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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり11人目⑪

「ハイトハイト! 頼まれてた物、できたよ!」


 王都に戻ってから1週間。

 急ぎの執務を終え、レイジュ様もだいぶ屋敷に馴染んだ頃。

 昼過ぎに今後の計画を練っているところに、凄い勢いでレイネスタが飛び込んできた。

 ちゃんとノックをしただけ前から成長しているが、返事をしてないのに扉を開けて飛び込んできたので後でお説教は確定。

 だが、頼んでいた物ができたという事なので、お説教は最後にしておいてやろう。


「わかった。今行く。カトレス、クルス、一緒に来てくれ」


 今回の件に関わる双子を連れて、執務室から鍛冶場の方に行こうと席を立てば、飽きもせずに俺の仕事の様子を見ていたレイジュ様も、すっかり定位置となっているソファから立ち上がる。


「わたしも一緒に行っていいですかー?」


 言うと思ったけど、別に見られて困るものでもないし、そもそも俺に嫁ぐというのだから、どうせそのうち見られるか。

 僅かな逡巡の後、いいですよ、と声をかけると、レイジュ様は無邪気な笑みをにぱっと浮かべて俺についてくる。

 俺とレイネスタと双子とレイジュ様の5人で鍛冶場に入ると、独特の熱気がむわっと身体を包む。


「オマチシテオリマシタ。マスターノケッサクガデキアガッテオリマス」


 鍛冶場に入った所で、カシャカシャと独特の足音を鳴らしながら、4本脚のゴーレムことヨツアシくんが俺たちを出迎えた。

 そういえば、コイツも久しぶりに姿を見るけど、何かゴツくなって……。


「何か喋ってる!?」


「ゴーレム!?」


 ヨツアシくんを初めて見る双子が、驚きの声を上げる。

 そういや、双子は基本的に俺にくっついてるから、まだレイネスタたちと顔合わせさせてなかったな、と内心で反省していると、ヨツアシくんが背中からサブアームを伸ばして双子の方に突き出す。

 

「ワタシハ、ジンコウエンシェントゴーレムノ、ヨツアシクントモウシマス。イゴ、オミシリオキヲ」


 機械音声ながら、流暢に挨拶をするゴーレム、なんていう非常識なものに会ったからか、警戒して武器を抜こうとした体勢のまま、双子は固まった。

 そんな中、レイジュ様はマイペースにとてとてとヨツアシくんの方に歩いて行って、伸びている2本のサブアームのうち、1本を手に取って上下に動かす。

 なんだろう、少女とゴーレムが握手してるの、すっごい癒されるなあ。


「アリガトウゴザマス。オナマエヲウカガッテモヨロシイデスカ? チイサナオジョウサン」


「わたしはレイジュだよー。よろしくねーヨツアシくん」


 というか、物怖じしない子だねマジで。

 むしろ小さいからこそ、なのかもしれないけどさ。


「ソチラノソックリナオフタカタモ、オナマエヲオキカセクダサイマスカ?」


 レイジュ様との握手を終え、ヨツアシくんは改めて2本のサブアームを双子へと伸ばす。

 さすがに子供に負けるわけにはいかないと発起したのか、2人とも力強くヨツアシくんのサブアームを掴む。


「うちはカトレス」


「うちはクルス」


「「よろしく」」


 ヨツアシくんと初対面の3人が心温まる(?)交流をしていた傍ら、レイネスタはマイペースに色々と準備をしていた。

 俺の依頼していたブツを作ってくれてたみたいだからな。


「さあさあ! ハイトに頼まれてた武器はこれ! 確認してよ!」


 作った物をひとまとめにしてテーブルに置いて、レイネスタは眩しいくらいにいい笑顔を浮かべる。

 ひと仕事してやったぜ、という感じが全身からにじみ出てるな。


「どれどれ……」


 俺が不在の間に鍛冶場内に運び込まれていた、大きな丸テーブルに並べられた品に、鑑定をかける。


―――――――――


白魔銀樹の複合短弓ホワイトコンパウンドボウ


白魔銀(ミスリル)魔樹(トレント)と呼ばれる魔物の木材を用いた複合短弓。

魔力を通しやすい素材同士を組み合わせた事により、魔術の触媒として利用できる。

魔力によって白魔銀と魔樹が深く馴染み合い、金属とも木材とも言えない独特の質感を生み出しており、あたかも美術品のような出で立ちだが、金属の堅牢さと木材のしなりを両方兼ね備えた全く新たな材質と化した。

弦には竜種の強靭な腱を用いているため、引くのにかなりの筋力を要求するが、その威力は短弓としては破格であり、有効射程も長弓のそれと殆ど変わらない。


―――――――――


白魔銀樹の複合長弓(ホワイトロングボウ)


白魔銀(ミスリル)魔樹(トレント)と呼ばれる魔物の木材を用いた複合長弓。

魔力を通しやすい素材同士を組み合わせた事により、魔術の触媒として利用できる。

魔力によって白魔銀と魔樹が深く馴染み合い、金属とも木材とも言えない独特の質感を生み出しており、あたかも美術品のような出で立ちだが、金属の堅牢さと木材のしなりを両方兼ね備えた全く新たな材質と化した。

弦には竜種の強靭な腱を用いているため、引くのにかなりの筋力を要求するが、その威力は大弓に迫るほどで、容易く鋼鉄の鎧をも貫く。


―――――――――


破術の湾曲剣(タルワール)


術を破壊する効力を持った曲剣。

エンシェントゴーレムの用いていた武器を溶かして打ち直した代物だが、破術の力はそのままに、取り回しやすさを追求した。

曲剣としてはやや大振りで、重量があるため扱うのには相応の筋力を要求するが、重さと鋭い斬れ味を両立しており、片手で扱う武器ながら威力は充分。


―――――――――


破術の短剣


術を破壊する効力を持った短剣。

エンシェントゴーレムの用いていた武器を溶かして打ち直した代物だが、破術の力はそのままに、携行性を追求した。

頑丈な刃は受け流しに長けている。


―――――――――


 ここまではクルス用の武器だな。

 俺の護衛という事もあって、攻撃と守りを意識したラインナップだ。

 しかし、以外な所で持って帰ってきた破術の大剣が役立った。

 というか、効果を残したまま打ち直してる辺り、レイネスタの優秀さが際立つと言える。


―――――――――


黒重鋼樹の翼槍ブラックウィングドスピア


黒重鋼(クロマイト)魔樹(トレント)と呼ばれる魔物の木材を用いた槍。

魔力を通しにくい素材と魔力を通しやすい素材を丹念に組み合わせた事により、木材としての軽さを持ちながら、鋼の剛性を持つ素材へと生まれ変わった。

とにかく頑丈で、柄で敵の攻撃を防ぐ事も視野に入った作りの槍であり、魔樹の効果で重量を軽減されてはいるものの、使用者に相応の筋力を求める。


―――――――――


破術のブロードソード


術を破壊する効力を持った幅広の直剣。

エンシェントゴーレムの用いていた武器を溶かして打ち直した代物だが、破術の力はそのままに、取り回しやすさを追求した。

直剣としてはやや大振りで、重量があるため扱うのには相応の筋力を要求するが、重さと鋭い斬れ味を両立しており、片手で扱う武器ながら威力は充分。


―――――――――


破術の小鉈

術を破壊する効力を持った小鉈。

エンシェントゴーレムの用いていた武器を溶かして打ち直した代物だが、破術の力はそのままに、取り回しやすさを追求した。

肉厚で重厚な刃を持ち、取り回しの割に威力が高いが、短剣と比べてかなり重量がある。


―――――――――


 カトレス用の武器は全体的に筋力に寄ってる能力値に合わせた代物だ。

 クルスと違って術方面のテコ入れは無しだが、前衛として必要なものは揃っていると言える。

 うん、注文通りどころか注文以上の出来だな。

 こんなものを仕上げられたら、ちょっとだけお説教を軽くせざるを得ない。


「こっちはカトレス、こっちはクルスの武器だな。これは俺から2人に対する期待の証だ。早く仕事を覚えて、立派に役目をこなしてくれ」


 俺が手ずから武器を手渡すと、戸惑いの表情を浮かべたまま、双子は硬直してしまう。

 まあ、固まってるならそれはそれでいいか。

 次の用事を済ませてしまおう。


「レイネスタ、2人の採寸しといてくれ」


「はいはい、お任せあれ!」


 当然、武器を用意したのなら防具なんかも用意したかったのだが、いかんせん身体のサイズがわからんかったので、とりあえずある程度目測で合わせられる武器だけ先に作らせて、防具の採寸は今日やってもらう予定だったわけだ。

 俺が採寸のゴーサインを出すと、レイネスタはあれよあれよという間に双子の採寸を終え、そのまま作業に入ろうとした。

 が、さすがにここで作業に入らせるほど俺は甘くない。


「レイネスタ」


 作業に入ろうとしたレイネスタの頭をガシッと掴み、ギリギリと力をかける。

 なお、こっそり魔術で身体強化をかけているのだが、こうでもしないとレイネスタに筋力で負けちゃうから、しょうがないね。


「いだだだだだだだだだだだ!」


 万力のようにギリギリと頭に力をかけられているため、レイネスタは俺の手を引き剥がそうと暴れながら叫ぶ。

 しかし、ここで緩めてやるわけにはいかない。


「何回言ったらわかるんだ? 執務室に入る時はノックして、返事を待てって言ってるだろ!」


「いだだだだだだだ! ごめん! ごめんって! 会心の出来だったからすぐ見てもらいたかっただけなんだってばああああああ!」


 鍛冶場内に、レイネスタの声が響き渡るのだった。

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