第16話 きっと、また会おう
翌朝早く、私たちはカボチャの駅へ向かおうと、宿の扉を押し開けた。
宿の前には、佐藤さんと翔太さんが、何人かの住民を連れて立っていた。佐藤さんは手にしていたアイスクリームジュースの瓶を何本か、私に渡してくれた。
「昨日は本当にありがとう」
「いえ……みんなの力になれて、私たちもうれしいです」
辺りを見回したけれど、松本さんの姿は見つからなかった。
「あれ、松本さんは?」
みんな、しばらく黙っていた。翔太さんはたばこを一本取り出したけれど、私たちを見ると、またしまった。
「松本は……自首したんだ。昨日はみんなでずいぶん長く話してね。最後には、自分は罰を受けるべきだと考えたんだよ」
翔太さんは片手をズボンのポケットに入れ、遠くを見ていた。見ているのは、きっと松本さんが閉じ込められている場所なんだろうな……でも、松本さんが嫌なことをしたのは、本当だよね。
「さあ、この話はもうよそう。君たちは今日、もう出発するのかい?」
「あの、ほかの場所にも遊びに行ってみたくて」
私は少し照れながら頭をかいた。ここには、確かにおいしいものがたくさんあるけれど……千晴ちゃんのほうを見た。千晴ちゃんも私の視線を感じたみたいで、目が合った。
千晴ちゃんや悠斗と一緒に、ほかの町も見てみたい。
「そうか。それじゃ、君たちの旅の無事を祈っているよ」
「ありがとうございます、翔太さん。佐藤さん、またね」
「うん、気をつけてね」
私は千晴ちゃんと悠斗の手を引いて、駅のほうへ駆け出した。目尻が少し赤くなっていた。
やっぱり、知り合った人たちと別れるのは寂しいな……。
◇
カボチャ列車がゆっくりと空へ昇り、私は慌てて窓に張りついた。地上では、ティーポットみたいな車が何台も、溶け崩れた家々の前に停まっていた。
屋根の上には、道具を手にした作業員が何人か立っていた。いくつかの通りには、何が書いてあるのかわからない立て看板も置かれていた。工事中だから、回り道してってことなのかな。
背の高い一軒の家に、小さな横断幕が掛けられていた。そこには「ありがとう、魔法使いのみなさん」と書かれていた。
私は身を引っ込めて、うつむいた。うれしくて、笑みがこぼれた。
心の奥で、あのしずくが、そっとジュースの色に染まっていった。
アイスクリームの町編 ――完――




