かつての集落
20.かつての集落
「ちなみに……ちなみに……だ……競り市で購入した俺の炎系魔道具はどうなる?」
男爵が自身の袋の中から魔道具を取り出してテーブルに置いた。
「はい……こうすれば……」『おおっ!』
円筒をかざすと十二桁の数字が魔道具のやや上……中空に浮かんで表示された。
「管理番号が分かれば担当した競り市会場や時期が分かるのですが……残念です。」
支配人が申し訳なさそうに顔をゆがめた。
「成程……俺の魔道具は少なくとも最近二十年間は、競り市に掛けられたものではないという事ですね?それが分かっただけでも収穫と言えます。ありがとうございました。」
巧は席から立ち上がり深く頭を下げ、それから魔道具を片付け始めた。
「巧さんの魔道具は、巧さんのお師匠様か親御さんから譲り受けたのかもしれませんね。とりあえず、エールの魔道具競り市は無関係と分かっただけでも収穫ですよ。他を当たることに致しましょう。」
エミリアが明るい口調で巧を励ました。
「手間をかけたね……。」
男爵も席を立ち頭を下げる。
「いえいえそんな……男爵にはいろいろと……ハリキルの国中がお世話になっているようなものですから……何かお力になれるようなことがあれば、尽力いたしますよ。いつでもお申し付けください。」
支配人が笑顔で答えた。
「じゃあ次は……セーターを購入しに洋品店へ向かうとするか……。」
カジノを出てからすぐに市中の大きな洋品店へ向かい、エミリアは父への土産のほかに自分用に洋服数着と靴を二足購入した。サイズも分かっていた父のセーターは一目で決まったが自分の分は……選ぶのと試着に時間がかかり、おかげで宿に入った時は既に夕刻を過ぎていた。
帰路は極めて順調だった。ハリキル国内は馬車を使い、夜は指定された宿に宿泊。何事も起こらずに国境を越え、国境の町エラルドで男爵たちとは別れ、男爵たちは北方山脈を西に向かい、巧たちは一路王都を目指した。
もうすぐ年越しという寒い季節にも関わらず勿論巧の意向で野宿であり、既に平野部に達しているためボーキサイ国の初冬は厳寒というほどの寒さではなく、巧は当たり前としてエミリアも不思議と不満は感じなかった。
この世の終わりともいえる魔王復活の糸口となる羊皮紙を……特に彼女の母親が命懸けで魔族らから守り切った宝ともいえる羊皮紙を、無事に本来の保管場所であるエールの聖教会へ届けるという大仕事を成し遂げた満足感が強いのだろう。エミリアは一抹の不満も感じないでいた。
「申し訳ないが……ちょっと寄りたいところがある。エミリアとハルクたちは急ぐのであればここで別れよう。王様から請け負った仕事はとりあえず完遂したので……ここからは自由行動という事でもいいだろ?頑張れば年越しを王都で過ごせるかもしれないし、勿論……王様への報告には俺も後で伺うから……。」
エミリアの要望でサントスの宿に一泊した後、早朝の出発時におもむろに巧が切り出した。
「どうされたのです?私がついていっても構わない場所であれば……今更ですからお供いたしますよ。」
まさかとは思うが……いかがわしい場所であれば一緒には行けない……と思いつつも……巧がそんな場所へ行くはずもないとエミリアは考え、問題なければご一緒すると告げる。
「私たちも……それほど大幅な寄り道でさえなければ……ご同行させてください。私たちだけ先に王都へ到着しても……さすがに王様へのご報告には迎えませんからね。」
ハルクも一緒で構わないと告げた。
「ああ……特に隠すつもりもなかったが……俺が記憶を失って発見されたときに……その時に世話になった村へ寄って行こうと思っている。丁度この先の街道の分岐を東へ行ったところにある。王都からさほど遠い訳でもないのに……特に素顔を晒したまま王都で活動していて命を狙われてからは、村に迷惑を掛けてはいけないと思い足が遠のいていた。
だがまあ……王都とは反対方向から向かうわけだし、それに……帰路はもう王都は目と鼻の先というのに魔物や魔族の襲撃も全くない。どうせ羊皮紙は既に保管先へ預けてしまっているし……今更襲われる理由もないはずだ。
だからぜひともこの機会に立ち寄って、改めて礼を言いたいと思っている。」
記憶を失って倒れていた巧を介抱してくれた村に、礼を言いに行きたいと巧が言い出した。高値で売れる冒険者の袋や散らばっていた多くの魔道具もそのままで……何より特注の甲冑や剣ですら、記憶を失っているにもかかわらず巧のものだと渡してくれたという本当に暖かく親切な村だ。
「ああ……それはいいですね。村の方たちも喜ばれるのではないでしょうか……ですが巧さん……そういう事でしたなら先に仰っていてくだされば……エールの町で何か土産になるようなもの……選ぶのを協力いたしましたのに。
まさか手ぶらで伺おうとは思っていないでしょうね?いくら暖かで親切な人たちでも……そりゃあまあ表面上は嫌な顔はしないでしょうが……手ぶらはいいけませんよ……手ぶらは……。
そうですねえ……私がエールの市場でアルミナのご近所さんたちに配ろうと思い購入した……砂糖菓子がありますから……それを少し分けて差し上げますよ。ねっ?」
エミリアが人付き合いが苦手で無作法な巧のことだから、土産物など購入していないだろうと半ば決めつけて、自分の冒険者の袋の口を開けて中を探り始める。
「ああ……それならば問題ない。まあ……男爵に助言されたのだが……エミリアがエールの洋品店で買い物をしていた時に……帰りにちょっと昔世話になった村へ寄ると話したら……あまりに待っている時間が長くて話題がなくなって仕方なくな……小さな村でも子供はいるだろうから、子供服でも買って行ってやれば喜ばれるだろうと言われた。
大人になると趣味や趣向で着たい服が分かれ人のを選ぶのは難しいが、子供服なら大丈夫だろうとね。そうしてエミリアが何着も何着も試着をしている隙に、パステルに手ごろな子供服を男女と大きさも変えて十数着ほど選んでもらった。
それと、エミリアが市場で砂糖菓子を試食しながら延々と悩んでいた時に、男爵とパステルに無難そうな砂糖菓子の折り詰めをいくつか選んでもらい、チョコ?……チョッコレットなる高級菓子……これはハリキルでないとなかなか手に入らないが大変おいしいと勧められ、それも村の戸数分購入した。だから……土産物は揃っているから安心してくれ。」
巧は多少嫌味も交えながら、軽く冒険者の袋を叩いて見せた。
「なんか……少々苦情を申し立てられているような気も致しますが……でも私のおかげで……揃えられたってことですよね?まあいいでしょう……そういうことにしておきますよ。」
エミリアは頬を膨らませ少し不機嫌そうな様子も見せたが、すぐに笑顔に戻った。
「はあ……ここですか……確かに以前聞いた通りに……城壁も何もない……いえ……木で作った柵がありますが……大人の腰くらいの高さしかありませんね……しかも支えの木の棒の間隔……これだったら狐やタヌキなら楽々通り抜けてしまいませんか?柵として役に立っていますかね?」
巧に案内されて向かった村は、サントスを出て夕刻まで歩いた先の分岐を東へ折れ、そこから半刻ほど歩いた先だった。
冬の日暮れは早く日没後の訪問は躊躇われたので、とりあえず村の外に野宿し、翌朝一番に村へ寄ることとした。ハルクたちも近くに宿がないため、街道まで戻るのも躊躇われ仕方なく馬車の客車で夜を明かすこととなった。
一緒に焚火を囲み、エミリアと巧が持っている携帯食をハルクたちも御者も食べることになった。
「いいい……いっ以前この村で……命を救われた巧です。そそそ村長殿……覚えておいででしょうか?」
平屋の小さな家ばかりの村の中で、茅葺屋根のひときわ大きな家へ迷わず歩いていき、巧が玄関先から声をかける。どうやら村長の家のようだ。
「んあ?………………ああ……おめさんか……久しぶりだのう。」
少し間があったが、玄関扉が開きしわしわの顔で禿げ頭のしわがれた老人が出てきた。巧が慌てて兜を脱いで脇に抱えると、顔を見て少し頬を緩めた。
作務衣のような厚い布地の服を着ているが足は裸足で、しかも作務衣には所々継ぎ当てが施されているし、袖口などはけば立っていて、相当長い間着古しているものとみえた。
「その……しっ仕送りしているはずですが……届いていませんかね?」
「うん?あんなもん……いらんと言ったはずじゃがのう……余計なもんを送ってくるから……!」
老人村長は眉を寄せ、途端に不機嫌そうな顔つきに変わった。
「まあまあその……こんな玄関先で立ち話もなんですから……ここは……その……道端で倒れていた巧さんを運び入れて、看病して命を救って頂いた村なんですよね?」
巧と村長の会話がかみ合わないことを悟ったのか、ハルクが出て来て満面の笑顔で村長に話しかける。
「ああ……そうか……じゃあ上がっていきんさい。何年ぶりだあ!?五年か……そんくれえだろ?
村ん衆も懐かしがるだろうから……おーいっ!ちょっと村ん衆に集まれって言ってやってくれ!」
村長が家の中へ向かって叫ぶと……
「はーい……あら……お客様ですか?」
すぐに中年女性が出てきた。
「ああ……ほらっ……何年か前に行き倒れて看病した……」
「あっ……ああ……冒険者の方……でしょうか?」
「ああ……なんか用があるみてえで……訪ねていらっしゃった。ちょっと……村ん衆ば呼んできてくれ。」
「はい、わかりました。」
村長に言われ中年女性が小走りで村の中へ向かっていった。
「じゃあ……こっちへ……」
開けた木戸の向こうは土間で、壁際には水おけや竈が見え、障子戸で仕切られた母屋への上り口の縁台前の水おけで足の汚れを落とし、腰から下げた手拭いで拭いて中へ入っていく。障子戸の向こうは真ん中に囲炉裏がある、二十畳ほどの広さの居室……恐らく食堂と居間を兼ねた部屋であろう。まだ奥と左右には障子戸があるので、他にも部屋は続いていそうだ。
「こんお人を助けたときは……生き倒れがおるぞって村ん衆が駆け込んできたんで、すぐに運んでこんかって言って家さ上げさせたんだ。意識がなかったからとりあえず布団さ敷いて寝かせて……だけんど村にゃあ医者なんざおらんから……とりあえず部屋ばあったかくして……甲冑は……脱がし方わかんねえからそのまんまさ。
甲冑の背中さ割れていて血が出てたからぼろ布さ突っ込んで、仰向けに寝かりゃ血止めにもなるだろうって……そのまま寝かせて置いた。
そしたらそこから三日三晩……死んじまったか思っていたらようやく四日目に少し動いて……五日目になって気が付いたようで起き上がって自分で甲冑も兜も脱いだ。そしたら身体ば拭いてやって……ようやく傷口さ包帯ば巻いてやれた。
それからさらに一週間は……ずっと寝とったかなあ……気づいて起き上がった時には血はもう止まっていた……飯さ食わせてやったら元気になった。だけんど……前のこと何にも覚えてなくて……どこの誰かも分かんねえって……。
そんでも甲冑さ着て剣ば持って……軍隊でねえんなら冒険者だろうって……なんか特殊な装備さ仰山持っていたからな……そんでも……なんぞ礼ばしたいって魔物さ追い詰めて退治ばしてくれたな……そんでも役人に怒られて……王都さ行って冒険者組合ってぇとこさ行けば、身元さ分かるかもしんねえって教えてもらっただ。
そしたらお世話になりましたって礼ば言って……王都へ向かった。」
囲炉裏の奥側にドンっと胡坐をかいて座った村長は、巧の看病をした当時のことを話してくれた。
「いっ……いや……ただ寝かされていたわけではない。甲冑を脱いでからの一週間……ほぼ意識はなかったが、それでも時折覚醒しかけたときに唇に冷たい刺激があった。あれは恐らく布にきれいな水を湿らせて口に含ませてくれていたはず。
時折甘い匂いもしたから……恐らく果実や野菜などの搾り汁も意識がない中で少しずつ与えてくれていたはず。意識を取り戻してからは重湯から始まり、段々と粥の濃さが変わっていった……本当に適切な処置のおかげで助かったといえる。
決してただ寝かせただけで放置されていたわけではなかった。」
巧がただ寝かせていただけではなく、手厚い看護を受けていたのだと説明。
「ああ……あれは……村にゃあ医者などいねえからなあ……できることはそんただぐれえしか……。」
「そうでしたか……それは大変でしたね。でっ……巧さん……その時のお礼にと……今回立ち寄ったハリキル国土産があるのですよね?」
間が明いたので、口下手の巧に代わってハルクが切り出す。
「あっああ……そうだった。これは村の子供たちに……これは菓子で日持ちするものだから、皆で食べてください。」
そう言って巧は冒険者の袋から次々と、子供服に菓子折りに板チョコを取り出して囲炉裏前の板の間に並べた。
「は……あ……なんも恩に着る必要さねえって……言ったはずだべ?別になんか欲しくて看病したわけじゃあねえかんな。それに……こんな上等なもん……村の子供にゃあ着せらんねえ。ありがたいけど……持って帰ってくれ!」
並べられた品々を一瞥後、村長は持って帰れと言い出した。
「いや……その……せっかく巧さんが土産として買ってきたものですから……お受け取りいただけないものかと……。」
突然の態度の豹変に、ハルクもどう対応していいのか戸惑い気味だ。
「絹で出来た綺麗で上等な服……確かにありがてえが……こんなもん着てその辺歩いていたなら……この村は銭さ持ってるって噂んなって、野党らが襲ってくっかも知んねえ。村にゃあ自警団どころかまともな柵すらねえんだ。平和に暮らすにゃあ、こんなもん着せらんねえ。小金さ溜めて襲われて……焼かれた村さいっぱい知っているだ。
そうだ……差出人さ書かずに銭さ送ってよこすのも……おめさんだろ?あれは止めてくれ!村ん衆にゃあ教えずに、こっそり裏庭さあ埋めて隠してあるから、あれも持って帰ってくれ。贅沢し始めたらすぐ噂んなって、野党に襲われるだ。
好きで貧乏さしてる訳じゃあねえけど……貧乏だからこそ危ない目にも会わずに平和に暮らしていけんだ。どうか……わしらの生活さ……壊さんでくれ!」
村長は少しもうれしそうな顔を見せず、どちらかというと迷惑そうに答えた。
「おお……なんか……わしらんこつ訪ねてきた奴がおるらしいな……。」
ちょうどその時……村人だろうか、中年や若い男女が村長宅へ入って来た。先ほど呼びに行ったものたちだろう。
「おおっ……ハルか……おめさ拾ってきた若者……すっかり元気さなってどこぞの帰りに土産さ買うて寄ったらしいけんど……こげな上等なものさ子供に着せたら金持ちの村だ噂んなって野党に襲われっから持って帰ってくれって話してたとこだ。覚えてっだろ?」
「おっ?おお……ああ……あん時の……うちの田んぼの畔さ引っかかって倒れとったあんちゃんか……すっかり元気さなっただな……良かった。そんで……仲間さ引き連れて凱旋っちゅう訳か?土産ばたんと持って……確かにありがてえけっど……こげな村にゃあ……高級すぎっかなあ……もちっとその……地味目な方がよかったかな……。」
「なに言っとる……かわいいじゃねえか……これなんか……うちの子に似合いそう……これなんかお宅の子にいいんじゃねえか?これは……そうだなあ……あんたっ……あんたんとこの子にぴったりだ。もらっていいのかい?」
ハルと呼ばれた若い男が囲炉裏前に並べた子供服を眺めながら批評し始めたが、すぐ横の中年女性が前に出て、子供服を手にとっては後ろの中年女性や中年男性に勧め始めた。
「勿論です。ぜひ……貰ってあげてください。」
ハルクが巧に代わって答える。
「確かにこの村の中で普段着るにはちょっと……汚れが気になったりしますけど、でも大きな街へ……ここからだとサントスへお子さんたちとお買い物に出かける時など、着せてあげれば喜ばれると思いますよ。それにいい仕立てだから長く着られるので、成長して大きさが合わなくなったら次の子へ引き継いでいくことも出来ますよ。」
さらにエミリアが付け足した。
「成程……じゃあうちの子ように……」「うちの子にはこれかなあ……。」「これなんかよさそう……」
すぐに囲炉裏前に人だかりができて、子供服を手に取って品定めを始めた。
「あとっ!砂糖菓子の折を持ってきておりますから、包みを解いて中身を各ご家庭の人数分分配してください。それと……チョッコレットという高級菓子が御座います。各家庭分買ってあるそうなので一家に一枚ずつ……お持ち帰りください!」
さらにハルクが菓子も持って帰るよう、巧に代わって告げる。
「おお……そうか」「どれどれ?」「これか……」「へえ……」「これが……」「へえ……いい匂い……」
「悪かっただな……せっかくの好意を無にするような事ば言っちまって……ジジイはな……保守的でいけねえ。」
子供服も菓子もあらかた分配し終え皆それぞれ帰宅した後、村長が申し訳なさそうにぽつりと発した。
「いえいえ……とんでも御座いません。村のことを第一に思っていらっしゃるお気持ち……伝わって参りましたよ。ですが……皆さんに喜んでいただけて良かった……ねえっ巧殿?」
「ああ……本当に……出しゃばった真似をしてすみませんでした。ですが最終的には皆さんに喜んでいただき、感謝の気持ちを伝えることが出来たと……本当にうれしかったです。ご面倒をおかけしました。」
ハルクが応対し、巧が正座に足を組みなおして深く頭を下げた。
「とんでもねえっ……わしらにとっちゃあ、当然の事ばしただけさ。恩に着る必要はねえさ。それに……銭さ持ってたら盗賊に襲われるっちゅうのは嘘だけっど……村ん衆にゃあ内緒な……それでも銭さあると碌な事さ起こらねえ。
村んおなご……どうしても髪結いさ成りてえっちゅうから……そん時だけ送ってもらった銭さ少し握らせて……王都の学校さ送りだしてやっただ。そしたら最初の一年間は文が届いて二年目からは仕送りまで……ありがたやありがたやって思ってたら……三年目にはぴたりと音信不通……こっちから文さ送っても宛先不明で送り返されちまう。
若い娘っ子に銭握らせて都会さ送りだしたもんだから……男さ騙されて食いもんにされちまったんだろって……自殺でもしてなきゃいいなって馬鹿が口滑らしちまったもんだから……女房は泣き喚くわ旦那は不貞腐れるわで……一人娘だったから余計に……なだめすかして普通の生活させるまで……えらい目に遭っただ。
銭がなきゃあ……都会なんざ行かせられなかったはずで……食うに困らん生活さえできりゃあ……余計な銭なんていらんのじゃ。だから……土産は有り難く頂いたが……銭は頼むから持って帰ってくれ……今後も送らんでくれ……。」
村長がうつむき気味に打ち明けた。
「成程……そうだったんですね。因みにその……娘さんのお名前と……最初に住んでいた住所などお判りでしょうか?」
なぜかハルクが熱心に行方不明となった娘の住所など聞きだしていたが、昼前には村を出て街道まで戻り一路王都を目指した。
続く。




