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StellaNotes03

「あら、さくらちゃん。今日は友達を連れてきてくれたの?」


 海カフェの店主は、こまちを満面の笑みで歓迎した。


「うん、わたし達の教育係のこまちさんだよ」

「そうかいそうかい。

 こんな美人2人を放って、悠真ちゃんは何してるんだい?」


 奥のテーブルを見ると、女性客3人に悠真が声をかけているところだった。


「女子会みたいなものだから、気にしないでいいよ」

「それもいいかもね。あんたたち自前の飲み物は飲めるんだよね?

 私のお気に入りのグラスを貸してあげるから待ってな」


 そう言うと店主は、メニュー表を持って悠真たちのテーブルの方に歩いていった。


「ほらほら。この子たちにデザートとか御馳走して男を見せてやんなさい」

「え?いいんですか。やった~」


 悠真が声をかけた女性たちは、店主が渡したメニュー表を嬉しそうに見ていた。


「まだ、いいって言ってなかったわよね?」

「多分、顔がオッケーしていたんだと思います……」


 こまちはさくらの言葉に苦笑いしていた。


「駅での案内の仕事はどう?」

「はい。多くの人が自動案内の話を聞きに来てくれました。

 乗客の案内よりそっちの方が大変だったかもしれません」


「そうね。伊吹さんを紹介してくれたでしょ?

 問合せが沢山あって、あの伊吹さんが慌ててるの初めて見ちゃった」


 さくらは、申し訳なさそうにこまちの顔を見た。


「ちょっと悪いことしちゃったかな?」

「あなたはアストラ電鉄の所属だから、それが正解よ。

 駅の仕事に専念して、これからもその対応はこっちに任せてね」


 こまちの言葉にさくらはホッとした様子だった。


「その対応をつるぎに頼もうかって話があったの」

「つるぎに?バディのあの人が納得するとは思えなかったけど」


「えぇ。彼が反対して、この話は無くなったの」


 さくらは指先を合わせて目を泳がせていた。


「鷹宮さんが正論の人だから、安藤さんは高橋さんを引き抜いて担当にしたみたいだしね」

「そうですね。高橋さんだから、のぞみを扱えているような気がします。

 つるぎによると、鷹宮さんは今のポジションが不満みたいですが」


「あなた達や会社全体を客観的に見るポジションが合ってるのにね」


 こまちは優しい笑顔で大きく頷いた。


「そう言えば店主さん。いつグラス持ってきてくれるのかしら?」

「そうですよ。うち、もう我慢できなくて……」


 さくらがそう言うと、ちょうど店主がグラスを持って歩いてきた。


「ゴメンね。ちょっと遅くなっちゃって。どう?」


 店主が持ってきたフルートグラスには海が描かれていた。

 浅瀬のターコイズブルーと沖合のコバルトブルーが、渦巻くように混ざり合っていた。


「まぁ、グラスの中に海が詰め込まれているようですね」

「店主さんみたいに素敵なグラスですね」


「気に入ってくれたかい?ありがとう。

 これを光に当てて、こうやって勢いよく注ぐとね」


 店主がドリンクを注ぐと、グラスの中の海が波打っているように見えた。


「素敵。本物の海を見ているみたい」

「きっと奥に大事に保管してあったんですね。私たちのために恐れ入ります」


 そう言うと店主は、気まずそうに笑っていた。


「いや、カウンターに飾ってあるんだけどね。

 あの子たちがたくさん注文してくれるから、そっちに時間取られちゃってね」

お読みいただきありがとうございます。


海カフェ店主のお気に入りのグラスのイメージイラストをXで公開中です。

https://x.com/stella_bridge_/status/2099015972967645304


よろしければ、ご覧ください。

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