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Underworld  作者: 獺八御
第二章 「エリダヌス国編」

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第六十話 「狙い」

 アレクシアの魔法により、いくつもの砲丸がタキシーの身体を貫通した。

 しかしタキシーは倒れることなく、片膝をつきその場に留まった。タフなのは肉体だけではなく精神も常人離れしているようだ。


 アレクシアは跪くタキシーの目の前に立ち、自分たちを襲撃した目的を尋ねた。身なりからは、彼の魔法を活かすためか布の面積が少なくどこの組織や国に与しているのか分からない。


 単なる王族狩りなら良いのだが、別の目的がある場合はその芽を早めに摘んでおく必要がある。

「ふっははは......」

「早く目的を話しなさい」


 しかしタキシーは話さない。

 アレクシアは右手を素早く上に上げる。するとタキシーが頭部の左側面を悶えながら抑え込んだ。

 大量の血が流れるその手元には、既に彼の左耳は無かった。


「エリダヌスでは拷問をしないので加減を知りません。早く話して」

「無理無理ぃ......見逃してくれるんだったら、逃げた後に文書を送ってやるよ。それでどうだ?」

 見え透いた嘘だ。


 すると、倒れていたナディアが意識を取り戻した。

「申し訳ございません、私がお守りしなければならないところを」

「大丈夫です。私の方こそ、助けるのが遅くなって申し訳ございませんでした。お任せしても良いですか?私は運転手の様子を確認してきます」

「もちろんです」


 そう言ってアレクシアはタキシーの前から立ち去った。

 すぐにナディアはタキシーの左手に手錠をつける。タキシーは嵌められた手錠を見て、痛みの中でも魔力が封じられるのを感じる。


(魔力が練れねぇな。この手錠、アンチマギア製か)


 アレクシアも運転手の元に行く。一両目は特に破損被害は無いので、運転手と車両が問題なく動けることを確認した。


 二両目の後ろ半分以降はもう使い物にならないのでその場に捨て置き、一両目に運転手含むアレクシア、ナディアが乗り、その後ろに連結できるようアレクシアが魔法でガラス製の車両を作ってそこに残り六人の兵士と命を落とした兵士三人の遺体、そしてタキシーを乗せて出発した。


 移動中、アレクシアはナディアの怪我を心配するがナディアはそんなことよりも主を危険に晒し怪我を負わせたことに責任を感じていた。

「私は大丈夫です。魔導士なので身体は常人よりも頑丈ですし」

「しかし、あなたがそのようなお姿になってしまっては私は何の為にここにいたのか......!本来私はあなたよりも先に怪我をして、命を落とす時も先にーー」

「そのようなことを言うのは今すぐやめなさい」


 アレクシアの思い詰めた発言にその場の空気が一気に重くなる。

 幼い頃に父を失っているアレクシアは、自分の命以上に兵士や国民の命を重く感じているのだ。


「申し訳ございませんでした。エリダヌス城までは三十分ほどですので、帰城次第医療班に治療を指示させます」

「ありがとうございます。あと、あの男の取り調べも抜かりなくお願いします。私が標的なら良いのですが、もし国民や国自体が狙いとあれば看過できません」


 どこまでも国のことを考えるアレクシアにナディアは呆れるほどだが、それでこそこれからのエリダヌスを引っ張るアレクシア女王だと思い運転手に一刻も早く帰城するよう命じた。


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽


 そしてここは、誰もいなくなった地区。


「タキシーがやられましたよ」

「ちっ、あれほど油断すんなよって言ったのに」


 暗闇の中で立ち上がる一人。

「俺が行こう。任務は、アレクシア・エリダヌスを手に入れるってことで良いんだな?」

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