シンデレラになってみました 25話
手を繋ぐ、ただそれだけのことが、これほど気分を高揚させるとは思ったことがなかった。
悠人は握る手にそっと力を籠める。
暫くすると手の中で、花梨の手が縮こまる。
手が汗ばんできたことが恥ずかしいのだろう。
悠人はすり抜けようとする手を、握り直す。
手を繋ぐところから始めよう
花梨は嬉しそうに頷いた。
あれ以来幾度となく手を繋いでいる。
花梨は未だに慣れないらしく、いつも手から緊張が読みとれる。
可愛い。
自分でもかなり花梨に参っていると自覚してしまう。
恋をして、私は変わったと確かに思う。
私の生まれた家は幸せに満ちているとは言えなかった。でも不幸な家庭ではなかった。
母は何度も自分に詫びたが何故そんなに母が謝るのか判らなかった。
父親が子供に愛情を持てない、感心がない、そんな家庭は山のようにあるだろうと思う。両親ともに子供に愛情も感心も持てない家庭もある。
私は少なくとも、母からも祖父からも愛情を貰って育った。だから、不幸な子供時代を過ごしたと感じたことはなかった。でも、孤独だった。確かに私は子供の時哀しかったし、淋しかった。
それを花梨に恋をしたことで思い出したのだ、いや理解したのだ。
膝を抱えて、これ以上は丸くなれないほどに丸くなって眠った日々、爪を噛むくせ、大人の顔を見ては飲み込んだ言葉の数。
花梨の手を握る。
その温かい、柔らかい手は、私の中の小さい私の手も握ってくれる。
花梨の手を握るたびに、私は確かに癒されていく。




