ、仕事は楽しかった。
それまでの開発とは勝手が違って、人間関係とか大変だったけど、やってられね~と思うこともあったけど、でもやっぱり楽しかった。
そこそこ人気も出て、シリーズ3作目まではいった。
ただ、娘がそのゲームをやってると聞いた時には、普通に叱った。
「パパもこんなゲームを作ればいいのに~」と娘に反撃された。悲しかった。
俺の名前、実はエンドロールで流れてるんだが…言えなかった。
さて…この乙女ゲームのヒロインは正直詰んでる。
メインヒーローの王子を選ぶと、このゲームではハッピーエンドなのだが…
実はヒロインと結婚した王子は、続編の乙女ゲームで別のヒロインの攻略対象となる。
更に続々編でも攻略対象なのである。
ほかの攻略対象も似たようなものだ。
まあ、簡単に略奪愛できる男なんて…ろくなもんじゃないと思う。
俺はやっぱり冒険物が好きだ。
だから逆ハーレムを目指した。
開発者の俺の頭にはすべてのルートが詰まっている。
逆ハーレムでは裏ボス…じゃなくて、隠れ攻略キャラの海賊が出てくる。
まあ、海賊といっても、強力な海軍を持つ島国の王。主要産業は大陸間の貿易。
彼の妻になるとめくるめく冒険の世界が広がる。
このルートではヒロインは年をとってもマドンナ的存在としてすべての攻略対象と良い友達である。
海賊ルートの評判は悪かった事もあり、そのあとのシリーズでは海賊ルートは存在しない。




