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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり11人目⑫

「さて……執務もだいぶ落ち着いたし、何かしら動くなら今なんだよな」


 双子に武器を渡した翌日。

 午前中で執務を粗方片付けて、だいぶタスクは無くなった。

 何かやる事があれば、動くにはちょうどいい。

 が、すぐにでも動くような案件が無いので、動くとしたら竜人族の商人の件になるだろうか。

 差し当たっては、ジェーンの故郷である竜人族の里に一度顔を出してもいいかもしれない。

 とはいえ、表向きの用事も何かしら必要ではあるので、これは陛下にお伺いを立てておこうかね。


「シャル、ちょっと王城に行ってくる」


「わかりました。いってらっしゃいませ」


 いつも通り、シャルに留守を任せて、俺は王城へと向かう。

 双子には早急に新しい装備に慣れてもらうために、リシアズブートキャンプに放り込んできたので、久々に俺1人での登城だ。

 特段急ぎの用事でもなかったので、珍しく正規の謁見手続きを踏んでから、のんびりと待合室で時間を潰していると、見知った人物が待合室に来た。


「ハイトくん、顔を合わせるのは久しぶりだね。リシアは元気にやっているかい?」


 相変わらず、穏やかな表情のダンディなお方である、アーミル侯爵だ。

 軍部の総括をしているとは思えないほど、穏やかな雰囲気は健在である。


「お久しぶりです。侯爵も陛下に用事ですか?」


「ああ。ちょうど軍部の再編状況の共有にね。タイランの反乱で失った兵数はそうそう戻らないけれど、残った兵力を各所に振り分けて、どうにか運用できる所までは漕ぎ着けたよ。相変わらず、諸外国に攻められたら厳しい状況ではあるけどね」


 去年にとんでもない数の兵を失ったから、しばらく軍部は大変そうだったもんなあ。

 半年と少しくらいで、とりあえず運用できるくらいにまで回復しているとは、さすがだ。

 その辺り、3大国同盟がある関係で、とりあえずいきなり攻められる心配は無いし、喫緊の危険が無いのは幸いと言える。


「ハイトくんは、何の用事で来たのかな?」


「俺はちょっとばかり調べ物をする許可と建前を陛下に貰おうと思いまして。細かい内容はまだ話せないですが」


 お互い和気藹々と近況報告をしていると、文官に呼ばれたので、侯爵との会話を切り上げて謁見の間へ。

 何だかこういう公式の場で陛下に会うのは久しぶりだな、と思いつつ、手順に法って跪く。


「お前はそんな格式ばった事はしなくていい。手順が面倒なだけだ」


 一応、他の文官とかの目があるよなーと思いつつ、形式通りに動いていたら、陛下から呆れた声を投げかけられる。

 俺、なんで正しい事してるのに呆れられてるわけ?


「陛下がそう言うなら省略しますけど」


 とはいえ、この場の最高権力者に省略でいいと言われたのなら、ただの臣下である俺は従わざるを得ない。

 顔を上げて立ち上がると、陛下の他に宰相であるレマイア侯爵と外務部長官であるメンディ伯爵もいるのが目に入った。

 顔を合わせるのは、教国クリーン作戦以来だろうか。


「久しぶりだなあ! 元気そうじゃねえの!」


「あなたの活躍は聞いているわよ。おかげで私たちも他国との交渉がやりやすくていいわ」


 以前と変わらず、素の言葉遣いが乱暴で、声の大きいレマイア侯爵に、言葉だけオネエなメンディ伯爵。

 2人とも、何も変わってないな。


「さて、旧交を温めるのもいいが、今日は謁見予定が立て込んでいるからな。して、何用で王城に来た?」


 陛下から、サッサと用事を言え、と言われてしまったので、レマイア侯爵とメンディ伯爵への挨拶もそこそこに、俺は気になる事があるので国内の竜人族の里に調査に行きたい旨を伝える。

 そのために、何かしらの名目が欲しいと伝えれば、なるほど、と陛下たちは頷く。


「あれから、あの竜人族の里はどういう扱いをしてたんですか?」


「一応、常時眼の者を付けていたが、特に怪しい所も無かったのでな。今も監視そのものはつけておるが、特に変化は起きておらんよ。強いて言うのであれば、香辛料の交易をするようになった、という所か」


 香辛料の交易、と聞いて、歓待の際に食べた料理の数々を思い出す。

 おそらく、あの里の特産品が香辛料なのだろう。


「そうさな。香辛料の生産状況の視察、という名目はどうか?」


「いいと思うぜ。品質のいいものだから、交易量を増やしてくれてもありがてえからな」


 表向きの調査内容は決まったな。

 そう思った時にはあれよあれよと書面が作られていて、俺が正式に調査に赴く事が認可されていた。

 決まるの早いのはありがたいけど、その場のノリみたいな流れで決めちゃっていいの?


「よし、あとはそちらのタイミングで向かってくれ。よし、時間だ」


 予定が詰まっている、という発言通りに、俺は割かしすぐに謁見の間から追い出され、手には渡された書状だけが残っている。


「……ま、表向きの名目は得られたからいいか。あとは、エスメラルダと暗部を連れて調査に行くとするかね」


 調査ともなれば連れて行く人員は決まっているので、護衛はカナエ1人でいいか。

 あとはエスメラルダと調査員に偽装した諜報部隊を連れて行って、あれこれ探ってもらおう。

 ジェーンは勝手にキレそうだから留守番で、双子はリシアに任せる。

 これで大丈夫だろう。

 レイネスタには双子の防具を作ってもらってるし、執務の方は落ち着いてるから、シャルに負担はかからない。

 うん、大丈夫。


「予定だけ合わせないとな」 


 王城から帰る道すがら、屋敷に戻ったらエスメラルダを呼び出しておかないとな、と心にメモしておく。

 最近は竜人族の商人について、本腰を入れて調査をしているから、屋敷を空けている事も多い。

 幸い、暗部の構成員に連絡を入れれば戻ってきてくれるので、多分数日中には出発できるだろう。


「さて……あとは面倒が見つからない事を祈りたいな」


 何かがあるかもしれない、という漠然とした俺の勘が外れますように、と祈りながら、俺は馬車に揺られるのだった。

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