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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり11人目⑯

「わかった。連合国にはこちらから書状を送っておこう」


 王都に戻って、陛下に調査結果を報告ついでに、連合国の方に手紙で探りを入れておくようお願いすると、陛下は快く頷いてくれた。

 これでとりあえず今回のお出かけは終了となる。

 今後の動きはエスメラルダたちの調査が進むまで、一旦ストップだ。

 というか逆に動きようが無いとも言う。


「しかし、実質上小国家群を統一したとなると、動員兵力は3大国のうち1国にも匹敵する。あり得ない話だが、万が一、奴らと帝国の繋がりがあれば、我々王国と連合国は同時に前後から挟まれる形となる。共謀して攻められたら、と思うと、ぞっとするな」


「そんな想像はしたくないですね……実際、その可能性は?」


 東の帝国は険しい山脈を挟んでいるため、通れる道には限りがある。

 一応、王国と連合国に1つずつ山道が整備されているが、無視して山を越えられた場合はその限りではないが。

 元より帝国と王国はあまり仲が良くないはずだし、常に相手が裏を搔こうとしている可能性は考慮すべきか。


「無いと断言できる。昔から帝国と王国はあまり仲が良くないが、前皇帝の辺りから侵略政策から融和政策へと転換した。実際、現皇帝も懇意にしている。気安すぎるのが玉に瑕だがな」


 少しばかり嫌な顔をした陛下だったが、それなりに付き合いはあるのだろう。

 教国で3大国のトップが揃った時に、言うほど帝国と仲悪くないよな、と感じてはいたのだ。

 どうやら俺の気のせいではなかったらしい。


「であれば、基本的には背後は気にせずとも良い、という事ですね」


「であるな。だから、基本的には連合国と足並みを揃えておきたい。恐らく、小国家群の連中が攻めてくるとすれば、王国と連合国を同時に攻めてくるはずだ。この際、教国に関しては捨て置く事になるだろう。我々に教国に回すほどの余剰戦力は存在せんからな」


 実際、戦争なんて起きたら3大国の中でうちだけがヤバかったりする。

 3大国の動員兵力総数は、基本的に大差ないものとされていたが、内乱が起きた際に王国はかなりの兵士を失った。

 数万単位で失われた兵士を1年そこそこで補填できるはずも無く、未だに軍部は人手不足が続いているのだ。

 どうにかアーミル侯爵の手腕で国内の機能は取り戻しているが、国外に目を向けるだけの余裕は無い。


「いざという時は、またお前に頼る事になってしまうだろう。できれば、そうならないように願いたいが……」


「まあ、その辺りはしょうがないですね。1人で対軍戦ができる魔術師なんて俺以外にいないでしょうし」


 魔力バカなおかげで、魔術はかなりたくさん撃てる。

 その気になれば、小国1つくらいくらなら数時間で更地にできるだろうが、それをする理由も必要も見当たらないからやらないだけだ。

 世が世なら、人間兵器として他国侵略の尖兵にされていた事だろう。

 そういう意味では、比較的平和な世に生まれたのは、僥倖と言っていいだろうな。


「一応、うちの暗部に小国家群の方を探らせてますので、何かあればすぐに連絡があるでしょう。今は連合国との連携を密にして、有事に備えておくべきかと」


「うむ。連合国のとの折衝は任せておけ。もっとも、イヴァの姉が代表なだけに、元より関係性は良好だ。揉めるような事はあるまい」


 協調を取りやすいのはいい事だが、懸念点があるとすれば、向こうが急にこちらを裏切った場合だ。

 そうなった場合、王国は西と南の2方向からかなりの圧力がかかるし、山脈がある分を考慮すると帝国からの援軍を期待しにくい。

 考え得る最悪の状況になるだろう。

 もっとも、側妃様が王国に嫁いできてる時点で、その可能性は殆ど除外していいのだが。

 

「とはいえ、万が一にも連合国から救援要請が来た場合、うちから援軍を出す余裕なんて無いですよね?」


 そもそも国内で手一杯の王国に、他所へ援軍など出せるはずも無いのだが。


「その際はアーミル侯爵に王国内の指揮を任せ、お前を派遣する事になるだろうな。お前の家の特記戦力たちは、その存在だけで戦場を変える」


 確かにそれしかないだろうなー、と想像できてしまう。

 幹部連中だけでも相当に強いし、少数精鋭でいいのなら、うちは移動速度がめっちゃ早い。

 まして、戦場を変える(物理)のカナエがいるからな。

 彼女1人で誇張抜きの万軍に匹敵する。

 それこそ本気で戦わせたら周辺の地形が大変な事になるだろうし。


「まあ、約1名様子のおかしいヤツがいるので……」


「敵でなくて良かったと、心から思っておるぞ」


 まあ、正直な話、カナエを擁している時点で、この大陸の覇者になろうと思えばなれなくもないだろう。

 とはいえ、統治やなんやは面倒だし、それこそ最初は貴族に戻る気なんてこれっぽっちも無かった。

 そういう点では俺がこうして貴族やってるのは、シャルの存在が大きい。

 あの日、実家を追い出されてから彼女に会っていなかったら、俺は1人ないしは小人数で気ままに冒険者を続けていたのだろうと思う。

 そんな未来も悪くないだろうが、今となってはシャルという嫁がいるし、いっそもっと嫁が増える。

 それらを放り捨てて貴族を辞めるかと言われれば、それは無いと断言できるので、俺も何だかんだでこの世界の思想に染まってきたな。

 実家を出た当初なんてハーレムを作るつもりなんて欠片も無かったし。


「ともあれ、備えはしておいて損は無い。すぐにでも西側の国境警備を強化しておこう」


「それがいいでしょう。こっちでも何かわかれば情報共有しますので」


 陛下と今後の備えについて話してから、俺は王城を後にするのだった。

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