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- Double - 勇者と魔王の転生記  作者: 矢島 ユウ
アセリア王国戦争期
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城砦都市の攻防 十二

「マジか……」

「不味いな」

「何アレ?」


 目の前でオーダインに起こった変化に三人は驚愕する。

 オーダインの魂が爆発するように膨張したかと思うと、次にオーダインの身体にピッタリと合わさるようにその形を変えたのだ。

 オーダインの全身は魂が形になった青白い炎で覆われ、折れた鍔元からも青白い炎が伸びて長剣へと変化し、左手に添えられていた頭は本来の場所である首の上へ移動する。

 オーダインの額には魔石が露出しており、砕いてみろとでも言うように光を放っていた。


「サア我ヲ倒シテミロ、オ前達ガ英雄デアルナラバ!!」


 一つの世界となったオーダインが三人に襲いかかる。

 オーダインが望む願望は本来英雄願望であり、幼い子供で男ならば一度は頭をよぎるありきたりなものだった。しかし、自分は凡才であると早くから英雄の器ではないと割り切り、ならば英雄と共にあって己も輝きたいと思うようになる。

 そのため身体を鍛え、勉学を学び、自国では英雄と評されていた国王直下の騎士団の頂点である騎士団長となった。何度もあった帝国からの引き抜きに応じなかったのも、それは英雄と共にある者として、してはいけないことだと思ったからだ。

 だが、その英雄であるはずの国王に裏切られ不死者(アンデッド)化することによって、それは叶わないものとなる。

 そしてオーダインの願望は変質する。

 ならば英雄に倒される者となり、英雄の輝かしい軌跡の一部となることで輝こう。というものに変化した。

 それはオーダインを強くする。何故なら敵役が強ければ強いほど、英雄の活躍が輝くからだ。

 その強さで相対する英雄が倒れるならば仕方ない、彼等は自分を輝かせる資格が無かったのだと斬り捨てる。そして自分を倒す英雄を探してさまようのだ。それが矛盾していることに気付いていても一度顕現された魔導は変質することは決して無い。

 そんな矛盾を肯定した暴威が三人に向かって振るわれた。


「ラァッ!!」


 クラウスの神鉄(オリハルコン)戦斧(ハルバード)とオーダインの魂が質量を持った長剣がぶつかる。今度はオーダインの剣が砕けることは無く、力で勝るオーダインの剣がクラウスの戦斧(ハルバード)を弾いた。


「はあっ!!」

「シッ!」


 戦斧(ハルバード)を弾かれたクラウスの隙を補うように、カラとレオンがオーダインの額で輝く魔石目掛けて攻撃を繰り出す。

 それは剣を振りぬいたオーダインでは迎撃不能なタイミングのはずだったが、オーダインの身体を纏っていた質量を持った青白い炎が鞭のようにしなると二人を迎撃する。


「ぐっ!?」

「いッ!?」


 槍を振るうレオンは何とか避けられたが、剣を当てるためレオンより接近していたカラは避けきれず、左手の指先を血がつたっていた。


「攻防一体か厄介だねぇ」

「動くか?」

「一応。骨は折れてないかな」

「ならいくぞ、あんなふうに魂を放出して長時間持つとは思えない、畳み掛けて消耗させる」

「厳しい~、まぁそれしかないかねぇ」


 クラウスを中心に三人はオーダインに斬りかかる。上段からの唐竹割り、胴を切り裂こうと繰り出される横薙ぎ、頭、心臓、腹を狙った三弾突き、常人ならば一瞬でバラバラに解体されるであろう攻撃もオーダインには通じない、全て受けられている訳ではなく何発かはオーダインに当たっているのだが損傷を受けている様子もない、唯一クラウスの神鉄(オリハルコン)戦斧(ハルバード)の攻撃だけは剣で受けるか回避行動を取っていた。


「僕達の攻撃は通じないみたいだねぇ」

「陛下、私達が囮になります。なんとか一撃入れてください」

「わかった。死ぬんじゃないぞ二人共」


 クラウスの意外な言葉に二人はキョトンとなり次に可笑しそうに微笑んで頷くとオーダインに向かって駆け始める。

 剣が、槍が効かないならば陽動に徹して効果が見込めそうなクラウスに攻撃は任せる。そう割り切ると二人は精霊魔術を展開していく。

 カラが展開するのは蛍のように輝く数百の火種。高温の炎を圧縮したそれはオーダインを囲むように展開する。それをレオンが展開した石壁がドーム状に迫り上がりオーダインと蛍火を包み込む。それを待っていた蛍火が、圧縮させていた炎を解放しドーム内を駆け巡り城壁を震わせる。

 高温に絶えられなくなった石壁がボロボロと崩れると、中から無傷のオーダインが姿を現す。この時点でカラとレオンの攻撃手段は全て意味をなさないことが証明された。

 何故オーダインはこれほどまでに頑強なのか、それは魔導を展開したことが理由としてあげられた。魔導を展開したことによってオーダインはオーダインを創世主とした世界そのものになっている。

 オーダイン自身が世界であるためオーダインを傷つけるためには同じように魔導を展開し自分も自身を主とする世界となるか、世界に干渉できるほどの武具を使うかであり、三人の中で当て嵌まるのは神鉄(オリハルコン)戦斧(ハルバード)を使うクラウスだけだった。

 石壁のドームから姿を現したオーダインにクラウスの不意打ちの一撃が振るわれる。

 無言で繰り出されたそれは完璧なタイミングであり、オーダインへと迫る。それに対してオーダインは剣を頭上に掲げることで受けた。


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおォォォォォォォォォォォォッッッ―――― !!」


 クラウスは雄叫びを上げると戦斧(ハルバード)を押し込む、両腕の腕が隆起し鎧を軋ませるがオーダインの剣はピクリとも動かない。

 そんなクラウスを迎撃しようと青白い炎がオーダインへと襲いかかった。


「チッ!!」


 舌打ちを打つとクラウスは戦斧(ハルバード)を押し込むのを止め、後ろに下がる。それを追撃するようにオーダインの剣が眩い光を放ち渾身の一撃が振るわれた。

 オーダインの一撃はクラウスをとらえることは無く、そのまま城壁の石畳へと吸い込まれる。次の瞬間北門の上部は爆散しカラ、レオン、クラウス、オーダインの四人は空中へと投げ出される。


「ちょっ!?」

「くっ!?」 

「うおォォッ!?」

「ヌンッ!!」


 生身の三人が体勢を整える間に、不死者(アンデッド)であり魔導展開中のため損傷の心配の無いオーダインが不安定な体勢のまま二メートル以上ある大剣へと変化させた剣をクラウスへと振るった。


「ぐあッ!?」

 

 不安定な体勢のままクラウスは、その一撃をなんとか戦斧(ハルバード)で受けるが衝撃を殺しきれず崩落を続ける城壁へと叩きつけられる。それに追い討ちをかけるようにクラウスの上に城壁の破片が降りそそぐ。


「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ――――――」


 次々と落ちてくる石や土砂でクラウスの身体が埋まるのは一瞬だった。


「陛下!?」

陛下(とうさま)!!」


 それを見たカラとレオンは未だ落下する身体に突風をぶつけて急加速して、クラウス救出のために駆ける。その前にオーダインが立ちはだかった。


「どけッ!!」

「邪魔だああああああああああああああああああああああァァァァァァァァァァァァァァァッッ――― !!」


 それでも二人は速度を(ゆる)めずに突進する。しかしそれは無謀にすぎた。

 横薙ぎに振るわれたオーダインの一撃がカラを狙って振るわれる。それをクラウスの窮地(きゅうち)に動転したカラは避けられない。


「あっ―――」


 自分に迫る必死の一撃にカラの表情が蒼白に染まる。


「ぬっあああああああああああァァァァァァァァァァァァァァッッッ――― !!」


 それを阻止しようとレオンが槍を構え間に割ってはいった。オーダインの剣とレオンの槍の柄がぶつかり、レオンの槍を叩き折りながらオーダインの剣はカラとレオンを吹き飛ばす、二人は重なって錐揉み状に吹き飛ぶと崩れた城壁へと叩きつけられる。


「あグッ!?」

「ガァッ!?」


 二人がぶつかった衝撃で城壁は再び崩れ始め、二人の上に石や土砂が降りそそいでいった。

 

 今回も読んでくれてありがとうございました。


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