SnowSmile
※もしも理想の妹がいたら※
「雪だー!雪だよ、お兄ちゃんー!起きてー!」
いつもよりも強く、扉が叩かれる。
「ん……、ユキ?」
目を開くと、朝のこの時間にしては明るい。
身体に吸い付く布団を振り払って立ち上がり、カーテンを開くと、ギラギラとした光が目を刺す。
「雪、か……。」
眩しさの原因がわかり、納得していると、
ガチャーン!!と、扉が思い切り開かれた。
「お兄ちゃん起きてー!!雪だよ!!って、あれ?」
「うわあっ!ああ、起きてるよ……。」
「驚かしちゃってごめんね。でも、溶けちゃう前に見て欲しくて……。」
「気にするな。ありがとうな。」
「うん!」
窓から庭に積もる雪を見て、妹ははしゃいでいる。
「本当に、真っ白だな。」
綺麗な景色に思わず感嘆がもれる。
朝食をコーヒーも飲み終え、今日はどうしようかと考えていると、
「お兄ちゃん、外で遊ぼうよ!」
元気な妹だった。
玄関から一歩踏み出すと、ギシギシと雪のきしむ感触が心地よい。
「やっぱり寒いねー。」
「そりゃあ、雪が降るくらいだからな。」
天気も曇り空で、今は太陽も隠れている。
「さあさあ、遊ぼ!温まろ!」
と言われても、何をしよう。
(最後に雪で遊んだのはいつだったかな。確か去年は雪がほとんど降らなくて、遊べなかったんだよな。ということは、………)
バコン!
頭に雪玉が飛んできた。
「ほらほら、何ぼうっとしてるのっ?遊ぼうよ、お兄ちゃん!」
2つ、3つと雪玉が飛んでくる。
我が妹ながら、いいコントロールだ。
こちらも負けじと雪を丸めては妹に投げ始める。(少し手加減してだが。)
『ぜえぜえ……はあはあ……。』
お互い、肩で息をしている。
「なかなかやるね、お兄ちゃん……。」
「お前こそ、なかなか……。才能あるぞ。」
「なんの才能……?」
「雪合戦のだ。」
「微妙な才能だね……。」
お互いに会話しつつも、隙を狙い、いつでも攻撃できる状態だ。
「そろそろ決着をつけようか、お兄ちゃん。」
「のぞむところだ。次を当てた方が勝ちな。」
お互いに頷き、じりじりと距離をはかる。
その時、今まで雲に覆われていた太陽が姿を現し、その光が雪に鋭く反射される。
「あっ!」
(今だっ!)
妹が不意の眩しさに目を覆った一瞬を逃さず、素早く雪玉を投げるモーションに入る。
しかし、妹は足を雪に突き刺し、蹴り上げた!
舞い上がった雪に光が反射され、今度は俺の目が眩んだ。
(しまった!)
今投げるのを止めても、的にされるだけだろう。
そう考え、運に任せて雪玉を投げる。
バコン!
負けたのは俺だった。
顔面にクリーンヒットだ。
「あはは、たくさん遊んだね。身体も温まったよ。」
服に着いた雪を落としていると、ふと妹の顔が目に留まる。
寒さのせいか、普段になく鼻先や頬がほんのり紅くなっている。
「ん、私を見つめてどうしたの、お兄ちゃん?」
「いや、別に。」
「そっか。雪が積もったらまた一緒に遊んでね、お兄ちゃん!」
そう言って妹は玄関に入っていった。
雪の日だけの、妹のいつもより、ほんの少しだけ紅い笑顔。
それは雪解けのようにすぐに消えてしまう。
次にそのSnowSmileが見られるのはいつだろうか。
第3話 SnowSmile END.
今回は理想の妹と雪合戦!
ちなみに私の住んでいるところはめったに雪が積もらないので、理想の妹がいたら、こたつでぬくぬくしていることでしょう。
ではまた!




