なんでこうなったんですか?
「おとうさん、おかあさん、大好き!」
「まあ、ありがとうクラリス。私もクラリスが大好きよ」
「ああ、可愛いなあクラリス。目に入れても痛くないよ」
「もう、おとうさん、大袈裟だよー」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「大丈夫、おかあさん?」
「大丈夫よ、クラリス。私たちはクラリスのためなら、いくらだって頑張れちゃう!」
「本当ぉ?」
「ええ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「大丈夫、おとうさん?」
「大丈夫だよ、クラリス。クラリスの顔を見れれば、いつだって元気いっぱいだぁー!!」
「きゃー!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「…おとうさんとおかあさんが……?」
「…うん。王家の馬車に跳ねられて…」
「……なんで…?」
「うん……ここだけの話、殿下が出発を急かして…事故、が…」
「……そう」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「貴女に一目惚れした! 是非、私の妃になってくれ!」
………殿下。
……この人、が…。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「クラリスは、可愛いのに性格も良いな。私はクラリスと付き合えて変われた。なぁクラリス、愛してる。正妃に…俺だけの妻になってくれないか」
「殿下…」
………許せない。
僅かだったはずの感情が、いつの間にか膨れ上がってた。
罪を知らないその無垢さが。
孤独な私を動かすその明るさが。
どうしようもなく、憎くて、たまりません。
笑顔の下、いつもそう考えていた。
彼が私を愛すると、私は彼に憎悪する。
きっと話せば分かるのかも知れないけど。
もし、愛か憎しみ、どちらかが消えたら。
私は彼を……殺してしまう。
だって彼はカタキだから。
だって彼は王族だから。
辛い。苦しい。
私の感情は、行き場がない。
……殿下。
私は貴方に、返礼をするでしょう。
だからどうか。それまでは私を、愛して下さい。
しかし、私の願いは叶わなかった。
私は記憶を失い、彼の愛をも失った。
嬉しくて、悲しかったです。殿下。
貴方が愛したのは、私の顔だったこと。
貴方が愛したのは、偽りの私だったこと。
でも私は、本当は貴方のこと好きでしたよ。
少なくとも、心中を謀るくらいには。




