傍観者たち
ちょっとフライング気味に登場しましたアスタロッテさん意外の新キャラです。
「へぇ」
「あらまぁ」
「フンッ」
「これはこれは」
「………」
「…… めんどい」
「なによあれ … 羨ましい … 綺麗 … なんで … 私には」
城砦都市から遠く離れた場所にある丘で七人の男女が新たなる魔導師の誕生を目撃していた。
「誕生日オメデトウってところか?」
「どうでしょうねぇ、彼の方の渇望は既に終わりを見ています。このまま燃え続けて―――」
質問に答える幽鬼のように青白い肌でありながらツヤツヤと輝く濡れたような黒髪を腰まで伸ばし、顔に人を見下したような笑みを浮かべる男は、掌の上に小さい火球を展開すると次に激しく燃えさせたかと思うと最後には煙を残して消す。
「――― と消えてしまうのではアモン?」
「ハッ、なんだよ期待損かぁ? おい」
「そうとは言い切れないのではなくてルーファ? 彼を試金石に新しい魔導師が生まれる可能性もあると私は思っているけれど?」
ルーファと呼ばれた男の言葉を否定するように褐色の肌の蠱惑的な女が口を挟む。
「なにそれ? あれだけでも苛立つのに、更に僕を苛立たせたいのアスタロッテ?」
「…… アンタ苛立ってない時なんかないじゃないレヴィ」
アスタロッテの言葉に神官服を着た少年が苛立たしげに喰ってかかった。それを聞いた乞食のようなボロを纏った少女がボツリと呟く。
「なんだとベルゼ!!」
「あ~もう、うるさいよ餓鬼共~、面倒くさいから喧嘩するな、飴チャンやるから」
寝転がりながら懐から飴を取り出す無精髭の男に神官の少年は顔を赤くしてプルプルと震え始め、ボロの少女は素直に男の掌から飴を全て取ると口の中に放り込み栗鼠のように頬を膨らませる。
「僕を餓鬼扱いするなベルゴール!!」
「カハッ、そういうところが餓鬼だってぇのが分かんねぇかなぁレヴィ?」
アモンと呼ばれた白髪赤眼の男がからかうようにレヴィに語りかけると、レヴィからその場にいる全員に向けて怒りのまじった殺気が放たれた。それは常人である者であれば心臓が止まるほど濃密で凶悪なものだったがその場にいる者達はそよ風でも受けるように受けきる。
「もう、レヴィを煽るのはおよしなさいなアモン。そんなことをするために来た訳では無いでしょう? レヴィも少し落ち着きなさい、何なら私が抱いてさしあげますわよ?」
「はっ、わりぃわりぃ」
「ふんっ!! この色魔が」
アモンは反省したとは思えない態度で手をヒラヒラと振り、レヴィは鼻息荒く返事すると明後日の方向を向いてしまった。
「まぁ良いではないですかアスタロッテ。我々だけでも――― アスタロッテ?」
アスタロッテを見ると、身体を震わせてハァハァ言っている。状況を見るにレヴィに色魔と呼ばれたことで性的興奮を覚えたのだろうと推測できた。彼女にとっての平常運転を確認して返ってルーファは安心する。先程までがまともすぎたのだ。
他の面々を見るとアモンは城砦都市をニヤニヤと物色するように見つめ、ベルゴールは飽きたのか目を閉じて眠ってしまっていた。それをいいことにベルゼがベルゴールの懐に手を突っ込んで飴玉を抜き取ると口の中に次々と放り込んでいる。
レヴィは明後日を向いたまま動かず、先程から会話に参加せずに城砦都市を見つめながらブツブツと何事かを呟き続ける女性レヴィアは、話しかけると面倒なので全員がいないものとして素通りしている。
そんな面々にルーファは溜息を吐いて城砦都市を見下す。
「まったく、この中でまともなのは私だけですか……」
当然のように自分以外を見下しているルーファも人のことは言えないのだが、それを指摘する人格者はここには一人も存在しなかった。
言動からピンときた方。
ベタだな~とか言わないように作者も自覚しているので、これ以上攻めないでください。
次回こそオーダインさん無双を…… 書けたらいいなぁ。
今回も読んでくださりありがとうございます。




