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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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317/322

ワケあり11.5人目

ちょいグロ描写あり。

風刃大竜巻(トルネイドエッジ)!」


 開戦の合図となるハイトの魔術が炸裂して、個人行動で動く面々は、それぞれ担当の部隊長へ向けて動き出す。

 そのうち、ハイトとジェーンは馬で、カナエとフリスは己の足で走る。

 ハイトの率いる戦力で、間違い無く最大の装備重量を誇るカナエだが、その足取りは重量を感じさせないものだ。

 合計で300キロはある装備重量を抱えているにも関わらず、並みの駆け足よりよほど早いのは、日頃からハイトがストロングすぎると言っている、彼女の身体能力の高さに他ならない。

 とはいえ、さすがに馬に乗っている面々や、速度の速さに定評のあるジェーンやフリスに追い付けるほどではないわけで。

 当然、装備からしてカナエは目立つので、いかに普通よりも速いとはいえ、ただ走っていればすぐに補足されてしまう。

 補足されれば攻撃されるのは当然なのだが、彼女は大盾を構えて自分に来る攻撃を弾きながら、立ちふさがるバイレンド傭兵団員を文字通り轢きながら駆け抜けていく。

 カナエが通った後には、正面衝突して全身を複雑骨折した者、部分的に良くない当たり方をして首や四肢を折られた者が死屍累々と転がっている。


「あの女、何で止まらねえんだ……」


 運良く生き残った者も、もはや止める事のできないカナエの暴走っぷりに呆然としてしまっており、背後から攻撃を仕掛けてやろうという気概はすっかり削がれてしまっていた。

 彼女が向かう先にいるのは、部隊長の中でも最強であり、総団長に迫ると言われている第一部隊長なのだが、よもや彼であっても負けかねないのではないか、と。

 そんな考えが頭を過ぎり、運良く生き残った男は頭を振る。

 第一部隊長が負けるはずがない、と己を奮い立たせ、他の部隊へと状況を伝えるために、男は走り出す。


「邪魔」


 一方、大盾を構えながら最短距離を走り、邪魔者は物理的に轢いて跳ね飛ばし、一切速度を緩める事無く走り続けるカナエの前に、目標である第一部隊長が見えてきた。

 馬ですら一撃で真っ二つにできそうなほど立派な大斧に、その武器に不釣り合いな小さな体躯。

 身長こそ子供くらいなものだが、鍛え上げられた身体は筋肉の鎧に包まれており、彼が歴戦の戦士である事を示唆している。


「随分と活きのいいねーちゃんだなぁオイ! ちったぁ楽しませてくれんだろうな!?」


 自分に向かって爆走してくるカナエを見据え、第一部隊長は大声を上げながら、両手で握った大斧を振りかぶる。

 彼の身長の倍近くありそうな長柄の大斧だが、それはまるで小枝のように軽々と振るわれ、その大斧とぶつかり合ったカナエは、初めて足を止めた。


「俺サマの一撃を受け止めるたぁ、やるじゃねーの! お前みたいな女なら、俺サマの嫁にしてやってもいいぜぇ!?」


 動きを止めたカナエの身体を舐めるように見て、下卑た笑みを浮かべた第一部隊長だったが、カナエはそれに応じる事無く大盾で押し返す。

 自分がまさか片腕で押し返されると思っていなかったのか、困惑の声を上げて第一部隊長はたたらを踏む。


「私にはもう決めた相手がいる。お前みたいなチビで弱い男に興味ない」


 普段から無表情なカナエだが、この時ばかりは珍しく嫌悪の表情で第一部隊長を見ていた。


「こんのアマァァァァァ!! 俺サマの事を、チビで、弱いだとぉぉぉぉ!?」


 カナエからしてみれば、特に深く考えずに口にした拒絶の言葉だったのだが、それが逆鱗にふれたのか、第一部隊長の全身の筋肉が膨れ上がる。

 纏っていた防具が弾け飛び、上半身裸となった身体には、盛り上がった筋肉に太い血管が浮いており、彼の激昂具合がよくわかるのだが、それを誘発した当の本人は、ただただ嫌悪感を露わにするだけ。

 それがより、彼の怒りを助長していた。


「もう、泣いて謝っても許さんからなァァァァァァ!!」


 キレた第一部隊長が、大上段に大斧を振り上げる。

 重量ある武器が最も威力を発揮する、振り下ろしの構え。


「剛烈、豪・爆・殺!」


 怒りに飲まれ、ありったけの魔力を込めた戦技(アーツが)を振り下ろす第一部隊長だったが、その一撃はカナエの大盾に阻まれ、ダメージにならない。

 さすがのカナエもいくらか後退りはしたものの、さしたるダメージになっていないのだ。


「解放」


 一撃で相手を倒す事を疑っていなかった第一部隊長は、後退ってから即座に距離を詰めてきたカナエに対してアクションを起こせない。

 死に体となった第一部隊長に、カナエの大盾の先端が向く。

 直後、雷鳴の如き爆音と共に、第一部隊長に向けて大盾内部の杭打ち機構(パイルバンカー)が発動。

 大型の魔物ですら肉体を爆散させる威力を秘めた一撃は、当然のように彼の肉体を一瞬で爆散させた。

 持ち主を失った大斧が、余波でくるくると宙に舞う。

 当然、周囲にいたバイレンド傭兵団員たちは、あり得ない後継に目を剥いて動きを止めてしまったのだが、ガコン、と杭打ち機構が収納され、それに少し遅れて持ち主を失った大斧が地面に落ちた音で、ハッと我に返る。


「第一部隊長が、負けた!?」


「こんなバケモンに勝てるワケがねえ!」


「と、とにかく他の部隊に伝えるんだ!」


 あまりに圧倒的な暴力の現場を見た、バイレンド傭兵団員たちは、蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく。

 カナエはそれを追う事はせず、何かを探すように周囲を見回す。

 やがて、無表情でこくりと頷くと、どこかへ向けて走っていくのだった。

しれっと爆散する第一部隊長(総団長を除けばバイレンド傭兵団最強)。

なお総団長は彼の倍以上は強いです。

カナエは対パワータイプにとても強いので、基本的にパワータイプをぶつけると真正面から粉砕されるの図。

いっつすとろんぐ。

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