悲しみの先に(Ⅰ)
昨日と同じく間違っているだろう点があればまた言ってください。
話は前回の続きです。楽しんで読んでください。
何処だ。ここは、なぜ光が一切見えない。誰だ、あそこにいるのは女?なんだ、南じゃないか。おい待ってくれ南何処に行く!追いかけようとしたとき強烈な閃光が世界を飲み込んだ。
「夢?これは…涙か?」
何か大切なことを忘れている気がする。たしか大嶽丸が出てきてその後南が魂を食われ…
「南!」
そう言って横を見ると、仰向けの南がいた。外傷は特になさそうだ。てっきり魂を食われてもうだめかと思っていたため、余計安堵した。その傍らに涙を流している南のお母さんがいた。そしたら不意に南のお母さんが俺に涙声で言った。
「こんな姿でのご挨拶ですいません翔さん。あなたはもう大丈夫なのですか?」
「い、いえ。私はもう大丈夫ですよ。」
「そうですか。良かったです。…ところであなたは娘の状態をご存じですか?」
「いや主治医からも聞いていませんが。」
「分かりました。なら今この場で言いましょう、あなたが倒れてから今までのことを。」
南のお母さんが言ったことは俺には受け入れがたいものだった。内容は、南はすでに死んでいると言っても過言じゃないとのことだった。体とは魂を入れておくための器にすぎず魂がなくても機能するそうだ。そして今の南は無傷の体に魂が入っていないためいわば抜け殻でしかないと言うことだった。これを聞いて俺は南が生きているという希望が崩れる音がした。
涙が止まらない。何で何で南が死ぬんだよ。
俺が泣いている間に南のお母さんはそっとしておくのが一番かと思ったのか何も言わなかった。
*
ひとしきり泣いた後俺は南のお母さんに涙をこらえていった。
「すいませんお見苦しところをお見せしてしまい。」
「いえいえ。…悲しいのは皆同じですから。
すいませんが私は今から手続きをしなくてはなりませんのでこれで失礼します。」
あえて何の手続きをするのかを伏せて去っていた。
南のお母さんが去った後俺はあることを考えていた。それは死者の復活についてだ。たしか曽爺さんの建てた倉の中に初代祓い人の書いた書物があったような気がするがうる覚えなので俺は南の顔を一度見てから、急いで病室から去っていた。
*
その頃、秋山はそのとある人物によって気絶させられていた。そしてそのとある人物の名は琴錐五十鈴。彼女は、有名でもない普通の祓い人の家系に生まれたごく普通の女子高生だった。けれど、なぜそうなったかは分からないがいまは酷く人を憎んでいる。だから妖怪を利用してでも人を殺そうとする狂人になれ果ててしまった。
「秋山も馬鹿だね。なぜ菊池を殺す必要があるのかを私に聞くのかな~黙って私の言うことを聞いとけば悪いようにはしないと言っているのに。仕方がないか。」
そう言って琴錐は洗脳の術式を唱えた。こうして秋山は自由意志を奪われたのであった。
「これからも死ぬまで私のために働いてねっ。下僕ちゃん。」
そう言って琴錐は恍惚の表情を浮かべたのであった。
*
俺は今自分の家の庭にある曽爺さんが建てた倉に来ている。この倉は曽爺さんが先祖代々受け継いできた方々の武器や書物を大事にしまっておくために建てた倉で霊力を持っている人間は特定の人しか入れないようになっている。まあ、霊力のない俺には関係ないが。
「たしか奥の方に…あった。」
その本の名前は『神事象蘇生伝聞』と言うらしい。なんかよく分からんが読もう。
読み終わってみると、かすかではあるが希望が見えた。この本によると完全に生き返ったものはいないらしく生きた屍のような感じらし。しかもその生きた屍がいる理由は妖怪によるしわざらしい。何でも、死者を操る妖怪がいるらしくそいつによって生き返ったようだ。しかし今回の場合は死んだと言えるのだろうか。南は大嶽丸に食われたのであって消滅ではない気がする。ま、とにかく今後の方針を決めるために部屋に戻ろう。そうして俺が部屋に入る寸前母親に呼び出された。
「何、母さん。」
「何って。今からおじいちゃんのお見舞いに行く予定でしょ!おじいちゃん、いつ亡くなってしまうか分からない状態で最後のお別れになるかもしれないんだから。」
「分かった。今すぐ支度するから少し待ってて。」
*
俺の爺ちゃんの名前は山崎信夫という。真実かどうかは疑わしいが何でも《夜叉邪鬼》を封印したというのだ。確かに爺ちゃんは有名な祓い人だあるからあり得なくないのだが普通封印した場所を一族全員に言わなければならないのだが、その場所を爺ちゃん以外知らないから真実かどうか疑わしいのである。そんな爺ちゃんに対するくだらないことを考えていると、突如爺ちゃんが母さんに俺と二人で話をしたいから出ていてくれと言った。母さんは何かを納得したように部屋から出て行った。
「さて、翔よ。少し前にお前の母親からお前に何があったかは聞かしてもらった。」
そう言われたとき俺は身構えてしまった。
「この事を言われて緊張するのは仕方がないが、わしが今から聞く質問には真剣に答えてくれよ。」
「分かった。」
「うむ。では翔よ、この先何がお前のみに降り注ごうと受け止める覚悟はあるか?」
ああそういうことか。先に南のことを言ったのもすべて理由があったのか。ならば俺は、この質問にどう答えるべきなのか。仮にこの話が南を生き返らすことが可能だという話としよう。無論これだけの話なら答えは決まっている。だが、爺ちゃんが聞いているのはそういうことじゃない。本当に聞いているのはつらく苦しいことを受け止めきる覚悟があるのか聞いているのだろう。だがそんなことはどうでもいい。俺は南を無くして初めてこの理不尽な世界を憎んだ。その時にこれより酷く、悲しいことがあるものかと思った。だから、俺の答えはとうに決まっている。
「どうなのだ?」
「あります。この身にどんなことがあろうと俺は必ずすべてを受け止めて見せます。」
「うむ。良かろう。ならば教えてやる今わしが教えることの出来る最大限の情報を。」
*
「どこから話そうかの~。翔は何処まで知っているのか?」
「俺は家の倉庫にある書物で調べただけだけど、死んだ人間を意識はないが生き返らす妖怪の文献を見たよ。」
「そうか。まず、その妖怪のことは忘れるのじゃ。」
「え?何で?」
「その妖怪はとうにいなくなっとる。その代わり、かの三大妖怪《酒呑童子》に会いに行け。奴なら、死者の生き返りのことを知っているであろうからな。」
「ん?爺ちゃんが教えてくれるんじゃなかったの?」
「何を言っとる。そんなこと一言も言っとらん。」
「さっき、真剣な顔つきで『ならば教えてやる今わしが教えることの出来る最大限の情報を。』って言ってなかった?」
「確かに言ったがわしが教える情報は死者の蘇生に関することでなく、お前自身に関することじゃ。」
「俺に関すること?」
「そうじゃ。おぬしは、なぜ自分に霊力がないのか疑問に思ったことはないか?」
どうも、厨二好きの魔王です。
最近、精霊幻想記にはまっています。やっぱり松岡さん(声優)の声いいですよねー。
連載周期はまだ不明です。たまたま2日続きでかけたので投稿しているため気がついたら更新しているかもしれないのでまたみてください。
では、また次回。




