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異世界キャバクラ王 ~酒チートと氷魔法で、夜の社交界を支配する~  作者: 阿鼻恭介
第4章 育つ店、広がる縁

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第58話 新たな仲間へ

朝のClub Moon Dropには、穏やかな陽射しが差し込んでいた。


開店前の店内では、それぞれがいつもの持ち場で準備を進めている。


ロイは受付台で登録帳を開き、会員証を確認する。


リリアは客席を歩きながら椅子の位置を整え、テーブルクロスの乱れを直していた。


エルナとセレナはグラスを磨き、ミーナは昼営業で提供する甘味を確認する。


ノアは制服の状態を一着ずつ確かめ、店内を歩きながら気付いたことを手帳へ書き留めていた。


「ノア。」


レンが声を掛ける。


「はい。」


「何か気付いたことはあったか?」


ノアは手帳を開いた。


「入口近くの椅子が少し通路側へ出ていました。」


「それと、窓際のテーブルクロスに小さなシワがあったので直しました。」


「あと、昨日のお客様が入口で少し譲り合われていたので、椅子を少しだけ内側へ寄せた方が通りやすいと思います。」


レンは小さく笑った。


「ありがとう。」


「そういう気付きが、この店を良くしてくれる。」


ノアは少し照れながら頭を下げる。


「はい。」


そのやり取りを見ていたリリアが笑う。


「ノア、本当に細かいところまで見てるよね。」


「私は全然気付かなかった。」


「私もです。」


エルナも苦笑する。


「だからノアには助けられてるんだよ。」


ノアは恥ずかしそうに首を横へ振った。


「私は、自分にできることをしているだけです。」


レンはその言葉に頷いた。


「それで十分だ。」


「誰かが気付くから、みんなで改善できる。」


「それがClub Moon Dropだ。」


店内には穏やかな笑顔が広がる。


それぞれが違う役割を持ち、それぞれの得意なことで店を支えている。


その積み重ねが、今のClub Moon Dropを作っていた。


準備がひと段落した頃、レンはスタッフへ声を掛ける。


「みんな、少し集まってくれるか。」


全員がレンの前へ集まる。


リリアは昨日のことを思い出したように笑う。


「面談の結果だね。」


「ああ。」


レンは頷いた。


「昨日の面談を終えて、俺の考えは決まった。」


店内が静かになる。


誰も言葉を挟まない。


レンは一人ひとりの顔を見渡し、ゆっくり口を開いた。


「ルークとディーノを、Club Moon Dropの仲間として迎えたいと思っている。」


その言葉に、最初に笑顔になったのはリリアだった。


「本当に?」


「ああ。」


「やった!」


リリアは素直に喜んだ。


「二人とも優しそうな人だったもん。」


エルナも嬉しそうに頷く。


「私も賛成です。」


「昨日お話を聞いていて、お二人ともこのお店を大切に考えてくださっているのが伝わってきました。」


セレナも微笑む。


「私も同じです。」


「レンさんのお話を、とても真剣に聞かれていました。」


ミーナも笑顔を見せる。


「またお二人にお会いできるのが楽しみです。」


ノアも静かに頷いた。


「私も、お二人と一緒に働けたら嬉しいです。」


ロイも穏やかな表情で口を開く。


「私も賛成です。」


「昨日の面談を聞いて、お二人ならClub Moon Dropを大切にしてくださると思いました。」


皆の言葉を聞き、レンは自然と笑みを浮かべる。


「ありがとう。」


「でも、まだ決まったわけじゃない。」


皆の表情が少し引き締まる。


「今日の営業が終わったら、改めて二人へ正式にお願いする。」


「そこで初めて、二人の返事を聞くことになる。」


リリアは少しだけ不安そうな顔になる。


「断られることって……あるかな。」


レンは正直に答えた。


「分からない。」


「だからこそ、俺も自分の言葉でお願いしたい。」


「人手が欲しいからじゃない。」


「この店を一緒に作っていきたい仲間だから来てほしい。」


その言葉に、ロイは静かに頷いた。


「レンさんらしいですね。」


レンは少し照れたように笑う。


「昨日、二人の話を聞いて確信した。」


「料理や黒服の技術だけじゃない。」


「お客様や仲間を大切にする気持ちがある。」


「それが、この店には一番必要なんだ。」


スタッフたちも真剣に頷く。


レンは続けた。


「もし二人が来てくれたら、役割も少し変わる。」


皆が耳を傾ける。


「ルークには、将来的に店内の厨房を任せたい。」


「もちろん、すぐに全部を変えるわけじゃない。」


「今の体制を大切にしながら、少しずつ準備を進める。」


エルナが目を輝かせる。


「店内で出来立てのお料理が出せる日が来るんですね。」


「そうなれば、お客様にももっと喜んでいただけると思う。」


レンは頷いた。


「そしてディーノには黒服を任せたい。」


ロイが姿勢を正す。


「私と二人体制ですね。」


「ああ。」


「ロイは受付へ集中できる。」


「ディーノは入口や店内全体を見る。」


「そうすれば、俺も今まで以上に店全体を見る時間を作れる。」


リリアも嬉しそうに笑う。


「私はもっと接客を頑張れるね。」


「そのための体制づくりだ。」


レンは皆を見渡した。


「でも、新しい仲間が増えるということは、みんなにも協力してもらうことが増える。」


「分からないことがあれば教えてあげてほしい。」


「困っていたら支えてあげてほしい。」


リリアが真っ先に頷く。


「もちろん!」


エルナも笑顔になる。


「一緒に頑張ります。」


セレナも優しく微笑む。


「皆で支え合えば大丈夫です。」


ミーナも元気よく答える。


「私も頑張ります!」


ノアも手帳を抱えながら、小さく、しかし力強く頷いた。


「私も、気付いたことはちゃんと伝えます。」


レンはその言葉に満足そうに微笑む。


「ありがとう。」


「それじゃあ、今日もいつも通り営業しよう。」


「営業が終わったら、俺は二人へ正式にお願いをする。」


スタッフ全員が力強く頷いた。


店内には、新しい仲間を迎える期待と、これからも皆で店を作っていこうという温かな空気が流れていた。


Club Moon Dropはまた一歩、新しい未来へ向かって歩き始めようとしていた。


昼営業、そして夜営業。


この日もClub Moon Dropは穏やかな空気に包まれながら営業を終えた。


最後の客を見送り、リリアが営業中の札を「準備中」へ裏返す。


エルナたちは客席の片付けを始め、ノアは今日手帳へ書き留めた内容を見返しながら、明日レンへ報告する内容を整理していた。


レンはロイへ声を掛ける。


「ロイ。」


「はい。」


「ルークとディーノが来たら、二階の事務所へ案内してくれ。」


「分かりました。」


「お願いします。」


ロイは静かに頷き、入口の鍵を開けたまま二人を待つ。


しばらくすると、扉が軽く叩かれた。


コンコン。


ロイが扉を開ける。


「こんばんは。」


「こんばんは。」


ルークとディーノが揃って頭を下げた。


「お待ちしていました。」


「レンさんがお待ちです。」


「ご案内します。」


二人はロイの後ろについて階段を上がる。


事務所の扉をノックする。


「レンさん、お連れしました。」


「入ってくれ。」


ロイが扉を開けると、レンが二人を迎えた。


「来てくれてありがとう。」


「こちらこそ、お時間をいただきありがとうございます。」


二人が席へ着き、ロイも部屋の隅へ控える。


レンは二人を見渡し、穏やかな表情で口を開いた。


「昨日はありがとう。」


「二人の話を聞いて、改めてこの店について考えることができた。」


ルークとディーノは静かに耳を傾ける。


「昨日話したとおり、この店は人手が足りないから誰かを迎える店にはしたくない。」


「同じ思いで店を育てていける仲間と、一緒に歩いていきたいと思っている。」


少し間を置いて、レンは真っ直ぐ二人を見た。


「その上で、俺の答えを伝える。」


部屋に静かな緊張が流れる。


「ルーク。」


「ディーノ。」


「二人に、Club Moon Dropで一緒に働いてほしい。」


その言葉を聞いた瞬間、二人は顔を見合わせた。


やがてルークがゆっくりと口を開く。


「……ありがとうございます。」


「正直、昨日の話を聞いてから、ずっと考えていました。」


レンは黙って続きを待つ。


「俺も、この店で働きたいです。」


「料理で、お客様に笑顔になっていただきたい。」


「そして、この店をもっと良くする力になりたいです。」


ルークは深く頭を下げた。


「よろしくお願いします。」


レンは笑顔で頷く。


「こちらこそ、よろしく頼む。」


続いてディーノが姿勢を正した。


「俺も昨日、一晩考えました。」


「レンさんの話を聞いて、この店はただ働く場所じゃないって思いました。」


「仲間と一緒に作っていく店なんだって。」


ディーノは静かに笑う。


「そんな店なら、俺も力になりたいです。」


「よろしくお願いします。」


レンは嬉しそうに頷いた。


「ありがとう。」


「二人とも、本当にありがとう。」


部屋の空気が少し和らぐ。


ロイも自然と笑顔になっていた。


レンは机の上へ一枚の紙を置く。


「役割については、少しずつ進めていく。」


「ルークには、将来的に店内厨房を任せたい。」


「ただ、すぐに全部を任せるつもりはない。」


「まずは今の仕事を続けながら、少しずつClub Moon Dropでの仕事も覚えてほしい。」


「分かりました。」


ルークは力強く頷いた。


レンは今度はディーノを見る。


「ディーノには黒服を任せたい。」


「ロイと協力しながら、入口や店内全体を見てもらう。」


「最初は覚えることも多いと思う。」


「でも焦らなくていい。」


ディーノも笑顔で答える。


「一つずつ覚えます。」


「よろしくお願いします。」


レンは満足そうに頷いた。


「それじゃあ、一階へ行こう。」


四人は事務所を出て階段を下りる。


一階ではリリアたちが待っていた。


「お待たせ。」


レンがそう言うと、全員の視線が集まる。


レンは二人の隣へ立った。


「紹介する。」


「今日から、ルークとディーノがClub Moon Dropの仲間になる。」


店内に笑顔が広がる。


リリアが真っ先に駆け寄った。


「よろしくね!」


ルークも笑顔で頭を下げる。


「よろしくお願いします。」


ディーノも続く。


「皆さん、よろしくお願いします。」


エルナ、セレナ、ミーナも笑顔で歓迎する。


ノアも少し緊張しながら一歩前へ出た。


「よろしくお願いします。」


ルークは優しく微笑む。


「こちらこそ。」


ディーノも頷いた。


「よろしく。」


レンはその光景を静かに見つめる。


新しい仲間を迎えることができた。


だが、本当に大切なのはここからだ。


互いを支え、互いを信頼し、一緒に店を育てていく。


Club Moon Dropは、また一歩前へ進んだ。


その一歩は、この店の未来を大きく変えていくことになるのだった。

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