↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Underworld  作者: 獺八御
第一章 「Underworld 突入編」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/6

第二話 「状況整理」


 外、確かに外だ。

 少しひんやりかつじめっとした空気が心許ない寝巻きを千宙の体に沿って吹き抜けていく。


「あれ……私、いつの間に外に出たっけ?」

 千宙の頭は意外にも冴えているが、ベッドに入ってからここに至るまでの記憶が抜け落ちている。というか、普通に寝ていただけなのだ。


 彼女が寝る前に外した眼鏡もいつの間にか目元にかかっている事から、誰かがかけたか、彼女が自分で無意識にかけたのだろうと予測できる。


 『外に出た』という状況を受け入れて、ようやく辺りを見回す余裕ができたところで千宙は更にあることに気がつく。


 壁、見回す限り壁。四方八方、土壁に覆われている。

 視界にその風景が入った瞬間にそういえばやけに土臭いと思ったんだ、と思い返すように嗅覚も目を覚まし始めた。


 辺りに入口も出口も見当たらず、辺り一面が土壁に覆われている。

 その土壁に促されるまま流れるように目線を上にやると、昼間と同じく雲が少しかかっているが隙間から漏れ出る月明かりだけが煌々と通っている大きな穴が彼女の真上にあった。

 穴の大きさを見るに、今いる底から上の穴まで目測で八百メートルはあるだろうと千宙は予測した。まるで大きな穴の中に落ちてしまったようだ。


 さて状況を整理しようと一息つく。千宙はまだ少し混乱しているようだ。

 眠っていて目を覚ましたら大穴の底にいた。

 うん、状況整理完了だ。


 整理してみると意外と単純な状況だ。もっとも、穴の下にいるなら穴から脱出すれば良い。


 幸いにも千宙は幼稚園児時代に、今どきそんな怪我児童大量生産大会のような催しはバッシングの嵐だろうが『木登りコンテスト』なるもので第二位に輝いた成績を持つ『木登り優良女児』だ。

 ちなみに一位は当時同じクラスだった猿楽くんだ。《えんら》と読むようで、発音はまともだが苗字は完全にその為に授かったと言えるだろう。ちなみに顔も猿に似ている。


 そんな思い出に口元を少し緩ませながら、その実力を発揮する時と言わんばかりに揚々と手と足を土壁にかけてみる。

 そしてぐっと力を入れて地面から足を離そうとしたが、力を入れた瞬間に嫌な予感がした。


 音を立てずにその土肌が見せる本質、異様な湿度で摩擦が失われている。この土壁の辞書には『摩擦』という言葉は存在しないだろう。


 さて、古典的な方法では登れなくなった訳だが、千宙はここでひとつの解決策を思い付く。

 千宙が生涯頼ることにはならないだろうと思っていた魔法だ。


 現在、千宙が使える魔法は基礎的な魔力放出と簡単な《結合魔法コネクション》だけ。


 結合魔法コネクションとは、物と物を魔力で結び付ける魔法で、極めれば人間と空間を結び付けて空中拘束したり、遠く離れた物同士を結び付けて引き寄せることもできる。


 しかし周知の通り千宙は魔法に関しては凡才。

 結合魔法も使えるには使えるが、重さも十キロ程度の物体を数秒くっつけられる程度だ。

 到底それでこのつるすべの土肌を登り切ろうなど、赤子が三時間で二足歩行してみろという方が簡単だろう。


 さてもう一度状況を整理しよう。千宙はもう混乱していないだろう。

 大穴の底にいて、地上に登るすべはない。

 うん、状況整理完了だ。非常にまずいという状況だけが整理できた。


 さてどうしたものか。

 今の絶望を恨みながら、煌々と照らす月明かりに目線を委ねる。

 そしてさっき上を見上げたのと同じように穴から土壁を舐めるように目線を地面に下ろし、そのまま徐々に奥へと目線を送る。


 すると、千宙はこれまでまるで気が付かなかったそこに倒れている一人の人物に気が付いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。