新たな危機
16.新たな危機
「先日のメンドー、スーバキ両国との第二回交渉時に説明しておけばよかったのじゃが……まだその時点では高校の卒業式は行われておらず……それにエミリアはすぐに巧殿と共に旅立ってしまったからの。まあ本人もあまり気にしていないのであるなら、次に帰ってきたときに証書だけ渡してやればよいと考えておった。
だが……エミリアもわしと同様忘れておったのじゃな……説明しておけばよかった申し訳なかったな。」
エミリアの父であるシュタインベック公爵はエミリアに対しぺこりと頭を下げた。
「そんな……父様が謝ることではありませんわ……私が自分の事なのにすっかり忘れていたのですから……ですがよかったです、旅先で思い出した時には背筋が凍り付くかと思ったほどでしたから……。」
王都へ急いで帰る道中……ずっと解決方法をあれこれ試行錯誤し、ろくに睡眠もとれていなかったエミリアは、真っ赤に腫らした瞼を少しこすりながら、それでもようやく笑顔を見せた。
「それで……じゃ……サリーヌはアルミナでの就職をあきらめ王都にて社交界デビューを果たし、これからは貴婦人としての嗜みやダンスなどを学んでいくようだが……ついでに大学へも進学した。高度な教育を受けておいた方が外国の要人らとの会話の際にもより深く応対可能だからの。
そこで……勝手ながらエミリアも……この春から王都の国立大学へ入学手続きをとっておいた。高校の一、二年は常に学年トップの成績だったし、三年の時は公務ということにして成績は優としておいたから推薦枠で入学できた。王様にお願いして裏から手を回したなどという、やましいやり方では決してないから安心しろ。
高校は商業だったがそれは高校卒業したら就職するつもりで簿記など必要な能力を身に着けるつもりで……本当は天体観測に興味があり星の運行や軌道計算などがやりたかったんじゃろ?だから……学部は理学部にしてある。
どうせ……就職するつもりはないのじゃから……それでも当面は冒険者を続けるつもりなんじゃろ?それでも構わん、大学は八年間は在籍可能じゃから……勿論特待生扱いで学費は免除だから案ずることはない。その間にまた気が代わることもあるかも知れんじゃろ?先行きを今この時点で決めることはない……選択肢は残しておくべきじゃ。」
さらに父はエミリアに大学入学手続きをとったことを告げた……しかもエミリアが望む最高の形で……
「えええっ……?よろしいのでしょうか?そんな……優遇措置を……だって冒険者になりたいというのは私のわがままでしかありませんのに……。」
「ああ……構わんじゃろ……エミリアが至極優秀なことは、シュトラセン子爵も他のこの国の主要閣僚はじめ、国王様ばかりかターメリア国にメンドー国にスーバキ国三国の国王様だって認めておる。そんなエミリアにどこかの会社の会計をやらせていたら、すぐさま自国の官僚に……とスカウトが来てしまうわ。
勘違いはせんでおくれ……別にわしはエミリアに冒険者をすぐにやめて落ち着いて危険のない生活をしてくれと望んでいるわけではないのじゃ……若くて色々なことに興味がある今のうちは好きなことをやればいい。まああまり危険な目には会って欲しくないというのが親心じゃがな……まあだが……巧殿と一緒に行動できる限りは安心じゃ……。
それでじゃ……エミリアと巧殿を至急呼び寄せる用件が出来たので……実はつい先週に全国の冒険者組合を通じて二人を呼び戻そうと呼びかけを行った処なんじゃ……それに気づいて戻って来たのかと最初は思ったのじゃが……。」
シュタインベック公爵は父としての顔を見せた後、突然顔を曇らせ眉を寄せ至極真面目な表情に変わり前置きした。
「ええっ……?どうしたのです?ボーキ海の水位回復の為の流域変更工事で不具合でも発生いたしましたか?」
とりあえず当面発生しうる問題で大きなものはボーキ海関連とエミリアが予想し問いかけた。
「いや……そうではない……それよりももっと恐ろしく深刻な……この世界の存亡にかかわることじゃ。
実は……ハリキル国首都エール内にある都市国家スムープにある聖教会世界本部の地下書庫金庫が破られ、魔王の羊皮紙が魔族らに奪われてしまった。」
『はあ?』巧とエミリアが合唱の如く揃って声を発する。
「だだって……あれだけ厳重に封印されて……魔族らに嗅ぎつかれないよう管理したうえに、ハリキルの精鋭軍が昼夜問わずに守っていたはずですけど?」
自分の目で確かめただけにエミリアは父の言葉を受け入れられない。
「実はの……ボーキサイ国北部山脈にて羊皮紙奪還のために集結していた魔物らの巨大巣窟……ケンリッヒ当時男爵らの力添えもあり奇襲攻撃をかけることで事前に掃討を果たし、二ケ所の巣窟でそれぞれ魔族を捕らえ一人はエラルドの冒険者組合へ収監し、もう一人はエールの冒険者組合に乞われて収監したであろう?
その……エールに収監した魔族が脱走し、その足でスムープの聖教会本部を急襲したのじゃ。その時には眷属らも十人ほど押し寄せ……さすがの聖騎士団も敵わず死傷者多数……羊皮紙も奪われてしまった。どうやらベルンとか申す司祭が草という代々続く眷属一家であったようで……その者の手引きだったと後日の検証で明らかとなった。
収監されたヘルムとかいう四本腕の魔族は収監された後一月ほどで回復し、二ケ月目からは食事を与えられるのと引き換えに魔道具用の魔力供給にも協力的だったようだ。
収監されてから半年経過後の三月中旬にベルンがエールの冒険者組合を訪れ、結界を修復すると申し出たそうな……それまでにも直々一週間と開けずに結界の様子を見に来ていたという事だったが、修復の必要性があると診断した。
魔王直属という大物だけにより慎重に結界を維持する必要性があるということでな、ところがベルンは結界をより強力に張り直すどころか逆に全ての結界を解いてしまったようだ。
おかげでヘルムは楽々と地下牢を脱獄し、冒険者組合の受付嬢ら数名をさらって逃げたのち聖教会を襲撃した。恐らく受付嬢らの生き血をすすり、活力を得てから襲撃したのであろうというのが大方の見解じゃ。」
シュタインベック公爵が耳を覆いたくなるほどの惨劇詳細を告げた。
「な……なんと……俺たちが捕えてエールに収監した魔族が……もしや最初からそのつもりで?」
巧もショックの色を隠せない様子……
「いや……そうではないじゃろ……わざと捕まらずとも、巧殿たちが魔王の羊皮紙を運んでいると分かっていたのだから……殺したうえで腕を切り取って冒険者の袋から取り出したほうがより簡単じゃ。そうではなく……万が一の時の為の代案として、皆に示し合わせておったのだろうな。
それくらい……男爵らを加えた巧殿たちのパーティが強力だったという事じゃ。じゃがあまりに強力だったが故に自信もあったから魔族を生け捕りにし、エールの冒険者組合に収監した……魔族らの作戦に乗ってしまったとはいえるが……それだって魔族だから可能な……いわば捨て身の作戦じゃからの……我々人間には思いつきもしない。
この情報は巧殿たちに同行したハルク司祭……今は司教じゃな……彼が聖教会へ持ち込んだ伝書バトを通じ、彼が聖教会から連れ帰った本部側の伝書バトを使ってのやり取りから発生から数日で明らかとなった。
さらにそこから一週間ほどして……つい先日……今度はエラルドの冒険者組合が襲撃され、冒険者組合は死傷者多数で壊滅状態……収監されていた魔族が逃亡したという報告が、ハルク司教がエラルドへ届けた伝書バトを通じて連絡があった。つまり……北部山脈で捕らえ収監した魔族は二人とも脱獄したようだ。
元々ハリキル国など遠方とのやり取りは、街道筋の宿場町間や宿場町と近隣の大都市間で情報をやり取りする伝書バトを継いで行われておったのだが……猛禽類の梟を調教して鳩代わりに夜便に使って居ったから昼夜問わずに飛ばせて、それでも同乗便の仕分けや他地方からの着便待ちなどがあるから片道五日ほどでハリキル首都とやり取りしておった。
だが今は直行で鳩が使える上に同乗便もないから軽く、王都エール間なら丸二日で連絡できるようになった。おかげで緊急連絡が素早く届いたのじゃが……あまりの惨劇に皆言葉もない有様じゃ……。」
公爵の口からさらに衝撃的な事実が告げられる。
「そ……そんな……私たちが捕らえ収監した魔族により、多くの犠牲者が……。」
エミリアの唇が小刻みに震え、顔は青ざめ立っているのがやっとのように見える。
「いや……決してエミリア達のせいではない……奴らのせいなのじゃ。魔族が悪いのじゃ……奴らのずる賢さにより多くの犠牲者が出てしまった……だがことはこれだけでは済まん。羊皮紙を取り戻したということは……奴らの目的は魔王復活しかない筈じゃ。だがこれは……これだけは絶対に阻止せねばならん。
伝説の勇者とともに行動していたが反旗を翻した魔王……勇者は当時名うての冒険者らを募って大規模な戦力でようやく討ち果たしたと伝えられる……口伝によるものじゃから一体どれほどの戦力なのか尾ひれがついておるじゃろうから、今では推し量れもせんがの……なんにしても魔王が復活したら我々人間社会の危機であることは間違いがない。
今は魔族同士が連携したり手を結びあったりする事はなく単独で行動し、夫々人間たちの目の届かないところでひっそりと暮らして居るが……魔王の指揮のもと一つにまとまりどこか広い地域を掌握でもされたなら……奴らは魔物らを操ってさらに勢力を広げていくであろうし……人間の冒険者らで果たして対抗できるかどうか……恐らく無理であろう。
そうならんよう……なんとしてでも魔王復活は阻止せねばならん……だからエミリアと巧殿のほかにケンリッヒ侯爵らのチームにも冒険者組合を通じて王都へ集結頂くよう呼びかけをしておる。勿論……ターメリア、メンドー、スーバキ国へもハリキル国から直接早飛脚便が回っておるはずじゃ。」
公爵が何としても魔王復活を阻止しなければならないと深刻な状況を告げる。
「羊皮紙を奪われてしまったということは……魔王の体が隠されている……彼らが向かう筈の場所はこちらでは全く分からないわけですよね?もう他に……羊皮紙はないのでしょうか?」
エミリアが腕組みをしながら唸る……
「ああ……勿論羊皮紙が他に存在する可能性はないかとスムープ聖教会本部と伝書バトでやり取りして確認したのじゃが……魔王の隠された場所が浮かび出る羊皮紙の大半は聖教会に託された者がいずこかへ埋め、それがどこか誰も分かっておらん。聖教会本部の羊皮紙は万一隠す前に奪われたことを想定した人間側の予備だったのじゃ。
それが奪われてしまったのじゃから……もうこちらの手には羊皮紙は存在しないといってよい。」
公爵が残念そうに下唇を噛みながら告げる。
「そうなるともう……皆さんの記憶力に頼るしか方法はないようですわね……。」
『記憶力?』大臣執務室内に居るもの皆が声を合わせた。
「紙と筆記具は御座いますか?羊皮紙の大きさですから半紙程でしたよね?」「おおっ……ここに……。」
公爵はすぐに自分用の大きな政務用のデスクへ戻り、デスクの上の指示書を書いて送るための用紙と筆記具を並べたトレイをとり戻ってくると、打ち合わせ用の小テーブルの上に置いた。
「ええと……確かこんな輪郭で……。」
エミリアはこの時ようやくテーブルの前の椅子に腰かけ、テーブルの上の用紙にいびつな円形の図をいくつも重ねて描いては消してまた描き始めた。
「等高線が何本かありましたから恐らくどこかの山か島であると思われます……山頂から二本の線が斜め上へとそれから斜め下へと伸びておりましたから……恐らくそれは川ではないかと想定されます。わたしが覚えているのはそれくらいで……なにせ私が見たのは最初に母様の冒険者の袋から羊皮紙を取り出した時にちらりと見ただけで……。
巧さん……他に何が書かれていたか覚えておいででしょうか?」
「ううむ……そうだな……所々にミミズがのたくったような記述が……あれは恐らく川名か等高線の高度なのか……魔族にだけ通じる言語や文字があるのだろうと考えている。恐らく文字だろうという印象だけ覚えているな。」
エミリアの問いかけに巧が応じる。
「そうですね……図と違って文字となるとあやふやな記憶で描いても翻訳など無理でしょうし……父様や小父様は如何です?お二人ともに……取り出した後も王都へ報告に伺ったりして、都度羊皮紙の地図を眺めていたはずですから、私たちが見た時よりもずっと後の……もしかすると地図が完成した後にも見た可能性がありますね。」
エミリアは今度は父と、さらにその友人の子爵の方へと視線を移した。
「わわっ……わしは……むっ……無理じゃ……最近は目がすっかり悪くなってしまい、霞んで図などはよく見えておらなんだ。だから……覚えておらんというよりはっきり見えてはいなかった。」
「私も同様……申し訳ないが……はっきりとした形は見えてはいなかった。」
だが……最新の状態を知っている筈の二人は大きく首を横に振ってから謝った。
「ふうむ……そうなると……弱りましたね……うーん……何の手掛かりもないとなると……魔族たちが何らかの騒動でも起こさない限り……どこへ向かったのかどころかどこに潜んでいるのかも全く分からないという状況……。」
エミリアは腕を組みじっと自分が書いた図を眺めながら、ほとほと弱りはてた様子だ。
「ちょっと鉛筆を貸してくれ……ううんと……ここと……ここに……大体こんな感じだったか……漢字という文字に慣れ親しんでいるがためか、文字の形状をある程度記憶する力には長けているつもりだ……。」
巧がエミリアの書いた図に、ほんの少しずつ思い出し思い出し、上下に振れたり伸びたりする文字とも乱れた線画ともつかない図形を少しずつ書き足していく……
「ううむ……ここは……いや……こうだったな……うわっ!」
巧が記憶を呼び覚ましながら魔族の文字を慎重に消しゴムで消しては描いていくと突然、テーブルの上のメモ用紙が燃えだした……驚いて跳ねのく巧。
「これは……魔王の呪い……父様……羊皮紙を……何も記述のない新品の羊皮紙の手配を大至急お願い致します!」
エミリアが突然叫んだ。
「い……一体どうしたといいうのじゃ?普通に植物や木の繊維から作る紙が普及した今現在……羊皮紙の生産などしておらん。だから……新品の羊皮紙など手に入るはずもないぞ……。」
だが父である公爵はエミリアの要求を拒絶する。
「でっですが……羊皮紙でないとだめなのです。いま……私たちは魔王をどこかの地に封印したときと同じ状況で……魔王に関して伝えるべく文書を書こうとすると紙だと燃えてしまうのです。つまり……羊皮紙を使って魔王に関する記述を行なえば……自動的に魔王の羊皮紙となって魔王の体を隠した場所の地図が浮かび上がるはずです。
なので……どうしても新品の羊皮紙が必要なのです。どうにかなりませんか?」
エミリアが魔王の羊皮紙を自分たちで作成するために羊皮紙は必須と主張する。
「なっ……なんという事じゃ……そうか……そうなのか?魔王を隠した地を知るために魔族たちは千年間もの間、魔王の羊皮紙を世界中回って探して居ったというのに……実はそれが後からでも作り直せたはずと……そういうのじゃな?
ふっふっふっ……どうにもこう……にわかには信じられんが、現に今目の前で魔王の体を隠した場所を記す地図を記憶を辿り再現しようとしていたらその紙が焼失した。つまり……魔王の呪いは当時と同じく現在にも存在する。
羊皮紙は先ほども言った通りに今ではもう生産されておらんし、恐らく今では羊皮紙生産技術は完全に廃れ、羊の皮を集めたとしても当時と同程度の羊皮紙は作れんじゃろう。だが……王室図書館もそうだが……古くから伝わる古文書の類の大半は羊皮紙で記されており、それをより薄く場所をとらずに保管できる紙に写し替える作業が行われておる。
歴史的価値のある書物は残すつもりだが……当時の会議の議事録など一般文書的なものは保管期限も取り決められておるから……期限が来たものは紙に移し替えて原本は不要となっておる。機密文書であるから表面を削り取って、廃棄後は内容が分からないようにしてあるはずじゃ。
羊皮紙は皮の厚さ分……表面を削り取ればもう一度文書を記録したり印刷したりすることも可能だそうで……それらは戦中予算がないから廃棄費用も出ずに……だから今でも残っておる。
すぐに持ってこさせるとしよう……後は羊皮紙に文字を書く……印刷機があればなおいいのじゃが、既に印刷機などは残っておらんから直接羊皮紙表面に書いていくことになるだろう。」
公爵は大きく頷くと席を立ち、すぐに部屋を出ていった。
「今……手配をしてきた……なんと……廃棄費用が出ないので図書館員が空き時間を使って自ら表面を削り取っていると言って居った。すでに半分以上は削り終えているようだが、専門家がいないので確認してもらうことも出来ずに保存しているらしい。
時期に削り終えた羊皮紙と羽ペンが届くはずじゃ。それで……もう一度白紙の羊皮紙に……エミリアの記憶を辿り地図を描き、そこへ巧殿が文字のような記号のようなものを書き足していくのか?そうすれば自動的に……魔王の羊皮紙に生まれ変わるという事なのか?」
ドアから出て行ってから幾許も経たずに公爵は戻って来て、今後の手筈を確認する。
「いえ……羊皮紙というのは羊の皮ですから……しかも表面を削り取れるほど厚みがあるとなると柔らかいのではないかと……しかも使ったことがない羽ペンでなどと……うまくあのような曲線が描けるのか自信がありません。
再現性が高くないと反応しないのではないかと……だから巧さんの文字が追加され……恐らく巧さんは読めはしなくてもほぼ正確に文字の形を書き当てたので……地図として認識されたのではないかと考えます。
私も何度か消しては描き直しましたが……羊皮紙でも鉛筆書きが可能であればいいのですが……。」
「そうなると……先ほどと同様のあのミミズがのたくったような形……やわらかな皮の上に再現するのはちと厳しいか……まあやってみなければわからないのだからまずは試してみるのが良いのだろうが、あれが文字だと仮定するとほんの少し形が変わるだけで読みも意味も全く異なるし、そもそも文字として読み取れず意味を持たなくなる可能性すらあり得る。
あらかじめ紙に書いておいてそれを見ながら……とかできないのが辛いな。正解を書き当てたと同時に燃えてしまうのではな……鉛筆で消しては描き直しをしなければほぼ無理だろうな……。」
エミリアの心配通りに……巧も自信がないと言い出した。
「そうなるとどうする?折角魔王の羊皮紙を再現できる方法に辿り着いたというのに……。」
「より現実的で可能性が高い方法としては……これまで幼い時から聞かされた……おとぎ話のような魔王のお話を手分けして書き記して……反応を見るのがよろしいかと考えます……。この方法だと文字ですから判読できるかどうかの評価は可能ですし、文書としても成り立っているかどうか書きながらしっかりと確認することが出来ます。
ケンリッヒ侯爵がいらっしゃれば、より詳細な内容で記述できるのでしょうけれども……魔王の羊皮紙となってから地図が浮かび上がり正式な地図として使えるまでには日数が必要でしょう。
まずは私たちだけでやれることはやっておきましょう。」
エミリアが今やれるべきことはすぐに始めようと皆に告げた。
「そうだな……俺も侯爵の話は何となくは覚えているから……記憶を辿って書いてみるよ。」
「わしも……父から聞いた話を書いてみるとするか……。」
「私も……そうしよう。」
皆……魔王に関する伝説に関する……記憶を辿り始めた。




