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昼は冒険者/真夜中は暗殺者  作者: きっと小春
火薬と銃の時代
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マータンの暇つぶし 後編

犬亜人のマータンは、兎亜人のキバスを助けるために、盾と剣の騎士チェバリコに匹敵する力も、人間として生きる道も、何もかも捨て、己の全能力の半分をキバスに与えることで、キバスを蘇らせた。


「お前たちは、不老不死のゾンビとして、ノクターンのために死ぬまで働け」


「ゾンビ、くっさ。キバスもくっさ。ゾンビ死なねぇーし」


「マータン、駄目でしょ。言葉遣い!」


そして、ここに残念ゾンビコンビが誕生したのだ。


***** ***** ***** ***** ***** 


エミリアの馬車と隠れながら並走する兎亜人のキバスが、マータンに伝えていたのは、”この先の石橋が爆発されられちゃうよ!”ということだった。犬亜人のマータンは、早く爆発しないかなと、楽しそうにほくそ笑む。


この先の石橋は、渓谷に架かる橋であり、莫大な費用と年月をかけて建設されたのだ。この橋が崩落してしまうと、王都リゼンから商業都市オハロまで5日間では行き来できなくなる。


何が起こるかわからないが、絶対に良くないことが起こるだろうと、エミリアが緊張する。するとエルダリスにどうしたのかと尋ねられたが、そこで爆発が起こり橋が崩落する…。


犬亜人のマータンは、落ちる幌馬車の中でニーズを蹴り上げ、崩落していない石橋の部分に飛ばす。そして手刀で、エミリアとエルダリスを気絶させ、ワイヤーを崖にめがけて投げつける。先端に付けられていた金具が崖に固定されるのを確認し、二人を抱えて幌馬車から跳躍する。ワイヤーは、マータンの腰に部分と接続されているため、両手が自由に使えるのだ。勢い余って壁に激突するのだが、両足で踏ん張って衝撃が二人に行かないようにした。三人分の重量を両足で支えたため、筋肉を突き破って骨が出てしまったが、構わずマータンは、二人を取り出した縄で体に固定すると、ワイヤーを切り離し、ほぼ垂直の壁を下り始める。理屈は不明だが、くノ一の技術なのだろう。


底まで下りると、マータンは考える。石橋から落ちたのに、傷一つないのは不自然だろうと…。マータンは、エミリアとエルダリスを谷底の岩場で、十分に服が擦り切れ、肌から血が滲むまで、蹴り飛ばす。


「ははっ。だっさ。人間、弱っ!」


それだけでは面白くないと、マータンはエミリアの首にデリマリート家の紋章の入ったペンダントを付ける。さらに、マータンはエミリアの左腕をポキッを折ってしまった。そしてシュチュエーションが大事だと思い、エミリアを流れの急な川に半身を沈め、エルダリスを近くの岩場に寝かせると、現場を指差し確認しながら、「うん、完璧」と言って身を隠す。


少し離れた岩場から、エルダリスに向かって、電撃の魔法を放ち、強制的に起こす。


「うっ…」と軽い唸り声をあげ、辺りを見回すエルダリス。すると川に沈んでいるエミリアを発見すると、その細い腕で必死にエミリアを岩場に持ち上げる。そのときダランとするエミリアの腕が骨折していることに気が付いたのだろうか? 少しパニックになってしまった。


「起きてください。エミリア…」


必死に呼びかけるエルダリスを見ていたマータンは、昔の自分を見ている気がして、ゾンビなのに…。ちょっと涙が出てきた。


「人間…。だっさ…」


そんな感傷に浸るマータンの頭をポコリと叩くのは、やっと追いついた兎亜人のキバスであった。


「なんで、あんなにボロボロ…」と言いかけたキバスだったが、こいつがやったのかと納得してしまう。


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