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Underworld  作者: 獺八御
第一章 「Underworld 突入編」

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第十二話 「衝突」

 時が止まった。という表現が、恐らくその場には最も適しているだろう。


 店主はこの記事を見て驚いた表情をしていた。この店主は遥実と面識があったのか?遥実は一体何をして捕まった?どこで?誰に?いつ?

 千宙の頭には、冷静になれば気付けることも質問として浮かび上がるだけで、それを解決する見込みはしばらく立ちそうもなかった。


「お前達、遥実を知っているのか?」

 店主のその言葉で全員が我に返る。

 あれだけ三人には言って聞かせたが、もはや店主が本当に信用できるかどうかなんてそんなことを気にする余裕はなかった。

「私たちはUnderworldに地上から落ちたんじゃなくて、魔法でこの世界に召喚されたんです。その召喚した張本人が彼で、私たちは彼を探してUnderworldを旅しているんです」


 店主は思い詰めた表情をする。

「そう......だったのか」

「あなたはこの子のことを知っているの?」

 奥さんは店主の背中を摩りながら、まるで怒られている子供の言い訳を聞くように質問をした。

「前に話した地上人の青年がいただろう?それが彼だ。まさか捕まっちまったなんて......」


 記事に、罪名は『地底国家法違反』とある。地上でいうところの連合反逆罪相当だろうか。だとしたら殺人よりも重く、酌量の余地なく重要参考人含み拷問のち死刑が定石だ。


「お前達、どうするんだ......?」

 店主は気まずそうに聞いた。


 ーー。


 誰も何も答えることはできない時間が続く中、その沈黙を破ったのは千宙だった。

「はるを助ける。はるを助けて、私たちは地底を出ます」


 その後のことはあまり覚えていないが、昼食にと用意してくれた拉麺はあまり喉を通らなかった気がする。


 その日は店主の家に泊めさせてもらうことにした。

 電気を消して布団に体を包ませるが、四人とも寝ることはおろかさっき出された夕飯も喉を通ることすらなかった。

 声をかけなくても、他の三人が寝付けていないことは各々分かっていた。


「どうしよっか......」

 皆やはり葛藤していた。口で助けると言うのは簡単、しかし実際に遥実を助けるということは、地底政府であるロストラムを敵に回すということ。

 たった四人で歯向かえる組織ではないことなど、火を見るよりも明らかだった。

「私たちには、はるを助けるしかこの地底を出る手立てはない」

「じゃあ私たちは地底政府の敵になるっていうんですか?」

「しょうがないだろ、白砂山。そうしなきゃ俺たち、地上に帰れないんだからよ!」

「でも世界を相手にするなんて......」

「成未先輩まで、じゃあ俺たちはずっとこのまま地底で生きろって言うんですか!?」

「みどうくんやめて、なるみんは何も悪くないでしょう。即決派の私たちと、熟考派のなるみんとみはるちゃん、でも実際私たちだって迷っているでしょう?ーー私は迷ってる」

「そりゃ迷ってますよ、俺だって世界を敵に回すなんて怖くて仕方ない。でも俺たちがやらないと俺たちだってこの世界から出れないし、遥実先輩もずっと捕まったままなんですよ?」

「だからって、はっちが地上に帰る方法を知っているっていうのもミュリエムさんの予想だし、助け出したとしても帰れる保証はどこにもない。それなら、四人で帰れる方法を探したほうが効率的じゃない?はっちは見殺しになっちゃうけど......」

「それに、遥実先輩を助けるってことは苺のおじさんにも迷惑をかけることになります。私たちが犯罪者になるってことは、ここもロストラムの調査対象になるってことですよね?だとしたら、私は賛成できません」

「この地区を出てから救出作戦を実行すれば、ここも無事なんじゃないのかよ」

「でもそれを断言することは、みどうくんにはできないよね?」

「それはそうですが......星導先輩はどう思ってるんですか」

「......」

「何も答えられないなら良いです。ただ、僕はーー」

「私はーー」

 千宙が話し始めて、雅博は口を止める。

「私は正直、はるを助ける必要はないと思う。勝手に地底世界に入って、人のこと勝手に呼びつけておいて、勝手に捕まったんだから、それを私たちが手助けする義理はない。でも、この世界に入って私たちに良くしてくれた人が、はるの無事を願っている。私だって、はるに死んで欲しいと思っているわけじゃない。だから私は、助けたい......かな。でもそれには私とみどうくんだけじゃ無理。なるみんとみはるちゃんがいればどうにかなるかもしれない。もしかしたらこの先の地底世界に進んだら、私たちの味方になってくれる人もいるかもしれない。だから、今は進もう。はるのことを諦めて、四人で帰ることになっても、その方法を探すのははるを探してそれがダメだった時から初めても遅くないよ」


 千宙は身体を起こした。

「私たちはまだ、諦めない選択ができる」


 雅博はさすがという表情で千宙を見ているが、成未と未巴琉はまだ不安そうな様子だ。

「ちっちの話はわかった。わかったけど......もう少し情報を集めてみて、兆しが見えそうもなかったら、その時は分かってね」

 成未は承諾し、未巴琉も渋々承諾した。

「苺のおじさんにはなんて説明しましょう......」

「明日、朝食を食べたら出発しよう。早々に繋がりを断ち切って、なるべく今後の活動で迷惑をかけないようにする。もう報酬ももらったしね」

 四人はそれで納得して、千宙はもう一度布団に戻った。


 夜が明け、寝不足の四人は朝食のために食卓につく。食事中も明るい話はあまりできず、澱んだ空気が食卓には広がっていた。

 食事が終わり、四人は世話になったと出て行こうとする。しかし店主はその異様な態度を察したようで待つように指示をした。


 すると、家の戸を叩く音がする。はいはーいと店主の奥さんが対処するが、戸を開けると武装した兵士がわらわらと出てきた。

「おはようございます。通報を受けて参りました、こちらに地底国家法違反者の関係者が複数名いるとのことで身柄を渡して頂きたくーー」

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