表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

301/321

ワケあり11人目⑳

「リベルヤ伯爵、出られるな?」


 紛糾する指揮所内で、アーミル侯爵が大きく声を上げる。

 鶴の一声とばかりに、指揮所内が静寂が訪れる中、俺はただ一言、はいと返事をした。

 この場で俺を伯爵としての立場で呼ぶという事は、この先の動きをもう決めているからだろう。


「貴殿には外の傭兵国拠点を即時破壊し、そのまま連合国の援軍に向かってもらう」


「仰せのままに」


 時間の猶予も無いからか、下された命令はシンプルかつわかりやすい。

 色々と端折ってはいるが、要するにとっとと王国側に攻めて来てる傭兵国の連中を、歯向かう気力が起きないくらいに叩き潰して、連合国の応援に行ってこい、という事だ。


「その役割、わざわざ子供に任せるほどの事ではなかろう。侯爵よ、貴殿の目も曇ったのではないか?」


 こうして多くの貴族が集まる場ともなれば、手柄に貪欲で手段を選ばないヤツもいるわけで。

 あんまりにもどうでもいいから名前も覚えてない貴族が、俺に振られた仕事を寄越せと主張する。

 この人の爵位、子爵とかじゃなかったっけ。

 そもそもの言葉遣いがなってない。


「リベルヤ伯爵、すぐに出るように。この場は気にしなくていい」


 声を上げた貴族に対応するでも無く、とっとと行けと命じてきたので、俺は周囲の反応を無視して指揮所を後に。

 扉を閉める時にあーだこーだと騒ぎが聞こえたが、アーミル侯爵が何とかするだろうと無視。

 言われた通りすぐに出撃にかかる。


「エスメラルダ、連合国側にこれから俺たちが援軍に向かうって伝えられるか?」


「可能よ。明日中には向こうに届くわ」


「了解、それで頼む。カナエたちはすぐに連合国側に向けて出発してくれ。俺は王国側の敵をサクッと潰してから追いかける」


 とりあえず、全員が騎兵であるとはいえ、ヴァルツほどの走破性能を持つ馬はそういない。

 そこで、最短最速で連合国へ向かうために、カナエたちには先に動いてもらう事にした。

 俺は別行動で傭兵国を拠点ごと手早く壊滅させて、それを追いかける。

 ヴァルツを本気で走らせれば、すぐに合流できるだろう。

 確か、ここから最短で連合国に入るには、およそ3日くらいの距離だっただろうか。


「そんじゃ、後で合流しよう。レイジュ様を頼む」


 俺と一緒に行動させてもいいんだが、ヴァルツを本気で走らせるとなれば、かなり身体に負担がかかる。

 幼いレイジュ様にそれをさせるのは酷だろう、というわけで俺はカナエたちに彼女を預ける事に。

 さすがに我儘を言える状況でないのは理解しているのか、レイジュ様は気を付けて下さいねー、と俺に声をかけるに留めてくれた。

 どこか、一緒に行動したそうな雰囲気も感じたが、こればっかりは譲れないし、こうして戦地に一緒に来ているのは、俺の言う事を聞くという約束の下だからだ。

 みんなと分かれ、俺はヴァルツの背に上がる。


「ヴァルツ、悪いけどこっから全力で走ってもらう事になる」


『任せておけ。我の速さを信じよ』


 出発前にヴァルツに一声かければ、相変わらず尊大な態度ではあるものの、任せろと請け負ってくれた。

 砦を出たヴァルツは、ぐんぐんと加速していき、ものの数分で傭兵国の前線基地へと到達。

 前線基地として、即席でも木柵や堀が張り巡らされ、既にある程度の防御能力を有している辺り、お相手の建築能力は素晴らしいと言っていいだろう。

 まあ、それも今から消滅するんだけどね。


「王国から誰か来たぞ!」


「迎撃しろ!」


 傭兵国側が俺に気付くも、もう遅い。

 練っていた魔力を魔術として放出する。


纏わりつく火炎波(ナパーム・ウェイブ)


 触れた物に纏わりつき、その進行方向にあるものを焼く炎が、木柵を手始めに燃やしていく。

 そのまま、舐めるように地面を這いながら、傭兵国の前線基地を火の海に包む。

 当然、傭兵国側は大パニックだ。

 その性質上、人間に触れれば、燃えカスになるまで離してくれない火だ。

 少なくない犠牲者は出るだろうが、この魔術は移動速度がそれほど早くない。

 気付いてすぐに逃げ出せば、命は助かるだろう。

 もっとも、この状況でそこまでの冷静な判断ができる者が果たしてどれほどいるかといった話だが。


「よし、行くぞヴァルツ」


 このまま放置しておけば間違い無く前線基地は燃え尽きるだろうし、傭兵国側もそれなりの被害になる。

 戦果としては充分だろうし、残党の方はアーミル侯爵に任せれば大丈夫だろう。

 燃え上がる前線基地を背に、連合国へ向けて取って返す。

 ぐんぐんと加速し、一陣の暴風となって駆けるヴァルツの背は、思いのほか揺れないので乗馬体験そのものは悪くない。

 しかし、その加速度の高さから、身体にかかる風圧やGはとんでもないものがあり、俺のように魔術でそれを相殺できる人間か、そもそもの肉体強度で耐えられる人間でないと、全力のヴァルツは乗りこなせないのだ。


「連合国の方も、保ってくれればいいけど」


 ヴァルツの背で1人ごちる。

 とはいえ、初日で大敗を喫し、国境砦を奪われ、首都に退却しているという状況なら、まだ猶予はあるか。

 おそらく、傭兵国側も奪取した国境砦を掌握する時間が欲しいだろうし。

 とはいえ、追撃が皆無ってわけでもないだろう。

 願わくば、被害少なく退却できているといいな、と願いつつも、俺は連合国へ向けてひたすらヴァルツを走らせるのだった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ