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Underworld  作者: 獺八御
第一章 「Underworld 突入編」

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第三十六話 「帰るべき場所」

 千宙の一撃で丘は大きくひび割れ、地を唸らせる地響きと接続魔法《コネクション》の解除が千宙の勝利を村人達へ知らせた。

 

 千宙は倒れているジャミンを見下ろして、ぼーっとしていた。

 その爆心に、様子を見に来た雅博が千宙へ声を掛けに来る。


 雅博はまるで別人のような魔力を纏ったままジャミンを見下ろす千宙に悍ましさを覚えるが、声を掛けるとすぐに魔力は凪ぎ、脱力したいつもの千宙に戻っていた。

 無垢な笑顔は、さっきまでの魔法勝負を愉悦としていた魔導士とは思えないほど屈託が無かった。


 雅博達は千宙の言いつけを守り、戦いの手出しはしないで村人にかけられていた魔法を解いて回っていた。

 全体の三十パーセントほどがまだ未解除だったが、千宙の勝利により魔法は解ける。戦闘中に解けた雅博達の魔法とは違って、村人達には強力に接続魔法《コネクション》をかけて簡単には解けないようにしていたのだろう。


 村人達は全員意識があって特に傷つけられている様子もなく、安堵する様子と共に千宙達を英雄だと称賛した。どうやら体の動きを制限されている最中も意識があり、操られている自覚も助けられた自覚もあったようだ。


 しかし千宙達はUnderworldのお尋ね者、あまり有名になるのは好ましくないので逃げるようにその場を立ち去った。


 全員が背中を向ける中、雅博だけは後ろを見ている。


(なんだろう、なんか、このまま行っていいのかな)

「みどうくん、早く!」

 そんな言葉に雅博は背中を押されて、迷いを消して走っていく。


 来た方向へ、金色の小麦畑を走り抜けていくとさっき入ってきたトンネルが無くなっていた。

「やばっ、トンネル消えてる」

「さっきの土属性の魔力がまた来ないと開かないんですかね」


 すると突如として前触れなく再び地響きがして、さっきのトンネルができたのと同じように目の前の土壁が穴を開け始める。

 再び同じ場所にトンネルが現れた。


 少し違和感を感じるが、それでも今はこの場を離れるのが先決だ。千宙達はそのトンネルに向かって走る。

 その場に残された村人達は、その様子をじっと見ている。そして暫くしてそのトンネルは塞がった。


 息を切らし、汗を垂らしながら帰ってきた四人に斎は説教をかました。

「この地区内は全部私の感知圏内なんだよ、その圏内から魔力が消えたってことは......あれだけこの地区からは出るなって言ったのに、何やってんだいお前達!」

 雅博は弁明しようと、『でもトンネルが急に勝手に現れて、それがまさか地区外だったなんて』と言いたかった。

「でもトンーー」

「言い訳なんか聞きたくないよ!」

 まるで言い訳を待っていたかのような反射神経に、雅博は言い訳を諦める。


 しかし、斎には分かった。一晩も家を空けたわけではないのに大きく成長した魔導士がこの中にいると。


「で?収穫はあったのかい?」

 千宙は胸を張って答えた。

「えぇ!もちろん!」

 千宙と成未と未巴琉は今の帰るべき場所に帰ってきた。雅博も、同じ場所へ。



 現在ジャミンの敗北を知っているのはその場に立ち会った村人達と千宙達、更に話を聞いた斎だけだった。

 しかし、別の場所でジャミンの事を知る者たちがいた。


「ジャミンが落ちたな」

「相手は地上人のようです。先日のタキシーと言い、やはりエリダヌスの魔導士は侮れませんね。ビリヤードが戻り次第、もう一度出しますか?」

「なんでも良い。奴らは必ず手に入れるぞ」

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