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新しい自分がやるべき事  作者: かもめ
第三章
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~学習院と修道院~後編

不思議な感じだ。ついさっきまでは、ライトの意識に語りかける。そんな感じだったのに今は完全に中身だけが入れ替わった様だ。姿形はライトのままで…竜一が表に出てきた。

「俺、死んだんだよな…でも、今こうして…何か違う所だけど、生きてる。また、楽器触れるんじゃ…」

素直に思った事が自然と口から出てた。そして、世の中に自分が存在していることに嬉しさが込み上げてくる。


あの時、ライトの中に取り込まれ、完全に消滅したと思っていた。しかし、特に大きく変化した事はなく、ライトの見ているもの、行動、言動、考え…そういった全ての感覚が把握出来ている事自体は、彼の近くに寄り添い始めた時から変わっていない。

ただ一つだけ変化があったとすれば…ライトの中に取り込まれた竜一が、自身の意思で入れ替わることが、出来る様になったようだ。

「ライト、俺が父さん達と話し合いするよ」

『えっ!?大丈夫なの?』

ライト声が頭の中に響いてくる。意外と戸惑ってないようだ。まぁ、全ての感覚を共有している訳だから、何が起きているかなんて思ってもいないはず。

「大丈夫だって。俺はライトで、ライトは俺。とりあえず、この約二月色々見てきたよ。突然勉強が、解るようになったのも俺が手助けしたって訳。中に入っている今ライト君は、俺の事知ればいいよ」

そう、この二月、ライトの記憶を覗いて来た。だからライトにも同じ事が出来るはず。いや、出来ない事はない。俺たちは一人の人間なんだから。


ゆっくりと目を瞑り、一つ深呼吸を入れる。そして、またゆっくりと目を開けると、そこは自宅のドアを開けた所だった。

ライトの中から自宅の様子は伺って居たから、何処が寝室で、何処が台所なのか、そういった情報は全て入っている。

「ただいま、母さん」

「おかえりライト。今日はあなたが一番遅かったのよ」

ミラも父さんも、もう帰って来てるらしいが姿が見えない。

「二人は?」

「二人で下の井戸に水汲みにいったわ」

あぁ、あの時…ライトとやり取りしていた時に行ったんだ。三途の川みたいな空間に入り込むと、その間は周りから姿が見えないらしい。

「夕飯終わったら、話しあるんだけど…いいかな?」

「どうしたの?」

「学習院と修道院から勧誘されたんだ」

「…!」

さすがに驚いたらしい。言葉も出ないくらいに。


間もなく父さんとミラが戻ってきた。

さて、どうなることやら。ライトの記憶や知りうる事を探っても、学習院や修道院の情報は出てこない。父さんや母さんなら何かしら知っていて、助言等々出てくるだろう。とりあえず、俺の狙いは両親をあの先生達に合わせて、第二回目の話し合いの場を作るように、話を持って行く事。


「で、話ってなんだ?母さんから聞いたけど、丁度父さんもお前に話したい事があるんだ」

夕飯が終わり、切り出したのは父さんからだった。もちろん母さんとミラもその場に居る。

「うん、簡単に話すけど、今日、学習院と修道院から勧誘されたんだ。もちろん、僕一人で決められる事じゃないから、家族と相談しますって答えたけど」

ライトの言葉をそのまま言う。その言葉を聞いた父さんは、「やっぱり」って顔で軽く溜息をする。普段表情を変える事が少ないミラですら驚いているのがわかる。

「正直、その誘いは将来の事を考えると、我が家的には凄くありがたい」

「それはどうしてなの?」

僕が聞く前に、ミラから質問が出た。ブランドルって先生の話は将来の生活は安泰だと言っていたが…

「学習院に入ると学び舎と違って、基本的な読み書きや計算だけじゃなく、音楽やこの地を納める神々の勉強とか色々と学ぶ事になるらしい。更に成績が良ければ、領主や国王等の最上流階級一族に支える事だって夢ではないらしい」

…とんでもない話だ。しかし、音楽って言ったよ…つー事は、楽器もある!

「じゃぁ、修道院は?」

学習院の事は大体わかったから、修道院の事聞かなきゃ。俺が生きた日本には無い。無いって言うより、身近に無かったから知らない。修道院って言葉は知っていても、具体的に何をする所なのか、俺は知らない。

「うーん、学習院の事は職場で調べたり聞いたりする事は、出来るが…修道院に関しては母さんの方が知ってるかもな」

やたらと学習院には詳しいと思った父さんは、色々調べたらしい。人の往来が多い関所に勤務しているから、そういった情報はいくらでも入手出来るって訳か。

父さんの一言で、一同は母さんの方に視線を送る。急に振られて困った顔をするが…少し言いにくそうに口を開いた。

「そうねぇ、職場で装飾品やら衣装を納品に、一月に一度くらいしか行かないから、詳しくはわからないけど…」

俺を含めた全員が、興味深く待っている。

「聖堂の神官や巫女になる為の、修行を行う所って聞いた事はあるかしら。殆どが住み込みみたいだけど…それくらいしか解らないわ」

まぁ、納品だけって事になら妥当な内容かな。実際には不透明過ぎるから…予定通りに先生達に合わせて詳しく聞くしかないか。

「でも、でも、ライト…行っちゃうの!?」

動揺した様にミラが声をあげた。取り乱した感じのミラは、見たことがない。表に出る前から見ていたけど、ライトに対する態度は意外とサバサバしてるだけに、こちらが驚く。

「いや、まだ決めてないよ。家族と相談しなきゃ、解らないって答えてあるし…」

『ちょ、ちょっと、僕は何処にも行くつもりないよ!?』

なんか余計な声が出てきたけど、とりあえず無視。後でゆっくり説明してやろう。

「詳しくさ、先生達から話し聞いてみようよ?父さんと母さんに時間作ってもらってさ、ちゃんと説明してもらおうよ?そしたら、判断出来るでしょ?」

「そうだな、父さんも聞いた話しだから、本当かどうかも解らないしな…明日の夜にでも、いつなら都合いいか、お前に伝えるよ」

父さんと母さんは顔を合わせ自然と頷く。ミラは未だに不安そうな感じだけど…。まずは、予定通りになったな。


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