学園の貴族社会
今回も説明調です、面白くないかもですがお付き合いください。
そして次の日、帝国学園の各所にレオン達が新しい派閥を造ったことが知れ渡った。これはレオン達が情報を流したからでもあるが、帝国学園の生徒や教師達が学園内の情勢に敏感だからである。そしてもう少し時間が経てば帝都の中枢の貴族達の耳にも入るだろう。
その効果もあってか、昼休みになるとレオン達にさっそく接触してくる貴族の子息がいた。ただあくまで接触するだけであり、すぐにレオン達の派閥に入れて欲しいというものはいなかったが、これに関しては想定どおりなので問題なかった。
今日は帝都にある喫茶店で鶏肉と茸のパイを昼食にしながら、カラとレオンは自分達の派閥の現状を分析していた。コルンはクルスと実家の商会のことで話があるということで、クルスのところへ赴いている。
「幸先は良いと言えるだろう、カイン達のほうにも接触してきた者が数人いたそうだ。さすがに結成して一日目だ、妨害はないようだしな」
「接触してきたのは、ほとんど貴族家を継げない三男や四男だけどねぇ」
「それは仕方ない、実家を継ぐ長男や長男が死んだ時などの保険として家に残される次男は、そう簡単に動かないだろうしな。それに高位の貴族の者達は既に他の派閥で確固たる地位を築いている者達が多い、その地位を捨ててまで新興の私達の派閥に入るようなもの好きはいないだろう」
むしろ今はそういう者は入ってきてくれないほうがありがたい。何故ならそういった者が入ると派閥内での地位をどうしても上のほうに置かなければいけなくなる。
今現在接触してくる者達は新興の派閥であるため、初期から入っていれば派閥が成長した時自分の地位が上位になるだろうという打算を考えて接触してきているはずなのだ。それが高位の貴族が入ることによって見込めないとなれば人員拡大の妨げになりかねない。
そういった者達は派閥が大きくなって他の派閥を切り崩す時に取り込めば良い、といってもレオン達はそこまで自分達の派閥を大きくしようとは思っていないのだが、基本自分達が他の派閥に煩わされず快適な学園生活を過ごせればそれでいいのである。
「とりあえず何人くらい集まれば良いのかな?」
「最低でも現在ある最大派閥の三分の一は欲しい、数にすると百人といったところか」
レオンが言った数字にカラは溜息を吐く。
「先は長いねぇ」
「まあ、ある程度数が集まって私達の派閥が安全だとわかれば人は増えるだろう、今は他の派閥の情勢を把握するほうが大事だ」
そう言うとレオンは一枚の紙を取り出した。それにはレオン達が学園に入る前の学園の派閥の数や規模が記されている。
「これは事情通の先輩から売ってもらったものなんだが中々詳細に書かれている」
「よくそんな人見つけたね」
「あちらから売り込んできた派閥を造るなら必要だろっとな」
「怪しくない?」
「私もそう思ってな、その先輩について調べたんだが、学園では有名な人らしい。派閥に所属せず学園内から外のことまであらゆる情報を集めては、報酬や彼女の知らない情報と交換するらしい、簡単に言えば情報屋だな」
レオンの言葉の一部に興味をそそられる内容がありカラは首を捻る。
「彼女?」
「ん? ああ、情報屋は女性だ名前は―――」
「コニーよ。コニー・リン・レイヴン」
レオンが情報屋の名前を口にしようとした時、レオン達がいる喫茶店のテラス席の隣の席から少女の声が覆いかぶさって自己紹介をした。それに二人が振り向くと、赤い眼鏡をかけた黒髪の少女が手を振っている。
「やっほー、レオン君。私が譲ってあげた情報は役に立ってる?」
「聞き耳立ててましたねコニー先輩?」
「あら、人聞きの悪い。情報収集と言ってよ」
諦めの溜息を吐くレオン。自分に情報を売りつけに来た時もこんな感じだったのだ、悪びれずに開き直るため妙に憎めないところがある人だ。
「先輩の情報は今から役立てるところですよ、良かったらご一緒しますか?」
「良いの? それじゃお邪魔して、と何? 妹ちゃん。そんなに警戒しちゃって、襲ったりしないから安心しなさいな―――― 今は」
カラカラと笑って冗談のように言うコニーだったが、カラは気がつく。目が笑っていない。今日から夜寝る時は鍵だけでなくチェーンもかけておこうと誓う。
レオンは先程取り出した紙をテーブルの上に置くと紙に書かれた各派閥の特徴と人員を読み上げていく。
「まず一番大きいのが第一皇子を支持する貴族の子息達が集まるところで現在の学園内代表者はデッドリー侯爵の令息ミハエル、構成人数は三百人弱といったところか。次が第二皇子を支持する貴族の子息達が集まるところで現在の学園内代表者は軍を統括する元帥の令孫カイエン、こちらは貴族でも騎士階級などの軍に縁のある貴族達の子息で構成されている人数は二百八十弱。三つ目が今一番学園内で勢いのある派閥で、第三皇子を中心としている。代表者は第三皇子エレン、次席として公爵の令孫ハインケルが在籍している。構成人数は二百六十弱。他にもあるようですが、これ以外はたいしたこともない除外しておいても問題ないだろう。質問は?」
「はいはいはーい」
手を上げてはいを連呼するコニーに対して、眉間を押さえながらレオンはコニーへ先を促す。
「その三つや他の派閥から入学前に君達勧誘受けてるはずだよね? それどうしたのかな?」
「丁重に断りましたよ」
「いかん、いかんな~レオン君。彼等も他の派閥に入ったなら舌打ち一つで許しただろうけど、新しい派閥を造ったなんてことしたから怒り心頭さ、体制を整えたら一気に潰しに来るよ?」
「覚悟の上です、それは想定しています」
「んふふふ~、甘い、甘いねぇ、苺のジャムより甘い甘い。彼等の陰湿さと傲慢さを舐めちゃいけない」
「一応理解しているつもりですよ」
前世でも一部の特権階級の者達の傲慢や無駄な誇りに煩わされた経験のあるレオンである。コニーが言外に匂わせる内容の中身もある程度予測はつくのだ。それを踏まえて対策は練ってある。
そんなレオンの顔に何かを見たのか、コニーが興味深そうにレオンを見る。
「なるほどねぇ、君予想以上に面白いねレオン君。また欲しい情報があったら声かけて、安くしとくよ」
「わかりました」
「妹ちゃんも一人寝が寂しかったらお姉さんの部屋においで、暖めてあげるよ」
「いえ、結構」
「つれないな~、それじゃまたね」
レオン達のパイを一切れ食べ終わると自分が注文していた南瓜と胡桃のパイを置いてコニーは去っていった。
「怖い人だねぇ、僕達の品定めかな?」
「だろうな、完璧な味方にするのは難しいだろうから上手に付き合うとしよう」
「そうだねぇ、それで他の派閥への対策は?」
「これに関してはあちらの出方次第だな、後手になるが仕方ない。話は変わるが…… 会ってみたいか?」
突然話題を変えたレオンと話題の内容に驚きながらも、カラは首を振った。誰にと言わないのは他の人の耳もあるからだろうが、自分のことを思ってだとわかる。変なところで優しいから困ってしまう。
だからカラはこう答える。
「僕の兄はレオンだけさ」
この言葉に偽りは無い、たとえ現実が違ったとしても。
「そうか」
それにレオンは、後悔したような、諦めたような、悲しげな表情で笑う。
レオンのそんな顔は見たくなかったけれど、だからといって嘘を言っても仕方なく。
「そうさ」
そう答えることしか出来なかった。
次回はいよいよカラの実の兄登場予定です。
学園にいますか?という感想・意見を何通かいただきましたありがとうございます。
実は既に登場しているのですが、お気づきになった方いるでしょうか?
わざとわかりにくく登場させたので、気付かなくてあたりまえなのですけどね。
いつも意見、感想くれる方ありがとうございます。
お気に入り、評価ありがとうございます。点数が増えるごとに一喜一憂する私、一票入るだけでテンション上がると書いている作者さんの気持ちがわかりました。
今回も読んでくれてありがとうございました。




