第5話 冒険者と金髪少女
初めての執筆で読みにくいところもあると思いますが楽しんで読んで頂けましたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
本日3話投稿のうち2話目です。
3話目は20時半予定です。
「なんで子供がこんな森の奥にいるの?」
金髪の少女は目を丸くしていた。
俺も目を丸くしていた。
なぜなら。
可愛かった。
めちゃくちゃ可愛かった。
十六歳くらい。
いや、俺も今十六歳だった。
年齢は同じくらいだろう。
肩まで伸びた金髪。
大きな青い瞳。
日焼けしていない白い肌。
革鎧を着ているが、それでも分かる整った顔立ち。
将来絶対美人になるタイプだ。
いや、もう美人かもしれない。
「おい。」
横から声が飛ぶ。
剣士の男だった。
二十代後半くらい。
短髪。
筋肉質。
いかにも冒険者。
「リリア。」
「なに?」
「知らない男をジロジロ見るな。」
「別に見てないし。」
完全に見てた。
俺も見てたけど。
少女――リリアは軽く頬を膨らませた。
どうやらこのパーティーの末っ子らしい。
俺は立ち上がった。
「助けてくれてありがとうございます。」
すると全員が驚いた顔になる。
「あれ?」
「どうしました?」
「普通に話せるのか。」
剣士が言う。
「え?」
「森で遭難した子供かと思った。」
「違います。」
「違うのか。」
「たぶん。」
たぶん。
俺も状況がよく分からない。
◇◇◇
しばらく事情聴取が始まった。
結果。
俺は困った。
説明できない。
異世界転生しました。
神様から酒チート貰いました。
森にスポーンしました。
言えるわけがない。
絶対に変人扱いされる。
だから俺は少しだけ嘘をついた。
「記憶が曖昧で。」
定番である。
異世界転生者御用達。
記憶喪失。
「気付いたら森にいました。」
全員が顔を見合わせる。
これは意外と信じてもらえた。
なぜなら。
本当にボロボロだったからだ。
服も謎だし。
身分証も無い。
荷物も無い。
住む場所も無い。
普通に怪しい。
「ふむ。」
大男が腕を組む。
身長二メートル近い。
全身鎧。
盾持ち。
タンク役だろう。
「奴隷商人から逃げた可能性は?」
「無さそう。」
弓使いの女性が言う。
「首輪跡も無い。」
「なら捨て子か?」
「十六歳で?」
「確かに。」
俺の人生が勝手に考察されていた。
◇◇◇
その時。
リリアが俺の前にしゃがみ込んだ。
近い。
青い瞳が真正面にある。
「お腹空いてる?」
「え?」
「顔色悪いよ。」
言われて気付いた。
そういえば腹が減っている。
転生してから何も食べていない。
ビールしか飲んでない。
よく考えると最悪である。
「少し。」
俺が答えると。
リリアは袋からパンを取り出した。
「はい。」
差し出される。
俺は固まった。
久しぶりだった。
誰かにこんな風に優しくされたのは。
前世では。
黒服だった。
誰かにサービスする側だった。
気を遣う側だった。
助ける側だった。
だから。
少しだけ嬉しかった。
「ありがとう。」
受け取る。
パンは固かった。
だが美味かった。
涙が出そうなくらい。
「おいしい。」
思わず呟く。
リリアが笑った。
「大げさ。」
その笑顔を見て。
俺は思った。
異世界最初に会った人がこの子で良かったな、と。
◇◇◇
結局。
俺は彼らと一緒に街へ向かうことになった。
理由は簡単。
一人では生きていけないからだ。
「街までどれくらいです?」
「徒歩三時間。」
剣士が答える。
長い。
かなり長い。
だが文句は言えない。
歩くしかない。
移動中。
俺は鑑定を試してみた。
もちろんバレないように。
まず剣士。
――――――――
ガイル
27歳
職業:剣士
レベル:22
状態:健康
性格:面倒見が良い
所持金:銀貨34枚
――――――――
見える。
全部見える。
怖いくらい見える。
次。
弓使い。
――――――――
サラ
25歳
職業:弓士
レベル:21
状態:健康
性格:慎重
好物:甘いもの
――――――――
次。
大男。
――――――――
ボルド
31歳
職業:重戦士
レベル:24
状態:健康
好きなもの:肉
嫌いなもの:野菜
――――――――
子供か。
◇◇◇
最後に。
リリア。
――――――――
リリア
16歳
職業:見習い冒険者
レベル:8
状態:健康
種族:人間
好感度:12
将来性:非常に高い
――――――――
「好感度?」
思わず声が漏れた。
なんだそれ。
ギャルゲーか。
「どうしたの?」
リリアが振り向く。
「いや。」
危ない。
バレるところだった。
それにしても。
好感度まで見えるのか。
全鑑定。
思ったよりヤバい能力かもしれない。
◇◇◇
歩き続けること三時間。
やがて森が開けた。
そして。
俺は言葉を失う。
巨大な城壁。
石造りの建物。
往来する馬車。
人々。
冒険者。
商人。
衛兵。
活気。
完全に異世界だった。
「すげぇ……。」
思わず呟く。
ガイルが笑う。
「初めて見るのか?」
「まあ。」
「田舎者だな。」
否定できない。
地球出身だから。
街の門には大きな看板があった。
――――――――
辺境都市ルミナス
――――――――
俺の異世界人生が始まる街。
そして。
後に異世界最大の歓楽街が生まれる街。
その第一歩だった。
◇◇◇
門をくぐった瞬間。
俺はあることに気付く。
街の中心部から漂ってくる匂い。
酒だ。
酒場がある。
それもかなり大きい。
その瞬間。
俺の中の黒服魂が目を覚ました。
「まずは市場を見たい。」
「市場?」
リリアが首を傾げる。
「なんで?」
俺は笑った。
「商売の基本だから。」
異世界で生きる。
そのために必要なのは。
剣でもない。
魔法でもない。
まずは市場調査だ。
そして俺はまだ知らない。
この街の酒が。
絶望的に不味いことを。
お読みいただきありがとうございます。
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