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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり13人目⑥

「うちのが世話になったみてえだな」


 ノルが集落に入って10分程度経ってから、数人の蜘蛛女(アラクネ)族を伴って戻ってきた。

 その雰囲気から、誰もがそれなり以上の使い手であり、実力者である事が伺えたが、その体格はノルよりも明らかに小さい。

 子供か、と思いもしたが、もしかするとノルが突然変異的な大きさなのかも。

 警戒心を隠しもせずに、こちらに声をかけてきたのは、片目が傷で潰れた蜘蛛女族。

 どう見ても歴戦の猛者、といった雰囲気だが、身体が小さいので少しだけ背伸びした子供のように見えなくもないのはシュールなポイントか。

 身長は恐らく150センチあるかどうかくらい。


「ま、なりゆきだ。細かい事は気にすんな」


 変にへりくだるのは舐められる気がして、丁寧な態度というよりは、少しばかり相手を挑発するような物言いに変えた。

 これでどういう反応を返してくるか、一旦は様子見だ。


「成り行きだぁ? お前、連合国の人間じゃねえだろ? 珍しい種族を捕らえて奴隷にしてるんじゃねえのか!?」


 なるほど。

 俺が人攫いの犯人、ないしは関係者と考えてるわけね。

 まあ、仲間が攫われたから殺気立ってるのはわかるが、感情を剥き出しにしているようでは2流だ。


「族長、あの人間たちはそんなじゃないんだぁ」


「黙ってろ! 今はアタイが話してんだ!」


 ノルが見かねて仲裁に入ろうとしてが、それを遮った族長は、鋭い隻眼で俺を睨む。

 残る蜘蛛女族も、一様に殺気立った様子でこちらを見ている。

 まあ、相手の規模次第だが、死人が出る事はないかな。

 多少の怪我人くらいは出るかもしれないけど。


「まず、第一に俺が人攫いの一味なら、単独でいたノルをわざわざ連れて来る意味が無い。集落の場所を知りたいなら、適当に泳がせて後を尾けてくればいい。わざわざ治療をしたりする手間がもったいないだろう」


 理論的に筋道立てて説明をしてみれば、族長は少しばかり鼻白む。

 ある程度わかりやすく説明してやったのだ。

 これで理解すら示さないようでは困る。


「第二に、そもそもこの集落の情報そのものは隠されていない。ならばこそ、第一の理由がなおの事意味の無いものになる。さて、他に理由が欲しければ、懇切丁寧に説明してやってもいいが、どうする?」


 わざとらしく肩を竦め、族長を見下ろす。


「……なるほど。テメーの言い分は良くわかった。が、その態度はいけ好かねえな!」


 族長は、手に持つ槍を無造作に突き出してきた。

 対して力を入れていないような一撃だが、その勢いは簡単に人を殺せる程度には早く、鋭い。


「随分なご挨拶だな。別に謝礼欲しさにノルを助けたわけじゃないが、一族の恩人に対しての行為とはとても思えねえ。族長ともあろう者が、常識の字も無いとはな」


 黙っていたら脳天を貫かれる一撃を、首を傾けて外す。

 自分の一族以外の命を何も考えていない。

 そっちがその気なら、俺もそれなりの対応をさせてもらおう。


「へぇ。ふてぶてしい態度なりの実力はあるみたいだな」


 俺が槍の一撃を躱したのを見て、族長は表情を変えた。


「実力の差も理解できないなら、喧嘩を売るな」


 冷たい眼差しを族長に向け、俺はルナスヴェートを鞘に納める(・・・・・)。

 キン、と澄んだ音と共に、族長の槍が半ばから先端にかけて3つに分割され、音を立てて地面に転がっていく。

 

「……は?」


 理解できない、という表情をして、族長は手元に残った槍の柄を見る。

 何のことはない。

 向こうの反応速度を上回る速度で抜剣して、3回剣を振って鞘に戻しただけだ。

 まあ、あの族長の実力からしたら、何が起きたか理解なんてできるはずもないが。


「今のが見えてないなら、お前は俺に絶対に勝てない。ちなみに、殺そうと思えばお前の首と胴体は泣き別れだ。槍1本で済ませてやっただけありがたく思え」


 格付けを済ませたら、話は進みやすいだろう。

 そう考えての一連の行動だったが、相手方はみんな揃って固まっていた。


「おー、すっげえなぁ。うちの族長が子供扱いだぁ」


 1人だけ場の空気を読んでいないノルだけがマイペースに盛り上がってる。

 ちょっとだけ殺伐とした空気の中では癒しに感じるな。


「……色々あってピリピリしてた。八つ当たりみたいになっちまったのはアタイの落ち度だ。すまねえ」


 とりあえず、俺の思惑通りに事が運んだので、ちょっとだけどうしようか迷ってきたのを隠し、少しだけ目線を緩める。


「話がわかればいい。一応自衛の用意はしてきたが、こっちに争う意思は無いからな」


 族長が矛を収めたので、俺もこれ以上やる気は無いと意思表示をし、俺たちは彼女らの案内で集落の中へ入った。

 山の中に作られた集落は、石と木材を使った家が多く、まばらに粗末な作りの家もある。

 少数民族の集落、という感じ。


「とりあえず、アタイの家で話を聞く。お前ら10人くらいの人数なら、寝泊りできんだろ」


 集落の1番奥にある、大きな家が族長の家のようだ。

 体格が小さい割には大きな家だなー、と思ってしまったが、口には出さないでおく。

 ようやく話が進みそうなのに、余計な事を言って藪蛇になるのは良くない。

 ああいうタイプって、絶対に体小さいの気にしてるだろうし。

 ともあれ、とりあえず話が進みそうではあるので、これでひとまず色々と動きが出そうだな。

たまに見せたいハイトくんのカッコいい所の回でした。

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