↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/36

王宮へ

14.王宮へ

「呼び出し?王宮から呼び出されていると言ったか?」

「はあ……そうですけれど?」

 聞き間違いかとも思い問いかける巧に対し、間違っていないと受付嬢は怪訝そうに首をかしげる。


「ふうむ……俺たちは冒険者で……確かに今は河川敷の魔物駆除という……恐らく王都の役場からの依頼を受けている立場ではある……だからと言って公務員ではないのだから、仕事のやり方などに対する苦情を直接言われる筋合いはないはずだ。いや……仮に苦情であれば……役場に呼ばれるはずで王宮ではないか……。


 だが……魔族の眷属の顔が焼かれているのは……致し方がない事であり、俺たちを追及しても無駄だぞ。俺たちはたまたま今回眷属を連れた魔族に遭遇しただけで、別に魔族や眷属に知り合いがいる訳ではない。」


 少し声を荒げ大きな身振りを交えながら落ち着きなく弁明する巧……どうやら眷属の身元が分からないよう細工をしたことに対し、関与を疑われているのではと内心穏やかではない素振りだ。


「いえ……眷属の遺体の状況は先ほど魔物の駆除状況確認も含めて検査員を派遣したばかりですので……その件ではございません。」


「だったら何事だ?何の用で俺が王宮に呼び出されなければならん?」


「申し訳ございませんが……存じ上げません。ただこちらにお二人の王宮への召喚状が届いているだけです。

 巧様とエミリア様……直ちにこの書状を持って、王宮へ向かってください。王宮南口正門の衛兵詰め所で書状をお見せいただければ、ご案内いただけるそうです。よろしくお願いいたします。」


 受付嬢は真っ白い封書を巧の目の前に差し出し、それを持って王宮へ行くよう告げた。


「分かった……事情は知らされていないようだな……仕方がない……これから王宮へ向かうぞ。」

「はあ……何の用事でしょうかね……。」

 エミリアも王宮に知り合いなど一人もいるはずもなく、不安そうに小首をかしげながら巧とともに事務所を後にした。


「眷属への恩情がばれたのかと思いましたがどうやら違うようですし……そうなると何でしょうかね……数少ないはずの魔族とあまりに遭遇する頻度が高いから……魔族との関係性を疑われているのでしょうか?」


「ああ……俺もそれを疑われているのではと……考えている。魔王と結託し、捨て駒魔族を倒しまくり名を上げ政府の要職に就き、内側から国家転覆を狙っているなどと疑われている可能性はないとは言えない。


 名を上げれば士官の道も開け貴族として王宮に召し抱えられる場合も多く、更に元は著名な冒険者だった防衛大臣や外務大臣など実際に存在したと組合の初級者講習会で説明され、頑張れば国家の要人となる道も開けると励まされたからな。


 何の証拠もなくても魔王との関係を疑われてすぐに逮捕され拷問……なんてことではなく、怪しいと疑われるだけなら最初は普通の犯罪人と同じく取り調べとなるとは思うのだが……俺も眷属とか魔族との関係を疑われた犯罪人の実際の取り調べ手順など詳しくはないから分からない。」


「ええっ……だって……眷属と認定されてしまったら親族にまで類が及ぶのですよね?父様まで……大変……。」

 巧の言葉にエミリアが絶句……


「だが……本当にただの偶然だからな……どうしてそんなに頻繁に魔族に遭遇してしかも勝てるんだ!などと問い詰められても答えようがないぞ……参ったな。


 一般的に月に一度か二度の仕事をこなして後は放蕩生活を送ることが多い冒険者生活で……普通に魔物討伐をしていても年に一度も遭遇することはなく、数年働いて一度も遭遇したことがない冒険者も多いとされる魔族に……アルミナの件まで含めるとほぼ二回に一度の確率で遭遇しているからな。


 しかも多くの場合、冒険者側が犠牲になることが常で、対魔族戦となると冒険者側の勝率は二割を切るといわれているのだからな……まあ俺は記憶を失った後にも魔族と遭遇し倒したことはあるが……それでもありったけの魔道具を駆使してようやく勝つことが出来て、俺も重傷を負って二ケ月ほど入院したこともあった。


 先日も話したがな……運良く勝ちを拾ったまでは良かったが内臓までぼろぼろの状態で……なんとか袋から大斧を取り出して魔族の首を刎ねると、丁度俺が吹き飛ばされて当たった時に折れた杉の木が転がっていたのでな……五十間ほど先にあった小川まで首と一緒に運び、そのまま首を抱えて川へ飛び込んだ。


 下流の村落に差し掛かった時に丁度洗濯に来ていた村人に発見され引き上げられ……村人たちの生活を脅かしていた憎っくき魔族だったからな、放置して胴体と引き寄せあっては堪らんということで、村中で協力し胴体は森に深く穴を掘って埋め、俺と首は大八車にのせられて近郊の都市の冒険者組合まで運んでくれて、そのまま入院だ。


 瀕死の重傷を負わされたので俺は魔族との戦い方を研究しようと、それから魔族や眷属に関しての情報を収集し始めた。対魔族戦の経験がある冒険者の数は少なかったが彼らだって他人の経験は知りたがったので、尋ね歩けば案外簡単に情報交換は出来た。それだけ魔族と戦って生き延びられた冒険者は少ないということだね……。


 眷属というものの存在もその時に詳しく知ることが出来たし、魔族は人間以上に知恵もあるがプライドが高く、その強さが逆に足枷となり弱点と言えることを認識し戦術を練った。そうして魔道具はただ使いまくればいいのではなく、知恵を絞り作戦を立てて一撃必殺で使うべきものと判り、それから戦い方が丸っきり変わった。

 まあアルミナの森の時はエミリア達がいたから、目くらましも兼ねて使い切るまで駆使したがね。


 記憶を失い一人だけで活動していた期間五年間で、魔族と遭遇したのはその後一度きりだ。つまり……五年間で二度……まあそのうちの三年間は主に王都で河川敷の魔物駆除をこなしていたからな……実質二年間で……それでもたったの二度だけだ。


 なのにここ一月半ほどの間に……あまりにも多くの強敵と遭遇し、しかもいつもぎりぎりで……運良く勝って来ているからな……疑われている可能性は否定できない。まいったな……正直に分かりませんと答える以外ないのだが……。」

 歩きながらも巧は両手で包み込むように兜ごと頭を抱える……


「ですが……先日巧さんが仰ったように……運良く勝っているというのは事実ですよ、ぺルたちのおかげですよね。この間仰ったように……ぺルたちが幸運を運んで来てくれているのだと……そう申し上げるしかないと思いますけれど……。」

 エミリアは愛する相棒たちの功績によるものと、半ば自慢げに胸を張って答えた。


「勝てたのはこいつらのおかげだとしてもいいさ……確かにずいぶん助けられているのは事実だからな。だが……遭遇頻度が異常に高いという事実の説明にはなっていない。ぺリルたちが魔族を引き寄せるのだとしたなら……決して幸運を運んで来ているとは誰も評価しないはずだからな。魔族には……冒険者なら誰もが対峙したくはない筈だろ?


 そりゃあ行先の巣窟に魔族がいると分かっても他を探すことはせず、作戦を練り勝機を探って攻略しようとするだろうが……魔族がいると分かっている巣窟だけを狙い撃ちすることなぞ絶対にしない。そんなことは自殺行為だ。


 何も意識することなく活動していて遭遇確率が高いのは……魔王との関係性を疑われる最大の要因となり兼ねない。」

 魔族を倒し続けていることよりも、あまりにも頻繁に魔族と遭遇することが問題なのだとする巧……


「確かにそうですわね……アルミナの森に魔族が住み着いていたことだって……付近住民である私たちは誰も知りませんでした。魔族は巣窟最深部に潜むとは言われておりますが、魔物の巣窟と言われてはいても数年に一度の魔物の増加を抑えるための森の木の間伐が行われたばかりでしたから……魔族の存在は明らかになっていてもよかったはずです。


 そう考えると比較的最近になって魔族が移り住んできたことに……イーストリバーの魔族も移って来たばかりの様子で……本宅を立てる前の仮の小屋に住んでいましたよね?なにか……魔族社会に変化があったのでしょうか?」


 滅多に出会うことがない魔族に出会うということは……魔族側に事情があるのではないかとエミリアは考えている様子だ。


「確かにな……だがその魔族側の事情というものが……俺たちには全く見当がつかないわけだ……さてどうするかな……。」

 巧はほとほと困り果てた様子で、ふうっと大きく息を吐いた。



「はあ……もう着いてしまった……この間はこの城壁から冒険者組合まで……かなりの距離があったように感じたものだがな……。」


 明確な正解に辿り着けない止めどない思考のループに翻弄され、ほんの二週間ほど前に通った時は長く感じた道のりが一瞬で終わってしまい、巧が歯ぎしりする。


「ですが……召喚に応じないわけにはまいりません……行かなければ余計に関与を疑われてしまいますよ。」


「ああ……こうなりゃあ出たとこ勝負で……まあ何の関係もないのだし正直に本当のことを話すしかない。

 じゃあ行くか……。」

 巧たちは王宮南側の中央にある正門で召喚状を詰め所の衛兵に手渡した。


「巧様とエミリア・シュタインベック様……お待ちしておりました。おいっ!ご来賓だ!」

 帯刀し八尺を超える長槍を所持している衛兵が、詰め所の中へ声をかけた。


「はっ……これはどうも……お二方様のご案内役を仰せつかりました、私王宮庶務課、世話係のハンセンと申します。

 本日はお忙しい中、わざわざ王宮までお越しいただき、ありがとうございます。

 国王様はじめ、関係者の方々は既にお集まりいただいております。さっ……急ぎましょう。」


 ハンセンと名乗る蝶ネクタイにスーツ姿の小太りの中年男は、蓄えたちょび髭を左手でもてあそぶようなそぶりを見せながらエミリア達を見上げ、踵を返すようにくるりと回ると堀に掛けられた跳ね橋を先導するように歩き始めた。


「あっ……ああ……いやっ……ちょっと待ってくれ!王様自ら我々の取り調べをされるのか?」

 魔族との関係を疑われ取り調べを受けるのだと信じて疑わない巧は、さすがに国王自らの取り調べに違和感を覚えた。


「はいっ?取り調べ……とは何のことでしょうかな?ああ……調査のことですかな?確かに国王様も大変ご興味を持たれ……至急状況確認することと、関係者一同集めよとご命じになられました。お忙しい中火急な呼び出しにもかかわらず早々にご来宮頂けましたこと、ありがたく感じております。」


 ハンセンは巧たちの方へ振り向こうともせず、前を向いたまますたすたと橋を渡り切り王宮の広い中庭を、これまた速足で歩いていく。


「ううむ……まずは冒険者組合の監察官か、悪くても王宮所属の軍幹部の取り調べと考えていたのだが……王様直々の取り調べとなると……既に証拠固めも済んでいて判決間近ということも考えられるな……だがどうして……。」


「いえ……さすがに何のお取り調べもなくいきなり有罪ということは考えられないと思いますよ……それに……ハンセンさんという方……どう見ても魔族と結託する重罪人を連行していく足取りとは思えませんけど……本気で疑っているのであれば……詰め所の衛兵全員で取り囲んで連行するのではありませんか?」


「ああ……そういえば……そうだな……だが……このハンセンという男……こう見えて名のある冒険者で歴戦の勇士なのかもしれないぞ……俺たちなど一ひねりできるような……。」


「うーん……そうは見えませんけれど……」

「能ある鷹は爪を隠すって言うではないか……。」


「はあ……それはそうですけれど……。」

 早足でずんずん進んで行くハンセンに遅れじと何とかついていこうとする巧たちではあったが……気は乗らず足取りは非常に重い……状況をいい方に考えようとしても、どうしても悪い方へと思考が展開されて行ってしまうようだ……


 ハンセンは三百間はあるであろう広い前庭を早足で横断すると王宮玄関から中へ入り、三階まで吹き抜けの広いエントランス奥に設けられた優雅にカーブする登り階段を駆けるように上がっていく。


「はっ……そうでした……どうなったとしても……この子たちには罪はないはずで……せめてこの子たちだけでも……どこかに預けられれば良かったのですけれど……」


 ふと思いついたかのように、エミリアの顔を数歩に一度は見上げながら両側をついてくる愛犬たちのことを思い出し、うろたえ始めた。


「まあ……犬まで処刑されることはないだろ……ご主人が処刑されたからと言って敵討ちした犬……なんて聞いたことはないからな。願い出れば引き取り手を探して開放してもらえるのではないか?人は無理だろうがな……。」

 ぺリルたちは大丈夫だろうと巧……


「取り調べの最中だけでも父様に来て頂いてお世話を……はっ……でも魔族との関係性を疑われた場合は父様にだって取り調べが……テルミのパルマを呼んでいただこうかしら……。」


「こちらです。」

 不安がるエミリアのことは気にも留めず、三階の長い長い廊下を歩いた先の大きな両開き扉の前でハンセンは立ち止まり振り返った。


「さっ……どうぞお入りください。」

 ハンセンは自分の顔くらいの高さにあるドアノブを何とか回して開けると、そのまま二人を招くよう左手を出した。


「父様……はっ……エンハルト叔父様まで……一体どうして?」

 ドアを開けた先には……見慣れた顔が二人も……


「おお……エミリア……来たか……巧殿も……どうも……活躍は……聞いているよ。」


 これから魔王との関係を問い詰められる厳しい厳しい取り調べを覚悟していた二人だったが、エミリアの父親たちのリラックスした様子に拍子抜けし、それまで固まっていた表情が急に柔らかくなり足取りも軽く部屋へ入っていく。


 五十畳ほどの広い部屋の中には十人を超える衛兵のほか、数人の恰幅のいい貴族と一目でわかるような豪奢な服装の中年男性及び幾つも勲章をつけた軍幹部とすぐ分かる男性のほか、さらにもう一人見たことある法服姿の男が……アーミンで出会ったハルクまでやってきていた。


 その上玉座には国王が鎮座しているではないか……エミリアも巧もまずは王に対し深く頭を下げた。


「忙しいところ……呼び出してしまいすまなかったね……だが……先日見つかった妻が残した魔王の地図に関して……新たな事実が分かった。あれはどうやら……遥か太古……今から二千年とも三千年とも言われるほどの昔……魔王と戦って倒した勇者一行が残したものだと分かった。」


 娘たちがここまでの道中あらぬ疑いをかけられているのではと、ビビりながらそれでもようやくやってきたことをつゆほども知らないエミリアの父親が誰よりも先に口を開く……


「ゆっ……勇者様が残したものなのですか?」

 父親の言葉にエミリアが目を大きく丸くして驚愕の表情を見せる。


「勇者が残したというのは多少語弊があるのだが……魔王を倒したのはいいがどうやっても葬ることはできず……仕方なく首を刎ね手足もバラバラにしたうえで……異世界からの召喚魔法の反転魔法を使い、異界へと魔王の切り刻んだ体を送った際に魔王が最後の力を振り絞りこの世に残した手掛かりと伝えられているものだ。


 だが……羊皮紙であるにもかかわらず、炎にくべても燃えず切り刻むことも出来ず、処置に困り深く穴を掘って埋めたようだがそれでもいつの間にか地上に出て来て、誰かの手元へ渡ってしまうような厄介なもののようだ。


 仕方なく勇者達一向は魔法耐性のある水晶柱をくり抜いた容器の中に羊皮紙を丸めて入れ厳重に封をし、未来永劫封を開けぬよう後世へ伝え、聖教会の総本山である都市国家にある教会地下倉に保管することとなった。


 魔王に関する資料を冒険者組合会長と商工会会長を兼ねるエンハルトと調べていて、ようやく分かった。


 冒険者の袋から取り出した時にはわからなかったが、羊皮紙の裏側の隅には聖教会の印が押されていて、しかもボーキサイ国内の教会ではなく世界本部のものであることが分かり、更に世界本部の蔵書である管理ナンバーも付与されておったから、関連資料を調べて突き止めることが出来た……とはいえ全て口伝のものであり文書など残ってはおらなんだがな。


 そこで……ハリキル国のエールにある聖教会本部へ、永久に封を解かないはずの魔王が現世へ復活するためのカギともいえる羊皮紙が、どうしてこんなところにあるのか問い合わせたのだが返答なし……。


 こちらの言うことを疑っているのではと思い羊皮紙に描かれた地図を簡略化して紙に書き写して送ったところ、この情報が魔族側に漏れたら大ごとだから写しが他にあればすぐに廃棄しろと書状が届いた。そうして……手練れの冒険者若しくは一個大隊ほどの軍に警護させて羊皮紙をエールまで届けるようにとも、その後すぐに連絡が来た。」


「は……あ……エールの聖教会にあるはずの羊皮紙が、どうして五年前に母様が持っていたのかは依然として分からないのですか?」


 羊皮紙の詳細が分かったのはいいのだが、どうして封印されていたはずのものが自分の母が所持していたのか、エミリアにとって気になるようだ。


「ああ……そのことに関してもしつこく何度も問い合わせてようやく渋々返事が来た。どうやら正教会の地下倉は十年ほど前に窃盗団の被害に遭い、その時に他の宝物品とともに羊皮紙を納めた水晶柱も一緒に盗まれたようだ。勿論正教会は警察へ被害届を提出したが……羊皮紙に関してはさほど重要視してなかったようで、ただ水晶柱とだけ被害届に記載があった。


 水晶柱に施した封も経年劣化するから百年に一度取り出し羊皮紙を確認することになっていたようで……直近二十年前の再封入時に確認したところ、羊皮紙表面には何ら表記はなかったそうだ。寄贈された数々の絵画の状態確認や所蔵する蔵書の虫干しを行う職員や美術の専門家及び結界術師らが入り乱れて出入りする時期の警備の隙を突かれたのだそうだ。


 だから勇者一行が残した魔王復活のカギとなる羊皮紙という重要性には気づいていなかったようで、大げさに盛られた伝説だろうと高をくくっていたようだな……こちらの手元にある羊皮紙に地図が浮き出ていることを知って驚き慌てだした様だ。長年魔王の思念に晒されずにいたことで浮き出ていた地図が徐々に消失していったのだろうと推定していた。


 恐らく盗難に遭った後で窃盗団一味が水晶を金に換えようと不要な中身を取り出して捨てたのだろう……それで外気にさらされ異世界からの魔王の意識につながり、羊皮紙表面に手掛かりとなる地図が浮き出てきたのであろうと……そう推察しているようだ。


 火の中に入れても燃えず、表面の絵を削り取ることも出来ず捨ててもまたいつの間にか戻ってくるという……摩訶不思議な羊皮紙のうわさは広がり……古文書に興味があり勇者一行の伝説にも詳しかったターメルがいち早く気付いたのだろう。その時点では魔族も気が付いて取り合いになったのではないだろうかな……それでターメルは命を落とした。」


 エミリアの父に代わり今度は商工会会長のエンハルトが代わって答えた。


「そうでしたか……母様は魔族の手に魔王復活への鍵が渡らぬよう……戦っていたのですね。」

 エミリアがしんみりと呟いた。たった一人で戦っていた母の孤独を嘆いているのであろうか……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。