第二回四ケ国会議
12.第二回四ケ国会議
「それでしたら……まずは大量のモルタル及び川砂と鉄筋に材木の発注を願います。大陸内の恒久的な発展を願うのであれば第二案が最も適切であり、メンドー、スーバキ両国ともにボーキ海水位維持に貢献することでボーキ海からの恵みを受け取ることを恥じないで済むようになります。恐らく第二案に決まるのではないかと予想しております。
そうなれば流域変更工事は早急に行われるべきで……そうはいっても資材の調達や人足など……メンドー、スーバキ両国だけでは間に合わず、資材や人足待ちで工期が伸びる可能性が考えられます。
とりあえず養殖できなくなったサメ漁や缶詰工場に携わっていた方々は手が空いているでしょうが、それだけでは足りないでしょう。我が国からも資材だけではなく工事を施工する人足を供給するつもりでいなければならないと考えます。
資材も人足も足りていると仰っていただいた場合は……縮小したサメの魚卵缶詰の増産のために工場増設の必要性もありますし、恐らく工期は伸びるでしょうから更なるボーキ海水位低下が見込まれ、安全の為ボーキサイ国側の船舶接岸部の護岸工事や、コンクリートによる足場や階段敷設などの資材や人足に回せばいいので、決して無駄にはならないでしょう。
加えて……条件として付けくわえた井戸掘りとため池づくりの派遣用技術者……こちらも手配しておいたほうがよろしいかと……なにせメンドー、スーバキ両国のしかも広範囲にわたる施工ですからそれなりの人員が必要です。」
エミリアが大量の資材発注と人足確保を提案する。
「成程……準備しておけばメンドー、スーバキ両国ですぐ工事にかかることが出来るな……分かった大至急手配して、人足はボーキ海の港近くに集めるようにしよう。どれくらい必要じゃ?」
「そうですねえ……モルタルは……川砂は……鉄筋及び材木は……そうして人足は数万人規模……ですが一度に運べる人数の制限もありますし……とりあえずサメ漁の漁船が今は産卵時期ではないので休んでいますからそれを使うとして……それでもまずは一万人程度でよろしいかと……。
井戸やため池の技術者は……こちらは短期間で全国展開する必要性がありますから千人ほどは必要かと……。」
「分かった……国内産業は疲弊し失業者があふれかえっている状況じゃ……人足は募集すればすぐに集まるだろう。
資材も増産をかければその分働き口が増えるから……国内産業振興にも役立つはずだ。早速手配する。
そんなところかな?もう準備しておくことは……他にはないかな?」
公爵がぐるっと参加者面々の顔を順に見まわしていく……
「他にやることではないのですが……メンドー、スーバキへ派遣する人足らには……流域変更工事が終わってからでも両国内に残れる人間を集ったほうがいいのではないでしょうかね……ほらっ……サメ漁や加工を行なったり缶詰に詰めたりする工場で……割増料金を払ってまでして人を雇ったりしていると言っていたでしょう?
人手が足りていないのなら当面の間……出稼ぎという形になりますが両国で働いて外貨を稼ぐことが出来れば……その分ボーキサイ国の復興も早くなるのではないかと……そう考えます。」
巧がおもむろに口を開いた……
「成程……確かに私が稚魚漁の制限を提案したときに、減産を喜んでいた節がありましたわね……」
エミリアも巧の提案に頷く
「おおそうか……そうであればできるだけ独身で……あるいは家族帯同ででもメンドー、スーバキ両国へ出向いて働ける者という条件を付けて募集するほうが良いというわけだな?疲弊している我が国に戻るよりは……食料供給も安定しているだろうし、環境的には文句はでないはずだ。ようし……その線で行ってみよう。」
公爵が笑顔で了承した。
「その上で……出来るだけ安価で……メンドー、スーバキ両国に居残って出稼ぎをする分は正当な対価を頂くとして……今回提案した工事は本来ボーキサイ国側からメンドー、スーバキ両国へお願いして……お金を払ってでも行って頂きたい工事なのですから……供給する資材も原価で……人足の方々も格安で提供する必要性があると考えます。」
エミリアが、河川の流域変更工事に関する対価は期待できないと付け加えた。
「成程のう……じゃが……働いている期間は当たり前だが宿と食事は提供されるであろうし、さすがに無償ということはあり得んだろう……飢えて死ぬよりはましと……応募してくる者もおるはずじゃ。
どのみち人足は不要と断られた場合はボーキサイ国内の港湾工事となるわけだが……その際は宿と食事の提供以外は雀の涙ほどの……一日当たり銅貨数枚程度の……刑務所と変わらない賃金しか払えんからのう……最初からその程度の賃金と謳って募集すれば……後で文句を言うやつはおらんであろう。それでも集まってくることを期待しよう。」
公爵も安価で提供することを納得した様子だ。
「では他にやっておくことや注意点などはないかな?なければ……工事資材の発注と人足提供のための募集など……急ぎ進めることとして……とりあえず次の会議開催までエミリアと巧殿は放免ということだな。
これまでありがとう……そうしてまた来月……よろしくお願いする。ではまた……。」
「少々お待ち願います……恐らく二回目の会合でほぼ間違いなくボーキ海水位回復のための対応方針は決定すると考えております。どちらの案に決まるとしても春先の今の時期から着手しなければ、早急な水位回復は望めません。
そうして恐らく第二案が有力でしょう。この対策の方が各国負担が平均化され、のちの憂いを断ち切ることも出来るからです。おそらく次回会議は流域変更工事のための資材調達と人足確保が主な議題となることは明白で……今回提案したように事前準備さえしておけば、もう私と巧さんは不要と考えます。次回会議には出席しなくてもよろしいですよね?」
エミリアが突然、次回の交渉会議には出席しないと言い出した。
「いや……待ってくれ……確かにエミリアの言うとおりに会議は進むであろうとわしも考えておる。そうして事前準備の必要性も理解したし勿論手配を整え会議に臨む所存だ。だが……あくまでも予想は予想で……相手がある事じゃからな……全く別の提案をされて困ることもあり得なくはないのだ。
だから念のために……会議に出席してもらえんか?勿論巧殿も……お願いします……。
それに……二人ともに宴での各国からのご来賓受けがすこぶる宜しかったので……会議はどうしても無理であれば宴だけでも出席……」
『ダンスが嫌なのですっ!』
エミリアの父シュタインベック公爵の要望に、エミリアと巧が声を揃えて真っ向から拒否……
「いっ……いや……その……魔物が高速で突っ込んでくるのを躱したり、魔族の剣技をぎりぎりでステップして躱したりすることは日常よくあることなのだが……その……ダンスの様に相手に合わせてステップを……言われるがままに足元に注視していると姿勢が悪いっ、目線は相手と合わせる!などと怒られ……どうにもその……苦手なのです。
相手の足を引っかけてしまいそうで……ましてや足を踏みつけてしまったら大変なことになるなとびくびくで……ダンスに興じるだなんてどうして可能なのかと……俺にはどうしても理解不能です。
ダンスをしなくてもよいのであれば……会議出席は構いませんが……。」
巧がうつむきながらしんみりと説明する。
「わっ……私も同じですっ!」
エミリアも同様俯き気味に恥ずかしそうに答えた。
「ふうむ……分かった……それでは二人とも宴の参加は免除するとして……会議だけでも参加をお願いする。よろしいかな?」『はいっ!』
ボーキ海水位低下に関する対応チームは一旦解散となった。
「とりあえず来月まで……三週間ほど空きましたけど……巧さんはどうします?」
「うん?どこかへ遠出してその土地の冒険者組合を覗いて、魔物討伐依頼でもあれば受けたいところだが……たったの三週間で戻ってこなければならないとなると……西へ向かうとしてもせいぜいアーミン程度までが限界だろう?魔族がらみの巣窟を掃討して……半年程度しか経過していないからな……大きな魔物の巣窟は期待できそうもない。
王都内はほぼほぼやりつくしたし……まだ行っていない東へ向かうにしても南へ向かうとしても……どうせなら長期間かけて回りたいからな……まあ……じたばたせずに……ゼーンの修行でもするさ……馬車や船など移動しながらでも時間は取れたが……やはり地に足を付けてというか……静かな道場で精神集中するのが一番だ。」
王宮内の大臣執務室から戻る際、エミリアの問いかけに巧は修行に励むと回答。
「そうですか……では私もゼーンの修行に励むと致します。」
エミリアも大きく頷いた。
それから何事もなく……瞬く間に三週間は経過し、四ケ国によるボーキ海水位低下問題解決のための対策会議が開かれた。今回もターメリア国からは国王及び外務大臣が出席し、メンドー、スーバキ両国からも国王及び外務大臣及び副大臣が出席……おかげで王宮の謁見室では収まらず、一階大ホールに玉台と玉座を四席設け開催となった。
四ケ国の国王が一堂に会することは、長い大陸の歴史においても恐らく初めてのことと、皆囁きあっていた。
「えーそれでは各国代表者の紹介も滞りなく終わりましたので……議題に移りたいと考えます。
ボーキ海水位回復のための対応策としまして、先日の第一回会合で我が国から提案させて頂きました二案をお持ち帰りになったメンドー、スーバキ両国の検討結果をご報告願います。勿論……よりよい代案が御座いましたら、代案の提案でも構いません。よろしくお願いいたします。」
開催国外務大臣であるシュトラセン子爵が、検討結果の報告を求めた。
「では代表いたしまして、私が……。」
おもむろに口を開いたのはメンドー国外務副大臣のトゥワルブだった。前回同様銀髪の長い縦カールの付け髪をしていてビロード地の上着を着用している。
「ボーキサイ国からご提案頂いた二案を持ち帰り精査し、慎重に検討を重ね結論として第二案を採用したいと考えております。ボーキサイ国側から井戸掘り及びため池構築のための技術者においで頂き……農閑期の今の時期であれば農民らの協力を仰ぎ短期間で構築する目途は立っております。
但し……我が国及びスーバキ国二ケ国だけで河川の流域変更工事を行うのは、資材面からも人手の面からも困難な状況です。勿論今現在、ボーキ海の水位低下によりサメの養殖は行えず稚魚漁も中断し、養殖関係者及びサメの加工工場及び缶詰工場は休業状態で人は余っておりますが……工場に至ってはほぼ八割は女性であり人足として無理があります。
さらに流域変更を行うような大規模工事に必要なモルタル及び川砂に鉄筋、材木すら……短期に国内で賄うには困難な状況です。どうか……資材面及び人足面でご協力を仰ぎたいと考えておりますが……如何でしょうか?」
メンドー国代表者トゥワルブが回答書を読み上げた。その内容はエミリアの想定通りだった。
「えー……資材及び人足の要請は当方でも予想でき……モルタル……川砂……鉄筋及び材木……これらは既にボーキ海の港に集荷済みとなっております。足りない分は今も製造中でして……順次お届けいたします。最終目標の数量は……。」
子爵が既に集荷済みの資材量と、今後の発注計画を読み上げた。
「さらに人足としてメンドー、スーバキ両国に長期滞在も可能な人材を一万人……こちらも不要とあらば水位低下が長引くことが予想されたため、港湾工事に充てるつもりで港に集めております。
勿論井戸掘りとため池構築のための技術者も千人募集し、今の時点でおよそ五百名が集まっており、サメ漁がおこなわれない今の時期であれば漁船を利用し、資材も人もすぐに両国へお届け可能となっております。」
さらに子爵は人手に関しても準備済みであると告げた。
「あっ……ありがとうございます……でっでしたらすぐ……こちら側ではボーキサイ国からご提出頂いた河川図と青写真をもとに詳細展開し、すぐにでも施工に取り掛かれる状態であります。早急に本国に連絡を取るとして、明日にでも出航頂ければそれだけ早く水位回復が望め……宜しいですよね?国王様?」
トゥワルブが玉座へ目を向ける。
「勿論じゃ……本当にボーキサイ国の知恵袋は大したものじゃな……評判は伺っておったが、まさかここまでとは……実に素晴らしい……ターメリア王が御執心なわけだ……。」
メンドー国王が笑顔で頷いた。
「うぉっほん……わしが最初に目を付けたのじゃからな……とはいえ他国の……しかも公爵令嬢では我が国へ誘って参謀として知恵を拝借するわけにもいかん……それでも若く素晴らしい才能を見るのはうれしくなる……。」
ターメリア王は至極ご満悦の様子。
「その上で……大変申し訳ないのですが……ボーキサイ国からご協力いただく人足の総数は恐らく五から六万人規模でして……さらに資材分も考慮いたしますとさすがに国庫に余裕はなく……破産覚悟で工事するわけにはいかずに……その……大変心苦しいのですが出向頂く人足の方達の給金に関しまして、国内水準の半額の日当銅貨五十枚となります。
その補填といたしまして宿と朝晩の食事の提供は勿論……古着ではありますが洗濯をして破れやほころびなどがない事を選別した衣料の無償提供を、お約束いたします。この条件でもよろしいでしょうか?」
トゥワルブが申し訳なさそうにカツラの後頭部を掻き掻き読み上げた。
「そっ……うぉっほん……そのようなご要求も予想され……人足は五万人を目標に募集しておりますし、彼らには食べるには十分だから手当には文句を言うなと……かような条件で募集しており、モルタルや川砂、鉄筋及び材木などは製造原価でご提供させて頂く所存です。」
トゥワルブの発言に対しちょっと言いにくそうに子爵が答えると……ホール内にはどよめきが走る。
「おいっ……。」
「はっ……わっ我がターメリア国といたしましても……人足派遣は無理ですが、モルタルに川砂、鉄筋及び木材に関しましては、国王様のご指示により既に準備済みでして原価にてご提供する用意が御座います。資材に関しましては既に港へ集荷済みでして……外海経由でメンドー、スーバキ両国へお届けいたします。」
ターメリア王に急かされ、外務大臣が割って入って来た。この発言にも会場内から大きなどよめきが起こった。
「さらに……先ほどもチラリと申し上げましたが……両国へ派遣する人足には長期滞在可能な条件で人を募っておりまして……ボーキ海への河川流域変更工事が完了した後も、もし許されるのであれば両国内へ留まりサメの加工工場や缶詰工場で働かせて頂ければありがたいのです……その……両国が人手不足ではないかと懸念しておりまして……。
こちらといたしましても外貨獲得の機会として大変ありがたく……勿論その際は極力正規に近い賃金を頂きたいと願いますが……如何でしょうか?」
さらに子爵が工期満了後も働かせて頂きたいと願う。
「もっ勿論です……わが国もスーバキ国もサメの養殖事業が行われるようになってからは慢性的な人不足となっておりまして……人手獲得のために工賃が吊り上がり人件費が莫大なものとなり、工場経営を圧迫しているのです。
格安で外国から労働者を雇い入れると正規従業員らの反発を食らいストライキなど起こされかねませんから、工場勤務に際しましては正規賃金をお約束いたします。それでも割増し賃金で募集をかけないで済みますからありがたいのです。
さらに……ボーキサイ国からご提示いただいた河川以外も……分岐させ支流に分けて流域変更を行う河川の流れなくなった本流へつなぐ工事を追加で行う予定なのです。それにより流量は減りますが、流域変更を行う区域への負担を軽減と申しますか……負担を全国で平均化するつもりなのです。そちらの工事に従事して頂くことも可能でしょうか?」
「勿論です。」
トゥワルブの問いかけに子爵は即答した。
「ありがとうございます……本当に何から何までお見通しで……まさに天からの啓示……感謝いたします。」
トゥワルブは深く頭を下げ陳謝した。
「最後に付け足しではございますが……サメの稚魚を捕獲しての養殖に関してですが、サメの魚卵から生まれた稚魚が成魚になる確率は実のところ五分もなく、それまでの成長過程で他の魚介類の餌となってしまうというのは本当の事でしょう。
稚魚が成長した幼魚であっても、成魚にまでなれるのは恐らくそのうちの二割ほどではないかと……。
ところがその稚魚の半分近くを捕獲して養殖を始めてしまうと……残された稚魚が成魚になれる確率は半分ではなく……稚魚の数が減ると捕食側も減りますから……元の三分から四分は成魚になれるかもしれません。
それでもそれが何年も続いていくと段々と成魚の総量が減少して参ります。成魚が減ることによって稚魚漁の範囲がボーキサイ国側へ近づいていったことが、長く続いた戦争の発端となったわけです。
稚魚を捕獲する量を減らして頂くようお願い致しましたが、養殖で成長した幼魚の五分から一割でいいのでボーキ海へ放流して頂くことにより……サメの成魚の総量が維持されるだけではなく、養殖開始前の元の状態にまで戻すことすら可能ではないかと推察しております。
幼魚のうちから放流するのであれば、養殖用の餌による魚卵への影響もほぼ考えずに済むのではないかと……。
勿論実際の生息数を常に観察しながら放流する量を調整していかなければならないでしょうが、貴重な資源の枯渇を防止するためにも一度ご検討願います。
昨年夏にボーキサイ海水位低下により稚魚と幼魚の放流があり、恐らく現在の稚魚と幼魚に関しては元の水準に達している可能性は高いと考えておりますが、稚魚が成魚になる迄自然界では五、六年ほどかかるようですから、少なくともあと五年間は幼魚放流が望ましく、以降は成魚の生育数を常に監視しながら稚魚漁の漁獲量と幼魚放流量を調整していくのが良いのではないかと考えております。
そうしていずれは魚卵を受精させ孵化させて養殖する……完全養殖を目指して頂けるとありがたいです。」
最後にエミリアが再開後のサメの養殖に関して、資源を枯渇させないための手段を提案した。
「たたっ……大変貴重なご提案、有難う御座います。養殖用の餌に関しましては魚卵への影響が懸念されるため、昆布やワカメなどの海藻を主体とし、更にマメ類等穀物を加えることにより栄養価も高く植物由来のものに改良する研究を進めているところですが……資源確保の面から早速わが国の学者たちと協議いたしまして……最適方法を検討させて頂きます。
もっ……勿論完全養殖も見据えながら……研究に勤めたいと……王様っ……よろしいですよね?」
「勿論だ……。」
トゥワルプが振り返るとメンドー国王はゆっくりと頷いた。
「ターメリアでは……先日の会議でご教授頂いたことを念頭に、冒険者組合を通じて個人への多額の振り込みがないか国内の冒険者組合全てに協力いただき調査し、怪しげな振り込みを確認する度に都度双方の行動に関して詳細な調査を行って参りました。
送金者周辺の魔物討伐及び護衛など冒険者業務実態のない振り込みを繰り返し行っていた役人及び豪商の店主を焙りだし出頭を命じ、夢のお告げなどにつき従って不要な振り込みを繰り返していないか問いただしたところ、両名共に夢のお告げに従って行動することにより役人としての地位が向上したり、商いが繁盛するようになったりしたため、今は夢のお告げの通りに行動するようになり、振り込みもお告げに従い行ったと自白し、知らぬうちに魔族の眷属であったことが明らかとなりました。
本人たちも眷属であったことを教えられ大変反省し、悪質な汚職に手を染め不当な利益を得ていたこともなかったようで、今後は一切夢のお告げには従わないと誓ったことと、振り込みを始めて間もなく小口の送金が多く合計でも夫々金貨数枚程度でありましたので王様の許可を頂き、今回は通常の眷属の処罰を適用せずに不問に付すことといたしました。
送金した金も口座に残っていた分は回収いたしましたが、受け取り側の冒険者は全国指名手配で捜索しておりますが現時点で捕まっておりません。
勿論念のために当面の間、両名の行動は両名には知らせずに監視を続けてまいります。やはりかように……魔族の眷属はいつの間にか至る所に存在しているということが明らかとなり、甚だ恐ろしい現実に直面し、肝を冷やしたもので御座います。ご参考までに……報告させて頂きます。」
最後に……ターメリア国外務大臣が前回会議で巧が説明した、夢で操られる眷属を探し当てたと報告。これにはホール内がもう一度ざわついた。




