城砦都市の攻防 十
その後オーダインはライアンを倒した後、何故か城塞都市内に攻め込まず引いていった。
そしてライアン戦死の情報は城砦都市内を駆け巡る。その旨を聞いた西方辺境伯軍の兵士や城塞都市の住民達は悲しみに泣き崩れた。
それよりも早くライアン戦死の報は、救援に向かっていたクラウス、オルテガ、カラ、レオンに伝わっており、ライアンの元へ走る足を速めさせる。
ライアンがいる東門に辿りついた四人が見たのは、自分の槍で塀に磔にされたライアンを兵士達が泣きながら下ろしている光景だった。
「御大!?」
「ライアン殿!?」
「…… ライアン様」
「………」
横にされたライアンを囲むように四人は駆け寄る。
ライアンの顔に生気は無く、既に魂が旅立ったことを告げていた。
「ふざけるなよ御大!! 目ぇ開けろ!!」
クラウスはライアンの襟を掴んでユサユサと揺らして怒鳴りつける。しかしライアンからの返事は当然無く、オルテガがクラウスの肩に手を置く。
「…… 陛下」
「ちっ…… すまん」
「いえ、気持ちは私も同じですので」
ライアンをゆっくりと下ろして寝かすとクラウスは手を離す、そしてライアンの前に立つと腰の剣を抜き放つと胸の前にかざす、それに他の三人も続いて同じように剣を抜いた。
「さらばだ御大、先に行って待っていてくれ。いずれまた会おう。なあに、俺なんかはすぐだ、その時は一緒に酒でも飲もう」
そう言ってライアンに背を向けてクラウスは歩き始める。
「それまでに酒の肴になるような土産話を集めておくさ」
ライアンを西方辺境伯軍の兵士達に任せると、四人は怪我人が集められた建物に向かう、そこにいたのはライアンと共にオーダインと戦ったフォギィアがベッドに横になっていた。
部屋に入ってきたクラウスに気付いたフォギィアはベッドから立ち上がろうとして悲鳴を上げる。
「そのままでいいフォギィア」
「し、しかし……」
「いい、身体を労われ」
「申し訳ありません」
「早速だが、お前が見た敵の情報を教えてくれ」
「はっ」
クラウスからオーダインについての情報を聞かれたフォギィアは自分が知るだけの情報を話し始める。オーダインとの初邂逅からライアンと共闘し、自分が先に退場してしまったことを悔やむところまで話し、最後にもう一度謝罪するとフォギィアは口を閉じた。
「わかった。身体を早く直せ」
「はっ、ありがとうございます」
そして四人はフォギィアの部屋を後にすると、止まることの無い攻撃を受ける城壁へと足を運んだ。
昼間のこちらの攻撃で十四万ほどまで数を減らした不死者の軍勢は、それを気にもしていないかのように攻勢を続けている。
「オルテガ、お前には御大とフォギィアの抜けた穴を埋めてもらわないといけなくなった。出来るか?」
「…… 全力を尽くします」
そう言ってオルテガは軍の指揮を執るために去っていった。
「さて、レオン、カラ。フォギィアの話を聞いてどう思った?」
「はい、オーダインという首無しの騎士ですが生前の意志が残っているとのことでした。それを聞いて思ったのですが、この不死者の軍勢を率いているのは彼なのではないでしょうか?」
「そうだねぇ、僕もそう思います」
「お前達もそう思うか?」
「つまり、その首無しの騎士を倒せば不死者の軍勢は瓦解するということかなレオン?」
「そこまではいかないだろうが、今よりも組織立った動きはしなくなるだろうな」
「そうだ、つまり次に奴が出てきた時に倒しておく必要がある」
クラウスがそう言うとカラとレオンの二人は頷く、それを待っていたように兵士の一人が三人に駆け寄った。
「報告いたします! 北門に首無しの騎士出現! 至急応援を求むとのことです!!」
「なんともタイミングが良い奴だな、いくぞ二人とも」
「「 はい! 」」
そして三人は最後の決戦の場へと駆け始めるのだった。
今回は最後の前ということで、少し短めです。
次回で最後に出来るよう頑張ります。
今回も読んでくださりありがとうございました。




