第4話 転生、そして目覚める
初めての執筆で読みにくいところもあると思いますが楽しんで読んで頂けましたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
本日も3話投稿予定の1話目です。2話目は20時ごろ投稿予定
身体が落ちている。
そんな感覚だった。
上も下も分からない。
風もない。
音もない。
光だけが視界を埋め尽くしている。
――転生します。
アルテミアの声が頭の中に響く。
――あなたの第二の人生に幸運を。
その言葉を最後に。
意識は完全な闇へ沈んだ。
◇◇◇
鳥の鳴き声が聞こえた。
チュンチュン。
ではない。
もっと高く澄んだ音色。
聞いたことのない鳥だ。
風が吹く。
草の匂いがする。
土の匂いがする。
太陽の暖かさを感じる。
俺はゆっくりと目を開いた。
「……あ?」
青空だった。
雲一つない。
真っ青な空。
見渡す限り森。
木。
草。
木。
草。
木。
森。
森。
森。
「森だ。」
思わず呟いた。
どこからどう見ても森だった。
しかも結構な大自然である。
文明の気配がない。
「おい神様。」
思わず空を見上げる。
「初期スポーン地点どうなってるんですか。」
返事はない。
当然である。
俺は身体を起こした。
特に痛みはない。
どこも異常はない。
むしろ絶好調だ。
「……ん?」
違和感があった。
身体が軽い。
異常に軽い。
手を見る。
小さい。
足を見る。
短い。
「え?」
慌てて顔を触る。
若い。
というか幼い。
そういえば。
ステータスに書いてあった。
年齢十六。
「高校生くらいになってる……。」
まあいい。
二十一歳より若返ったと思えば得だ。
問題はそこじゃない。
俺は周囲を見渡した。
完全に森だった。
人影なし。
建物なし。
道なし。
文明なし。
「どうしろと。」
とりあえず深呼吸する。
落ち着け。
パニックになっても仕方ない。
まずは状況確認だ。
そういう時こそ冷静に。
俺はスキルを思い出した。
「そうだ。」
鑑定。
あるじゃないか。
チートが。
「鑑定。」
その瞬間。
視界に文字が浮かんだ。
――――――――
名前:レン
種族:人間
年齢:16
状態:健康
職業:なし
スキル
【全アルコール精製】
【全氷魔法】
【全鑑定】
【アイテムボックス】
【強靭な腎臓】
――――――――
「おおおおお!」
本当に出た。
異世界だ。
テンションが上がる。
俺は近くの木を見る。
「鑑定。」
――――――――
グラン樹
樹齢32年
木材価値:普通
燃料価値:普通
食用価値:なし
――――――――
出た。
マジで出た。
「便利すぎるだろ。」
これは凄い。
完全にチートだ。
俺は次々と鑑定する。
石。
草。
花。
虫。
全部情報が見える。
面白い。
めちゃくちゃ面白い。
ゲームみたいだ。
◇◇◇
しかし。
三十分後。
現実問題にぶつかった。
「腹減った。」
当然である。
死んでから何も食べていない。
しかも森の中だ。
どう考えても食料が必要だ。
そこで思い出した。
もう一つのチート。
「全アルコール精製。」
俺は試しに念じた。
ビール。
すると。
ポン。
目の前に缶ビールが現れた。
「出たぁ!?」
思わず叫ぶ。
しかも。
ちゃんと冷えている。
キンキンである。
缶には見覚えのあるラベル。
完全に日本のビールだ。
「神様やばい。」
恐る恐る開ける。
プシュッ。
最高の音。
香りが漂う。
俺は一口飲んだ。
「うっま……。」
泣きそうになった。
異世界最初の食事がビールだった。
どうなんだろう。
でも美味い。
死ぬほど美味い。
死んだけど。
「いや待て。」
俺は気付いた。
ビール出せるなら。
他も出せるのでは?
試してみる。
ワイン。
出た。
ウイスキー。
出た。
焼酎。
出た。
日本酒。
出た。
シャンパン。
出た。
カシスリキュール。
出た。
ウォッカ。
出た。
ラム。
出た。
テキーラ。
出た。
「無法すぎる。」
何でも出る。
本当に何でも出る。
◇◇◇
さらに試す。
「アイテムボックス。」
空間が開いた。
正確には見えない。
だが感覚で分かる。
無限に広い収納空間。
試しにビールを入れる。
消える。
取り出す。
出る。
完璧。
「物流革命だなこれ。」
商売人なら誰でも欲しがる能力だ。
輸送費ゼロ。
保管費ゼロ。
在庫ロスゼロ。
最強である。
そして。
もう一つ。
「氷魔法。」
パキッ。
空中に氷が生まれた。
透明度の高い氷。
ロックアイスそのもの。
「やば。」
さらに。
剣。
槍。
盾。
壁。
自由自在に作れる。
戦闘にも使えそうだ。
「思ったより万能だな。」
酒専用スキルだと思っていた。
◇◇◇
その時だった。
ガサガサッ。
森の奥から音がした。
俺は反射的に振り返る。
何かいる。
大きい。
近付いてくる。
獣だ。
本能が警告する。
危険。
ガサッ!
飛び出してきた。
犬?
いや違う。
狼だ。
だが大きい。
異常に大きい。
牛くらいある。
「おいおいおい!」
狼が唸る。
牙を見せる。
完全に捕食者の目だ。
俺は震えながら鑑定した。
――――――――
フォレストウルフ
レベル8
状態:空腹
危険度:高
推奨対応
逃走
――――――――
「逃走推奨!?」
早く言え!
狼が飛び掛かる。
俺は叫んだ。
「氷壁!」
ドゴォォン!
巨大な氷の壁が出現する。
狼が激突した。
「ギャンッ!?」
吹き飛ぶ。
俺も驚いた。
強い。
思った以上に強い。
狼は怯んだ。
そして。
危険を察したのか。
森の奥へ逃げていった。
静寂が戻る。
俺はその場に座り込んだ。
「死ぬかと思った……。」
転生初日。
開始一時間。
再び死亡しかけた。
笑えない。
◇◇◇
その時だった。
遠くから声が聞こえた。
「いたぞ!」
「こっちだ!」
人間の声。
複数。
俺は顔を上げる。
森の奥から現れたのは。
剣を持った男。
弓を持った女。
鎧を着た大男。
まるでファンタジー作品の冒険者だった。
そして。
金髪の少女が俺を見て目を丸くした。
「えっ?」
少女は驚いた顔で言う。
「なんで子供がこんな森の奥にいるの?」
異世界で初めて出会った人間。
それが。
後に俺の人生を大きく変えることになる少女――リリアとの最初の出会いだった。
お読みいただきありがとうございます。
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