↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Underworld  作者: 獺八御
第二章 「エリダヌス国編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/70

第三十九話 「手紙」

 カインからの手紙を見て、アレクシアは声すら聞いていないのにどこか安心した気持ちになる。


「ありがとうございます、レベルエイト様。夜の宴会までに筆を取りますので、返事をカイン様にお届けいただいてもよろしいでしょうか」

「もっちろん!でもあまり遅くまではいないから、できるだけ早めに渡すことをおすすめしよう」

「分かりました。では、また後で」

 そう言ってアレクシアはレベルエイトと別れる。


 これで挨拶回りは終わりだ。歩き回ったので少し席について休もうと腰を下ろしたのと同じタイミングで、ドレシアが声をかけてきた。

「アリー、これ食べた!?めちゃくちゃ美味しくて!」

 口から色々飛ばしながら嬉々として声をかけるドレシアに、アレクシアは咳払いをした。ドレシアは大衆の面前ということをすっかり忘れていたようだ。


「あっ、女王陛下」

「ふふっ。ねぇ、ドレシア。さっきレベルエイト様に挨拶して来たのだけれど、これを見てくれる?」

 

 アレクシアはドレシアにレベルエイトから受け取ったカインの手紙を渡した。

 すでにカインからの手紙と分かっただけでも喜ぶドレシアだったが、手紙の内容を読んでドレシアはさらに舞い上がる。

「やったぁ!いつ行く!?あっ、おっほん。いつ伺いましょう、お姉様」

「そうね、数日は成人式の後片付けで忙しくなるだろうから一週間後くらいに伺うよう手紙を書いてレベルエイト様にお渡しするつもりよ。留守はグランシアに任せようかしら」


「でも、グランも行きたがるんじゃない?」

「大丈夫よ、グランはそろそろ試験だから逆に城から出たがらないわ」

 それを聞いてドレシアも安心した。


 しばらくして昼の部が終わり、夜の部が始まるまでの幕間の時間。

 アレクシアはこの時間も休むことなく、城下町に出て住民たちと交流していた。


 その様子を城内の窓から見て、ドレシアとファーテルは感心した。

「片時も休まれず、今日からは本格的にそのご意志が強くなられているようですがご両親を亡くされてからずっとご自身が倒れては国が倒れると身を粉にして動かれて来ました」

「知っているわ。私とグランも国のことを疎かにしているつもりはないけど、私たちの中で一番国を想って働いているのを一番近くで見てきたもの」

「えぇ、国王が生きておられたらそれは大層鼻が高かったでしょうな」


 アレクシア達の父はエリダヌス国の国王として国を率いていたが、十二年前に突如その行方が分からなくなった。命を落とした確証はないが、国は既に彼を『夭折の王』としてその生涯を讃えている。


 国王が失踪するきっかけとなったのは、ある公務で出国したこと。特に危険が伴うはずもない安全な公務のはずだった。

 同行させていた護衛は先に帰るよう指示を受けて、抵抗したが国王の命令に逆らえるはずもなく帰国し国王だけがそのまま帰ってくることはなかった。


 所持品や証拠なども発見できず、いつどこでなぜ消えたのか、なぜ護衛を先に帰らせたのかなど不可解な点も多い。

 事故に見舞われた可能性も、第三者によって殺害された可能性も、今もどこかで生きていて帰ることができない可能性も全てが否定できない可能性として今も残り続けている。


 当時アレクシアが八歳、ドレシアが五歳、グランシアが三歳の出来事でそれから八年もの捜査が行われたが結局国王の行方を突き止めることはできず調査は打ち切られた。


 その事件から十二年、国王と共に王妃として国政を治めていたアレクシア達の母もその事件がきっかけで心労が祟り、数年後に引退。

 そこからはアレクシアが女王代理として国を率いてきたが、今日アレクシアも成人し正式に国を背負える立場となったことでドレシアも身が引き締まる思いだ。

「王女の立場に恥じない女にならないとね!」


 その後アレクシアは城に戻り、レベルエイトに渡す文書を書いていた。

(あとは、挨拶して夜の宴会に戻るだけ。もう少し街の様子を見たかったな……せっかく今日の為に準備してくれてたみたいだし)


 手紙には簡単な挨拶と一週間後に天空の管理者(スカイオーグ)本部へドレシアと行く、という内容を書いて封をした。


 呼び鈴でファーテルを呼びつけて、封をした手紙を渡す。

「大丈夫だと思いますが、レベルエイト様が出られるまでに私が戻らなければ代わりにこれを渡してください」

 ファーテルはそれを承諾し、手紙を受け取った。

「かしこまりました。夜は冷えますので、どうかお早めにお戻りください」


 アレクシアは礼を言って部屋を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。